飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

グッドスパイラルが系列7号店目となる「宇田川 紫扇」を渋谷に6月11日オープン。雑居ビルの空中階に突如現れるシックなテラス席で大人心を魅了する創作和食業態

広々したカウンターとテーブル席に加え、店内には大小の個室もある。奥に見えるのが和食業態では珍しいテラス席で、同店のハイクラス感をより一層高めている
日替わりの鮮魚で構成する「刺身盛り合わせ 5種」(1700円)はお値打ちの看板メニュー
「鮮魚のグリル にんにくとバジルとトマトソース」(1350円)。取材日は特大の真鯛を使用
「黒毛和牛サーロイン(A4,A5)の炙り握り」(2貫600円)
料理人、ホールスタッフとグッドスパイラル代表の熊谷光裕氏(後列右)

(取材=中村 結)


パルコや東急ハンズなど、数多くの商業施設が立ち並ぶ渋谷・宇田川町界隈。この繁華街の中心部にある雑居ビル5階に6月11日、「宇田川 紫扇」がオープンした。経営はグッドスパイラル(東京都渋谷区、代表取締役:熊谷光裕氏)。これまで渋谷エリアを中心に数々のヒット業態を創出してきた同社による系列7番目の店舗となる。「宇田川 紫扇」は、客単価を既存店よりも2千円ほど高い約5500円のラインに設定。ビルのエレベーターを上がると、高級感あるエントランスと落ち着いた色調のオープンテラスが忽然と目の前に現れるという意外性のある店舗を作り上げた。経験値の高いアッパーミドル層に向けて“特別な隠れ家”感を提案するこの創作和食業態により、会社として新たな挑戦に乗り出している。

2007年にスタートした1号店の「串焼き もんじろう」(渋谷区桜丘町)は、いまや14坪で月商700万を売り上げる大人気店。続く2号店の漁師系居酒屋「漁十八番」(渋谷区道玄坂)は25坪・月商1200万、さらに2012年から六本木ヒルズ内で営業する5号店のピッツェリア「イルリトローボ」(港区六本木)は62坪で1800万を売り上げるなど、これまで手がけた店舗をいずれ劣らぬ超繁盛店に成長させているグッドスパイラル。周辺エリアの潜在ニーズを丁寧にすくい上げた業態開発や、原価率35%~40%を投じた素材重視型のメニュー構成に加え、同社がとりわけ得意とするのが“客単価に対する固定観念を予想以上に覆した店づくり”だ。代表取締役の熊谷光裕氏は「僕が常に心がけているのがQSCA(クォリティ・サービス・クレンリネス・アトモスフィア)に加え、+OP(オペレーション)ということです」と語る。「例えば、客単価3000円くらいの店を作るとイメージした際に、それなりのクオリティの店舗造作をして、イメージの範囲内で相応のグラスや食器を使い、サービスやオペレーションもそれなりに、というような店では、お客様のこれまでの経験値を上回ることはできません。経営側、施工業者、料理人、サービスマンがそれぞれの固定観念をひっくり返し、プラスαの価値がある空間や調度品、料理、サービスを提供することで、競合店との差別化を図り、お客様の驚きや感動を創り出したい」と語る。「宇田川 紫扇」の業態開発について、「僕の場合、周辺でベンチマークしている店と同じ条件だったとして、どうしたらこれ以上の差別化ができるだろうかと考えて業態を作っています。「紫扇」においては、2.5~3等立地に対する付加価値の付け方がポイント。“まさかこの場所に“という意外性のある立地と、和食の店で広いテラスがあるという部分がここでの差別化要素です」と説明する。

落ち着いたムードのシックなテラス席は、都心の夜景を臨める全13席を用意。さらに店内には板前の仕事を間近で見ることができるカウンター席や大小の個室を設け、デートや宴会、接待需要に幅広く対応する。元は美容院だったという物件に大きく造作を施し、ダークグレーを基調に仕上げた高級感のある内装は客単価7000円前後の業態を予想させるのに反し、フードの価格帯は300円~と至ってリーズナブルに設定。「いぶりがっこクリームチーズ」(450円)や「ズワイガニのカニ味噌和え」(1200円)、「ウニのオムレツ生のりカニあんかけ」(850円)など、新鮮な魚介や和の食材を取り入れた一品料理に加え、デュロック豚や黒毛和牛をラインナップした肉料理や、日替わりで仕入れる魚介を使った刺身の盛り合わせを「3種」(1000円)、「5種」(1700円)と2種類用意するなど、お客に驚きと値ごろ感を訴求している。アルコールでは、生ビール(550円)や焼酎、サワー(各550円~)、果実酒(600円)などをまんべんなく網羅。さらにボトルワインや日本酒を月替わりで複数取り揃え、様々なニーズに対応している。

これまで同様、広告や宣伝はウェブ媒体だけに限定しながらも、オープンから約2ヶ月が経ち、口コミで着実にリピーターが増えつつあるという同店。今後の展開について熊谷氏は「食を通じて、多くのお客様に末長く貢献していくというのが我が社のビジョンです。そのためには社内で若い人材を育て、さらには知識や経験を積んだ職人や中堅世代のスタッフを活かしていくことが必要となります。『紫扇」ではある程度現場経験を重ねたスタッフを登用し、一組一組のお客様に集中することができる業態、客単価に挑戦しました。この店舗が成功すれば、今後はさらに客単6000円~7000円の業態に挑戦していくことになるでしょう』と語る。また「物件が決まればすぐにでもやるつもり」というカジュアルラーメンチェーンの展開や、デパ地下など中食への参入といった諸構想に加え、ゆくゆくは海外展開も視野に入れているという同社。「一枚岩として組織を強めていく」(熊谷氏)という今後の展開の足がかりの一つとなる「宇田川 紫扇」のこれからに要注目だ。

店舗データ

店名 宇田川 紫扇
住所 東京都渋谷区宇田川町13-16 コクサイビル5F

 >> GoogleMapで見る

アクセス JR・地下鉄・私鉄各線 渋谷駅から徒歩5分
電話 03-6416-4887
営業時間 17:00〜24:00
定休日
坪数客数 32坪 54席
客単価 5500円
運営会社 株式会社グッドスパイラル
関連リンク グッドスパイラル(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.