JR恵比寿駅東口を出て、恵比寿橋南の交差点へ向かった先の裏路地にある「Porto Bello(ポルトベッロ)」(運営:マーベリックス、東京都渋谷区、取締役 篠崎知幸氏)。恐らく、初めて訪れた人は道に迷うだろう。注意しなければ通り過ぎてしまう裏路地を入ると、鮮やかなグリーンの木々に囲まれた一軒家が目に留まる。周囲は民家、まさに一軒家の隠れ家レストランだ。店名の「Porto Bello(ポルトベッロ)」とは、イタリア語で「美しい港」の意味。「ここから出航して行くという思いを込めました」と話すのは、オーナーの篠崎知幸氏。1階は、港町の酒場のように、オープンキッチンを囲むハイチェアーのバルスタイルでカジュアルに。2階は、アンティークのシャンデリアにキャンドルが灯り、船内で食事をするかのように、ゆっくりと食事を楽しめる空間になっている。
高校卒業後、日本ホテルスクールに進学し、レストランマネジメントを学ぶ道を選んだ篠崎氏。ソーホーズ・ホスピタリティ・グループでアルバイトをしつつ、留学費用を捻出し、ワーキングホリデーでオーストラリアへ1年。「自分の視野を広げるため、外国人と触れ合う時間を持ちたかったです」と話す。オーストラリアで出会ったブラジル人とともに、いろいろな場所を旅した。「恐い思いをする場面もあったが今の自分を成長させる経験でした」と振り返る。カンボジアとタイを経由して帰国。その後、グローバルダイニングの「カフェ ラ・ボエム 麻布十番店」で、後にライブクリエイトを起業する高瀬篤志氏と出会う。3年間、高瀬氏のもとで、サービスとマネージメントを学び、さらに経験値を上げるために退社。アールビーシートレーディングに移り、イタリアンレストラン「GRATO」の立ち上げを行なう。同店が軌道に乗った頃に、高瀬氏から2号店「ARIA」の立ち上げメンバーとして声がかかり、再び高瀬氏のもとへ。そして、自分の将来の夢「独立起業」に向かって多くを学び、2年後に独立を果たした。
メニューの売りは、「生パスタ」と「肉の溶岩焼き」。モチモチの生パスタにオマールエビの旨味とコクがたっぷり贅沢な「オマール海老のペスカトーレ」(1680円)や手間隙かけてじっくり煮込まれた「自家製ボロネーゼ」(1280円)など。「溶岩焼きは、赤身の肉をより美味しく楽しんでもらうために試行錯誤を繰り返して誕生したメニューです。遠赤外線の溶岩で焼くことで、通常より火の入りが優しくなり、素材の旨味や香りが引き出されます」と料理長の齋藤大雅氏。オススメは、滋賀県から猟師直送「日本鹿の溶岩グリル」(1680円)」 。また、ランチタイムには「自家製野菜ジュース」をセットドリンクに入れるなどして、ターゲットとする女性目線に立ち、野菜を多く取り入れている。
ドリンクは、ソムリエの有ヶ谷祐氏が選ぶ50種のワインがメイン。ワインは、ボトル(2980円~)のほかに「スパークリング・白・赤・甘口ワイン」(各700円~)を日替わりで用意し、その日の気分やシチュエーションで、ソムリエに相談しながらワインが選べる。さらに注目したいのは、季節の食材を使った「自家製リキュールカクテル」(700円~)。「甘夏のジントニック」や「ハイビスカス シャンパンカクテル」、「カモミール&アップル」など、有ヶ谷氏が季節感を楽しんでもらいたいと、ひとつひとつ丁寧に仕込んでいる。
飲食激戦区の恵比寿の地を起点に、今までの経験で自分が培ってきたこと、専門分野の強みを持つ仲間とともに、起業した篠崎氏。料理長の齋藤氏はARIAのスーシェフとして、ソムリエの有ヶ谷氏もGRATOでともに働いた仲間だという。企業名の「マーベリックス」とは、「一匹狼、異端児」という意味を持つ。「居心地良い空間で、カジュアルに美味しい料理とお酒を楽しんでもらえるように、スタッフ全員の知識と技術を使い、工夫を凝らし、手間隙を惜しまずかけることで価格を押さえて提供しています。ここへ来たら、季節を感じることができる、季節の変化に気付くことができる店づくりをしていきたいです」と篠崎氏。マーベリックスの船出は始まったばかり、これからのストーリ展開に注目したい。
店舗データ
店名 | Porto Bello(ポルトベッロ) |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿1-27-19 |
アクセス | JR・東京メトロ日比谷線 恵比寿駅より徒歩6分 |
電話 | 03-6447-7557 |
営業時間 | ランチ 11:30~15:00(L.O.14:30) ディナー 17:30~23:00(L.O.22:00) |
定休日 | 日 |
坪数客数 | 13坪 25席(1階 9席、2階 16席) |
客単価 | ランチ 1000円、ディナー 4500円 |
運営会社 | マーベリックス株式会社 |