2020年東京五輪開催決定を受け、競技場や選手村などの関係施設ができる東京湾岸地区・東京ベイゾーンは、五輪バブルの中心地となるだろうと、経済効果に期待が高まっている。中央区を中心にドミナント展開をし、ユニークなコンセプトの繁盛店「鶏鬨」「鳥番長」「新日本焼肉党」など、ヒット業態を次々に生み出すバイタリティ(東京都中央区、代表:岩田浩氏)が、この東京ベイゾーン近くの月島駅に林立するタワーマンション・キャピタルゲートプレイスに「山形山」を9月1日オープンさせた。同店は、山形牛一頭買いの「日本焼肉党」「新日本焼肉党」とは、山形牛焼肉では共通するが、オーナーの岩田氏が前々から温めていた新和食業態だ。
月島といえば、「もんじゃ」のイメージが強いが、実は「焼肉激戦区」でもある。30~40代の子供がいるファミリー層と子育てが終わった団塊世代が居住し、ゆっくり家族で美味しい食事をしたいというニーズに、焼き肉店は重宝されている。同店も、週末ともなると、終日近隣のファミリー層で賑わっているという盛況ぶりだ。ただ焼肉激戦区に参入するのではなく、焼肉と郷土料理をペアリングすることで、他店とは一線を画している同店。焼肉のカテゴリーでありながらも、和食ととらえることもできるのが岩田氏の狙いである。
コンセプトは、店名に「山形」とあるように、山形県産の食材をふんだんに使った「山形牛焼肉と郷土料理」。焼肉は、山形牛を一頭買いしているので、リーズナブルに提供できる。また、おひとり様でも複数でも、普段使いで郷土料理が楽しめるメニュー構成となっている。時代家具を取り入れた店内は、時を越えた山形の古民家を意識し、落ち着いた空間になっている。奥には、隠れ部屋ともいえる堀ごたつの座敷があり、子ども連れでも気兼ねなくゆっくりとくつろぐことができる。
メニューには、同社の特徴でもある赤身を中心とした「盛り合わせ」がラインナップ。圧巻のビジュアルで登場する「日本一の舟盛り(1000g)」(12000円)は、特上・上ランクに希少部位を含めバランスよく盛り合わせている。通常5-6人でシェアする量なので、ファミリーをはじめ、複数で来店する場合は、かなりお得。その他、9部位を1枚ずつ盛り合わせた「山形牛9点盛り」(1800円)は、おひとり様でもいろいろな肉が楽しめる。また、生肉取扱い認可店なので、牛のユッケ、牛の握り(生)までも食べることができる。
米ももちろん山形県産。オーダーごとに釜で炊く釜めしには、「つやひめ」、釜めし以外には「はえぬき」を使用する。そして、より美味しく米を炊くために、月山の天然水で炊くこだわりも。サイドメニューには、山形の漬けもの「盛り合わせ」(580円)や山形名物のずんだがたっぷり詰まった、豆薫る「ずんだコロッケ」(1個380円)など、ここに来れば山形に行かずとも山形を味わうことができる。
ドリンクにも、山形県産のものを多数揃える。山形の地酒「山形正宗」(1合800円)をはじめ、「ばくれん」(1合700円)や「磐城寿」(1合800円)など。ワインは、「山形高畠 ルオール シャルドネ」(ボトル3500円)や「山形高畠 ルオール カベルネ&メルロー」(ボトル4000円)と、世界各国の選りすぐり。山形のフルーツリキュールを使った酒「月山の山ぶどう」や「山形ももさくらんぼ」(各580円)。果実そのままのソフトドリンク「山形代表(トマト、ぶどう、りんご、もも)」(各380円)までも揃え、山形の食材にこだわっていることが明確だ。
将来的には、自社で山形に農業や畜産を学ぶ環境を持ち、食を通じて山形を伝えるだけでなく、「食育」に携わり、地域貢献をしたいと話す岩田氏。食に関わることで、成長してきた同社にとって地方活性化をコンセプトにしたハイクオリティカジュアルの新業態は、次のステップへのかけ橋となるであろう。今後も目が離せない。
ヘッドライン
[ニューオープン]
2013.10.28
バイタリティ岩田氏が、山形牛焼肉×釜飯「山形山」を月島に9月1日オープン!地方活性化をコンセプトにしたハイクオリティカジュアル新業態
- ガラス張りのファサードから店内の賑やかな様子が伺える
- 一歩店内に入れば、時代家具がタイムスリップさせてくれる
- 圧巻のビジュアル「日本一の舟盛り(1000g)」は、要予約
- 釜めし 銀しゃり(1000円)は、オーダーが入ってから山形ブランド米「つやひめ」を霊峰月山山嶺に沸き出た天然水で炊き上げる
- 代表の岩田浩氏「今日も焼いてます」
(取材=下前 ユミ)