都内屈指の美食エリアである代々木上原の駅前すぐに、ノルディックフレンチスタイルのワインバー「Atelire Fujita(アトリエ フジタ)」が11月16日オープンした。オーナーは、ソムリエであり料理人である藤田善平氏。同氏は、いわば飲食業界の価格破壊を仕掛けてきた店舗といわれる渋谷の立ち飲みワインバー「富士屋本店」で店長として店を任され、西麻布のワインバー「GOBLIN(ゴブリン)」では、立ち上げのキッチンスタッフとして入店した。その後、グローバルダイニングの「LB」業態の立ち上げを行い、下北沢の「ミルヴァンフィオーリ」では、ソムリエとして研鑽を積み、この度「Atelire Fujita」をオープンし、独立した。
コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間に、藤田氏がデンマークで買いつけた“ルイスポールセン”のアンティークランプシェイドが吊り下る。広めのカウンター席と4人掛けのテーブル席を2つ配置した店内には、“クロニーデン”の渋みのあるカラーと葉っぱのモチーフが可愛らしい器や、シンプルで美しい“カイ・ボイスン”のカトラリーなど、藤田氏の好きなデンマークを中心とするハイセンスな北欧スタイルが散りばめられている。
藤田氏は、いつか自分の店を出したいという夢を具現化するなかで、「せっかく外食するのなら、おいしいものをおいしい状態で、生産者や仕入れ先が明確なしっかりとしたものをお客様に適正価格で出したいと強く感じるようになり、フレンチの素材を生かす技法・低温調理を取り入れた“ノルディックフレンチ”に辿り着いた」という。同店では、スペインの「エル・ブリ」や「ノーマ」で経験を積んだシェフ・クリスチアン・プリージ氏のデンマークにあるオーガニックカジュアルレストラン「Relæ(レレ)」のように、よい食事を手ごろな価格で提供すること。上質な旬の食材だけを使い、見た目が面白くかつ健康的であるメニューの提供を目指す。同氏の出身地である岡山から直送される一匹一匹丁寧に神経締めされた瀬戸内海の魚と契約農家から仕入れるオーガニックの露地野菜にこだわり、自然派ワインと日本酒のペアリングによって素材をシンプルに味わい、楽しませる。
その日の仕入れで替わるメニューは、取り分けられる全6皿の「3750円のシェアコース」に、フランス・イタリア・オーストラリア・日本など幅広く揃えたナチュール系ワインや日本酒のペアリングを提案する「3250円のドリンクペアリング(グラス4杯)」が基本となる。アラカルトの料理や「グラスワイン」(800円〜)、「グラス日本酒」(600円〜)も用意されているので、ワインバーとしての利用も可能だ。取材時のメニューには、身がプリッと締まった瀬戸内海の真鯛に、千葉の染谷農園から届くさつま芋のような甘さの完全無農薬にんじんとの組み合わせの妙を楽しませる「下津井の真鯛のポワレ 人参ソース」(2200円)や群馬の養豚家・小堀さんの真空調理でしっとり仕上げる「こめこめ豚のロースト」(2200円)などがラインナップしていた。
同店のターゲットは、30代から50代のいろいろと食べ慣れている代々木上原界隈に暮らす人。「今後は、より素材とワインの個性の提案をしやすくするためにも、西の素材を増やせるように自分の足で現地を訪ねて開拓していきたいです。毎回食材の味が違うのも楽しみのひとつ。良い素材はダシを取る必要がないので、その時間も食材探しと食材選びに費やしています。素材そのままの味を生かせる調理法で、レストランのようにかしこまり過ぎず、気軽に提供できる店でありたいです」と藤田氏は話す。皿の上に描かれる驚きや新しさだけでなく、ほっとする安心感を同時に得られるような藤田氏の料理のプレゼンテーションを体験してみて欲しい。
店舗データ
店名 | Atelire Fujita(アトリエ フジタ) |
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住所 | 東京都渋谷区西原3-4-3 |
アクセス | 東京メトロ千代田線・小田急線「代々木上原駅」から徒歩1分 |
電話 | 03-6416-8241 |
営業時間 | 17:30〜24:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 9.5坪・17席(内カウンター9席、テーブル8席) |
客単価 | 6000円 |
関連リンク | Atelire Fujita(FB) |