東京メトロ丸ノ内線の四谷三丁目駅からわずか徒歩30秒という絶好の立地に、炭火焼き鳥とワインの店「Gallo(ガッロ)」が5月13日オープンした。運営は、銀座でオーガニックイタリアン「Desse(デッセ)」や神楽坂のビストロ「Entraide(アントレイド)」を展開しているHATARAKU(東京都中央区、代表:伊藤清孝氏)。これまで四谷界隈にはなかった「炭火焼き鳥」X「ワイン」というスタイルを、リーズナブルな価格で毎日でも楽しんでもらいたいと同社にとっては初めての業態でのオープンとなる。今回の新店舗物件は、駅から至近であることや、路面に面する入口など好条件が揃った。それに伴い、人の流れや賑わいの程度、客層など様々な要素を考慮し、実は当初予定していたイタリアン業態を変更したという経緯がある。オープン準備の段階より同店を代表の伊藤氏から任されているシェフの船越貴文氏は、「この立地なら、焼き鳥を打ち出す形で、鶏料理とワインという新たなコンセプトの方が集客できると思いました。トスカーナで修業もしましたが、その後、焼き鳥屋でも経験があったので、イタリアン要素が入った鶏料理になったんです」と、業態を最終決定した当時をこう振り返った。イタリア帰りのシェフが作るイタリアン要素たっぷりの炭火焼き鳥とワインという組み合わせで、気軽に楽しめる普段使いに最適な店を目指す。
同店は1階が入口、階段を上がった2階が店舗スペースとなっているが、用途によって使い分けができる造りになっている。1日4名までの限定個室カウンター席は落ち着いた空間、接待に使える完全個室や半個室のスペース、そして一番広いメインホールという4つの空間を配置。四谷という場所柄、平日は近隣のオフィスワーカーに、また週末は地元の人々にとって使い勝手の良い店でありたいと、この店舗コンセプトに至ったという。
看板メニューの炭火焼き鳥は、「もも」「むね」「レバー」をはじめ10種類前後あり全て190円のリーズナブル価格。国産の新鮮な朝引き地鶏を使用しているが、常に様々なタイプの鶏の味を客に楽しんでもらうことを目指し、月替わりで地鶏の種類を変えていくという。取材時は、弾力があって歯ごたえが良い愛媛の媛っこ地鶏が使われていた。また生刺し(580円~)や鉄板焼きメニュー(380円~)にはコクのある味わいと強い歯ごたえが特徴の薩摩・知覧鶏を使い、肉本来の旨味が味わえる。加工肉メニューにもこだわり、マルサラ酒でなめらかなコクを出した「なめらかレバーペースト」(780円)や、噛むほどに肉の旨味が染み出る「自家熟成した鶏ハム」(480円)など、ワインがすすむ一品メニューも多数。他に、小川フェニックスの卵を使用したつまみ料理、煮込み、揚げ物、〆のご飯物まで揃う。イタリア修業経験者のシェフ船越氏が、スチームコンベクションオーブンや真空調理などの技法を駆使し、奥深い新たな鶏料理の美味しさを提供している。
「ワインのうんちくを語るのではなく、気軽にワイワイ楽しく飲んでもらいたい」と代表の伊藤氏が話すように、豊富な品数を誇る同店のワインは直接海外のインポーターから買い付けることでリーズナブルな価格での提供を実現した。欧州産をはじめ、ニューワールド系や日本ワインまで常時100種類ほどが揃い、ボトルは2300円~と懐にやさしく、値段を気にしないで気軽に飲めるのが嬉しい。グラスワインは500円からで、赤5種、白5種、泡1~2種を用意。他に同店自慢の「四谷いち!レモンサワー」(680円)や、ビール、カクテルは580円~。また日本酒は少数精鋭の品揃えで「本日のプレミアム日本酒」としてメニューに載る。ドリンクメニューには、「ワインは美味しく楽しく飲むのが1番!わからない時は一緒に選びましょう」とあり、同店が掲げる“気軽にワイワイ楽しく飲んでもらいたい”という想いがうかがえる。
同社は既存店オープン以来、「安心」「安全」「鮮度」「美味しさ」「季節感」を大切にし、国産食材と自然派野菜にこだわり、生産者とのつながりを大事にしてきた。3店舗目となる新店舗も、その姿勢に変わりはない。「この新店は、いろいろな意味で新しいつながりを作れるような店にしていきたい。いずれはランチ営業もやりたいですし、深夜営業の延長も検討し同業者にも利用してもらいたい」と語る船越シェフ。四谷という場所に誕生した、カジュアルでありながら料理とワインは本格派の大人が集える新しいスタイルの赤ちょうちん「Gallo」の今後に注目していきたい。