尾崎牛、千代幻豚、全国各地から届く魚介類、心を込められてつくられた野菜など「日本の素晴らしい食材」と「フレンチの技術」を用いて、日本人が日本でつくる丁寧かつ繊細な“ジャパンビストロ”「BISTROT SYU SHIROKANE(ビストロ シュー シロカネ)」が、港区白金台の閑静な住宅街に8月27日オープンした。オーナーシェフは飯間秀一氏。店はコンクリート打ちっぱなしのモダンなインテリア。「お客様の食べたときの表情や反応を確認できるように」と、オープンキッチンの広々としたつくりになっている。飯間氏の経歴はユニークだ。東京浅草の下町生まれ。大学時代に友人3人と埼玉の草加に居酒屋をオープン、キッチンを担当していた。店は繁盛店となったが、本格的に調理を学びたいとプリンスホテルへ入社し「フランス料理 ル・トリアノン」で基礎から学ぶ。ターニングポイントはフレンチの鬼才植木シェフとの出会い。軽井沢、二子玉川に「ミシェラドーロ」2店舗の立ち上げを任される。その後、赤坂でレストランウェディング、完全個室会員制レストランのシェフに就任し、経験を積んだ。
そのような経験の中で、様々な生産者、畜産者に出会ったことが、この店のコンセプトにつながっている。黒毛和牛の最高峰、尾崎牛との出会いでは「地名ではなく個人名で勝負していることに心を打たれた」と話す。無添加にこだわった自家配合飼料や、湧き水をポンプで汲み上げた天然水、牛にストレスをかけない生産方法で丁寧に育て上げるため、月に30頭しか出荷できない。一般流通には一切のらず、幻の尾崎牛と呼ばれている。看板メニューの「世界の尾崎牛ロゼ色ロースト」(2800円、部位によって多少増減あり)は、見た目は美しいロゼ色で生にも見えるが、実はしっかりと火が入っている。尾崎牛は赤身の中に脂肪が含まれており、肉の旨みが凝縮されていることが特徴。「世界の尾崎牛100%ハンバーグ」(1800円)は、その名の通り尾崎牛100%の贅沢な絶品のハンバーグだ。
野菜は軽井沢、千葉、鎌倉のファームから直接キッチンへ。毎月、月の名前でメニュー名が変わっていく「9月の畑より農園からの贈り物」(1800円)は、その月の畑を表現した一皿。この日は、甘長とうがらし、自家製ドライトマト、フルーツトマト数種、さやえんどう、みょうがなど数十種。味付けはシンプルにオリーブオイル、アンチョビのソース、塩。トッピングは乾燥させたオリーブをフレークし土に見立て「農園からの採れたて」をイメージさせている。それぞれの野菜の特徴を生かし、揚げる・蒸す・焼く・生と、特徴に合わせて個別に調理されており、個々の野菜の味わいをかみしめながら食することができる。魚介類は三浦、日本海、北海道など漁師に直接電話をかけ、おすすめや旬のものを聞いて仕入れる。漁師から翌日、近郊の場合は当日にキッチンへ届く。中には希少なものが送られてくることも。届いた魚介類に合わせた調理方法でその日のメニューに並ぶ。レギュラーメニューは「日本海のブイヤベース」(2400円)。ドリンクはフランスを中心としたワインを展開(グラスワイン 800円~)、今後は日本酒も合わせていきたいと話す。
今後について「今回の店舗をまた別の地域で展開するのではなく、出店する場所ごとに地域に合う業態を展開していきたいと思っている」「コンセプトは共通で”日本の食材を使って、日本を元気にしていきたい“自分達の世代が筆頭となり、食を通して日本を盛り上げていかなければと思っている」と話す。飯間氏はフェイスブックで自分の感覚・味覚と合いそうな生産者に連絡し、会いに行き、自分の舌で確認し仕入れる。SNSを利用することで、生産者×シェフの出会いも数段に広がる。次世代の情報源と行動力を併せ持つシェフ。さわやかな笑顔の中に強さと柔軟さを兼ねている。飯間シェフのつくりだす料理と今後の展開に期待したい。
店舗データ
店名 | BISTROT SYU SHIROKANE(ビストロ シュー シロカネ) |
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住所 | 東京都港区白金台5-11-4 Barbizon21-2F |
アクセス | 東京メトロ白金台駅 徒歩8分、恵比寿駅15分 |
電話 | 03-5422-9539 |
営業時間 | 月~日曜 ランチ 11:30~13:30 L.O. 月~日曜 ディナー 17:30~23:00 L.O. |
定休日 | 火曜日を中心に月6日程度 |
坪数客数 | 19坪 20席 |
客単価 | ランチ1800円~、ディナー6000円 |
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