地下鉄表参道駅から徒歩30秒、交差点の角にあるビルの5階にご当地キッチン+SAKE「えまるしぇomotesando」(運営:エマルシェ、店舗代表:小林健太郎氏)が2012年3月、オープンした。「ご当地キッチン」という通り、店内には日本各地の食材や生産者のポスター、写真などがあり、カウンターには各地の日本酒が並んでいる。「この店がオープンしたのは、旅行雑誌の取材のために全国を旅していたスタッフが、美味しい名産品をもっと世に広めたいと思ったからなんです」と話すのは、この店の小林健太郎副店長だ。販売ルートが乏しかったり、生産量が少ないなどの理由で、各地の名産品がなかなか広まらないことにジレンマを感じたことがきっかけとなり、2009年5月、恵比寿駅前に「全国ご当地アンテナショップ エマルシェ」が誕生。それを発展させ、アンテナショップだけでなくイートインもできる店として開店したのがこの「えまるしぇ」である。 同店が扱う全国の名産品は農産物や海産物だけでなく、各地の特産品を使った調味料や加工食品などさまざまで、仕入れもその日によって変わる。このため、「定番メニュー」がないのがこの店のウリでもある。メニューのうち半分はグランドメニュー、あとの半分はほぼ毎月、生産地ごとのイベントを開催し、該当する地域の名産品を使ったメニューが登場する。取材に訪れた日は、島根県の飛魚(あご)だしから作られた「飛魚ぽん」と、静岡県のコクのある甘口味噌「万能味噌」の「2大ご当地調味料で味わう 蒸し豚と温野菜」(1260円)、北海道の秋刀魚アンチョビ「サンチョビ」を使った「サンチョビのペペロンチーノ」(1050円)などの他、日本酒に合うつまみとして、宮城県「笹かま」(500円)、香川県「砂肝のアヒージョ」(680円)など、北は北海道から南は沖縄まで、珍しくバラエティに富んだメニューが並んでいた。 また店内入り口には、各地の名産品を展示販売するコーナーが設けられている。「店で提供される料理は各地の名産品を使いながら、あまり難しくない調理法で作られています。この店のメニューで味を確かめてもらい、気に入ったらこの場で購入してもらって、家庭でも作れるようにしているんです」という小林氏。まさに、アンテナショップの役割を兼ねている飲食店なのだ。 全国の美味しい食材を使って作られるこの店の料理に合わせて提供されているのが、各地で造られている日本酒(600円~)。女性をターゲットにしているため、すっきりとフルーティーで飲みやすいものを中心に、女性きき酒師でフリーアナウンサーのあおい有紀氏セレクトのものなど、常時20種類ほどを置いている。取材時の小林氏のおススメは、鮮やかな龍のラベルが特徴の兵庫県本田商店「ドラゴンエピソード3」で、飲み口がスッキリしているワインのような日本酒だ。また「日本酒3種飲み比べ」(900円)もあり、こちらも仕入れによって銘柄が変わる。このほか、山梨県や長野県の国産ワイン(グラス600円~)、各地の焼酎(550円~)も取り揃えている。 今後については、2013年春、新御茶ノ水駅直結のビル「御茶ノ水ソラシティ」に2号店となる立ち飲み日本酒バルがオープンする予定。これからは「えまるしぇ」から「食と旅をつなげたい」という想いがあるそうだ。店内外で旅に関するイベントを開いたり、来店客が料理を食べたり日本酒を飲んだりすることで「生産地に行ってみたい」と思ってもらえるようにしたいという。さらに将来的には「ニューヨークやパリ、ロンドンなどにこの店を展開して、美味しい日本酒や料理を味わってもらって『日本に行ってみたい』という外国人を増やせたらいいですね」(小林氏)。日本各地の名産品おこしは、日本から世界へ広がりを見せようとしている。
店舗データ
店名 | ご当地キッチン+SAKE「えまるしぇomotesando」 |
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住所 | 東京都港区南青山3-18-19 フェスタ表参道 5F |
アクセス | 東京メトロ表参道駅より徒歩30秒 |
電話 | 03-6804-2702 |
営業時間 | ランチ11:00〜15:00、ディナー18:00〜23:30 |
定休日 | 日曜日(イベント開催時は営業) |
坪数客数 | 18坪・30席 |
客単価 | 3500円 |
運営会社 | 株式会社エマルシェ |
関連リンク | エマルシェ |