東京メトロ丸ノ内線赤坂見附駅から3分、一ツ木通りの中ほどの一際目を引くオレンジ色のビル地下1階に、生パスタと700円均一の量り売りワインがメインのワイン食堂「PASTARS(パスターズ)」が6月27日オープンした。オーナーの宮澤康一氏は、長年グローバルダイニングに在籍。同社初となるラ・ボエムの大阪出店(茶屋町店)の際には、自ら店長に立候補し、全くの新天地であった大阪での店舗立ち上げに尽力した人物だ。その後、外食コンサルタント会社に転職し、店舗の立て直しや新規出店サポート、運営代行など様々な角度から外食産業に関わってきた。しかし、やはり自身の理想とする店を持ちたいとの想いで今回の開業に至ったという。開業するにあたり、タッグを組んだのは長きに渡り付き合いのあった福嶋敬二氏。福嶋氏も、グローバルダイニングで長年シェフを経験し、その後、宮澤氏と同じ外食コンサルタント会社に移った。「一緒に店をやるなら彼しかいないと思っていました。長い付き合いの中で、彼には絶大な信頼を寄せていますし。私が理想とするものを、彼が料理で具現化してくれますから」と、宮澤氏はパートナーとして福嶋シェフと組んだ理由をそう語った。
店のコンセプトを決める際に、重要視したのは宮澤氏自身が好きなものを売りにしたいということだった。イタリアンやワインについては、自身が好きであり長年の経験も活かせ、またシェフの福嶋氏が最も得意とするのがイタリアンであったからだ。「生パスタをメインにしたのは、自分が一番美味しいと思っているから。ワインにしても、私自身が色々な種類をたくさん飲みたいと思っているので、グラスワインが豊富な店にしたかった」と話す。同店は、カウンター席が広々しており、お一人様、特に女性客をターゲットに据えて、近隣オフィスワーカーの会社帰りにふらりと立ち寄れる店、居心地の良い店を目指すという。
同店の生パスタは、太めのもっちり感が特徴。オイルベース、トマトベース、クリームベースという定番メニューに、オリジナルを加え、厳選10種類のメニューがラインナップ。中でもオープン以来絶大な人気を誇るのが「大人のボロネーゼ」(1300円)だ。“肉感”にこだわり抜き、ミートソース系とは一線を画したまさに大人向けのボロネーゼだという。また、パスタ以外で同店が自信を持って提供しているのがニュージーランド産ラムを使った「スーパーラムチョップ」(1ピース 500円~)。リーズナブルな価格で1ピースからオーダーが可能なので、一人客にも人気がある一品だ。グランドメニューの他に、その日のお勧めの「本日の一品」や、震災被害に遭った岩手・釜石の漁師の方との縁から取り扱えるようになった希少な貝を使った「釜石産天然コタマ貝のワイン蒸し」(1150円)など、他ではお目にかかれないメニューも揃う。「この年齢での遅い独立ですから、店をやっていくことが何かの支援や役に立つことにもつながればいいなと思っています」と宮澤氏。今後も東北の復興を支援できるような食材を扱い、料理として提供していくつもりだ。
豊富に揃うグラスワインは、赤・白各12種の24種ほど。全て700円均一だ。少し値の張る銘柄は、1グラス少量の70ccから提供され、リーズナブルな銘柄は1グラス160ccとなっている。スパークリングワインもグラスで2種用意。料理に合うようイタリアワインが中心で、ボトルは2500円、3500円、6000円の価格設定になっている。ワインベースのカクテル「特製サングリア」(700円)や「白ワインモヒート」(700円)なども揃い、ワイン好きな大人女子がカウンターで2~3杯飲んで帰るという使い方もできそうだ。
今後の展望について「お客さんに近い距離のおもてなしをしていく、ディナーレストランに負けないワイン食堂でありたい」「いずれはこの店を福嶋シェフの店にし、独立支援もして行きたい。チャンスがあれば、この店のスピンオフ版のような小さなカウンターだけの店にもチャレンジしてみたいですね」と語る宮澤氏。グローバルダイニング時代に培った優れたおもてなし力やコミュニケーション力を駆使し、自身が好きで本当に美味しいと勧められるものをコンセプト軸に、ビルの地下という悪立地、悪物件ながら、確実に邁進していく同氏に今後も注目していきたい。
店舗データ
店名 | PASTARS(パスターズ) |
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住所 | 東京都港区赤坂3-19-9 オレンジボックスビルB1 |
アクセス | 東京メトロ丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6426-5108 |
営業時間 | 月~金 ランチ:11:30~15:00 ディナー:17:30~24:00 土 ディナー:17:30~23:00 |
定休日 | 日 |
坪数客数 | 15坪 24席 |
客単価 | ランチ:1000円、ディナー:4000円 |