東京メトロ千代田線根津駅から徒歩1分の言問通り沿いに、酒樽が積まれ、赤提灯と暖簾が下がり“ザ・大衆酒場”を思わせる佇まいの「大衆炉ばた 十二番倉庫」が2月22日にオープンした。経営はチルドレン(東京都文京区、代表:森崎貴史氏)。同新店舗は、本郷の「北海道直送 炭火焼き酒場 三十六番倉庫」(2014年5月オープン)、五反田の「北海道釧路市炉端焼き酒場 十三番倉庫」(2015年3月オープン)に続く3店舗目となる。店名は代表の森崎氏の出身地、北海道釧路市の倉庫街にあったライブハウス「浪花町十六番倉庫」に由来し、1号店はその住所である「三十六番」になり、2号店は「十三番」、そして今回の3号店は「十二番」となった。
以前から風情の残る場所で店舗展開を希望していた森崎氏。幸運なことに、下町・谷根千エリアで駅から至近の物件に出会った。自身が大衆酒場好きで、昼から飲める店をやりたいという思いもあったため、この立地に魅力を感じ選んだという。「自分もこの近くに住んでいて、この街の雰囲気が大好きというのも大きな決め手でした。店は手造りにしたかったので、内装業者に頼らず全て自分達でやりました。五反田店の店長が昔大工をしていたこともラッキーでしたが、ちょうど、近くに古民家解体現場があって、そこで廃材や、年季の入った茶箱をもらったりもしました。地元の人とのつながりを感じながら、地の利を生かした店造りになりました」と、開店準備期間中のことを振り返る。コンセプトは、『昭和の大衆酒場』。店内左側に設置されたコの字型カウンターは、客と客、店員と客の距離が近く、自然なコミュニケーションが築ける大切なツールとして大衆酒場には欠かせない。昼から呑める昭和レトロな大衆酒屋で、地元の幅広い客層が集い、分け隔てなく楽しい酒、楽しい時間を過ごして欲しいと森崎氏は熱い思いを語る。
料理は、“ネオ大衆酒場”に相応しく、価格を抑え、気軽な雰囲気を大切にしながら、従来の居酒屋メニューに加え、北海道・釧路から直送される旬食材を使った料理を厳選して提供している。定番メニューの釧路発の「元祖ザンギ」(680円)や「じゃがバター塩辛のせ」(540円)、「イカゲソ揚げ」(480円)など北海道食材の美味しさを満喫できる。さらに旬の食材を使った「本日のオススメ」もあり、取材当日は、炉ばた焼きメニューとして、「サバの文化干し」(480円)、今だけの「殻付きホタテ醤油焼き」(500円)や自家製の「銀鮭の西京焼き」(480円)などが並んでいた。また、既存店でも人気が高い北海道産牡蠣(2個490円)は、「生」「焼」「蒸」と3種の調理法で提供している。
アルコール類は、選び抜かれたこだわりの日本酒がおすすめだ。地元・千駄木で300年続く老舗の酒屋から届く日本酒たちは、なかなか手に入らないレアな日本酒が多い。常時10種類ほどを用意し、飲み切ったら、また注文するというサイクルで、日本酒の鮮度や管理にも気を配っている。石川県の「獅子の里 おりがらみ糀」(680円)や、しぼりたて新酒のフレッシュさ、みずみずしい香り、スッキリとした後口が後を引く三重の「作 しぼりたて」(680円)、長野のワインメーカーが6号系酵母で仕込んで造った「ソガペール エ フィス(6号生酛美山錦)」(640円)など、呑兵衛にはたまらない銘酒の数々が揃っている。そのほかに、「サッポラガー赤星 中瓶」(580円)、焼酎、酎ハイ、サワーなども用意している。
今後の展望について、「チャンスがあれば、さらに店舗展開はしていきたいですが、ただ店舗を増やすというのではなく、既存店とは違う『何か』を提供できたらと思います。ただ、その『何か』については現在模索中なんです」と話す森崎氏。長期的な目標では、2020年までに商業施設への出店もチャレンジしてみたいとも語っていた。今までとは違う『何か』を探しながら、常に自身がお客の立場なら、というお客目線を忘れることなく、居心地の良い真の居酒屋造りに日々尽力している。若い頃に、世界を旅し、様々な文化に触れ、気付きも多かった経験を持つ森崎氏だからこそ見えてくる新たな『何か』に期待せずにはいられない。
店舗データ
店名 | 大衆炉ばた 十二番倉庫 |
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住所 | 東京都文京区弥生2-12-2 武ビル1F |
アクセス | 東京メトロ 千代田線 根津駅 根津交差点方面出口より徒歩1分 |
電話 | 03-3868-0048 |
営業時間 | 15:00~23:30 |
定休日 | 月 |
坪数客数 | 13.5坪・30席(コの字カウンター席含む) |
客単価 | 2000~2500円 |
運営会社 | 株式会社チルドレン |
関連リンク | 大衆炉ばた 十二番倉庫 (FB) |
関連ページ | 北海道釧路市炉端焼き酒場 十三番倉庫(記事) |