2009年以降、新橋は「びすとろUOKIN」のヒットから、ビストロ・ワインバルの激戦エリアとなった。2011年「俺のイタリアン」が登場し、さらに新規出店がめまぐるしい。同エリアのひっそりとした路地に「A.te Notte(アテ ノッテ)」が9月12日オープンした。[運営:A.te、代表:今給黎 愛子(イマキイレ アイコ)氏]。
同店はイタリアンレストラン「A.te」の2号店。「A.te」は2004年、SL広場近くの2階に出店した。「当時、新橋は居酒屋・大衆酒場がほとんどで、イタリアンやワインを飲める店がほとんど無かった。ワイン需要はあると確信していたので出店を決めた」と今給黎氏は振り返る。1階がラーメン屋で一見入りにくい立地にも関わらず、同店は口コミでかなりの集客率となった。2006年末に再開発のため移転。現在は烏森神社近くの路地裏2階で運営をしている。
分かりにくい立地、広告を出さないにも関わらず客の出入りが絶えない。また、飲食店では頭を悩ませる人材確保についても、スタッフの元仕事仲間など人づてで集まるメンバーが多い。今回出店した2号店においても、1号店で成功した“口コミ・人づて集客”を実践。過剰な演出はしないので爆発的な集客ではないものの、その分、繋がりが強い。料理についてもこれといった看板メニューをあえてつくっていないようだが、人を集める魅力を持っている。
今回の業態を考えたきっかけは、「ワインをカジュアルに楽しんでもらう店をつくりたいと思ったこと。加えて、新橋は開店時間が早く閉店時間も早い。深夜は、バーやチェーン居酒屋が中心。”深夜でもシェフがつくる料理を食べられる店“がつくりたかった」と今給黎氏は語る。
料理は「A.te」のキッチンを担当していた杣木シェフと、以前別の店舗でともに働いていた木所シェフが担当。一番人気は「和牛の炭火グリル」(各1400円)。赤みが多くとても柔らかい食感の「ランプ」肉を使用し、甘みの強い「ポルト酒」のソースを合わせた味わい深い一品。「和牛筋のポルト酒煮込み」(850円)は、牛のうまみが凝縮され赤ワインによく合う。「スモークチキンとアボガドのピアーダ」(700円)は本場ではピザ生地で具材を包むが、クレープ生地の方が馴染みやすいとアレンジした。軽くつまめるタパス類から、パスタ、ハンバーグ、ポトフなど食事メニューまで幅広い展開。「本場のイタリアの味を忠実に提供するというよりは、日本のおいしい食材を吟味し、日本人の舌に合うおいしいイタリアンを提供したい」と杣木シェフは話す。
ワインはソムリエの資格を持つ今給黎氏がセレクト。「産地にはこだわらず、品質がよくて値段と味のバランスが良いものを選んでいる。ワインの美味しさは人それぞれ感覚によるもの。お客様の好みを把握できたときが何よりも幸せに感じる」と話す。「グラスワイン」(600円~)は赤5種、白4種、スパークリング2種から選べる。ボトルは白・赤ともに2800円から。3000円、4000円台を中心とし、同じ価格帯で選択肢が増えるように、さまざまなぶどうの種類をラインナップしている。また、どんな好みの客が来店しても楽しめるように、ビール、日本酒、ウィスキー、カクテルなども揃えている。
サービスについて今給黎氏の考えは、「お店の主役はあくまでお客様。自分たちは黒子役。でしゃばらず、呼ばれる数秒前にアイコンタクトをとる接客を心がけている」と話す。
「新店舗を出店することによってスタッフそれぞれが、自身でやるべき事をみつけ成長してくれた。お店の空気の良さはお客様にも伝わるので、いきいきと働ける環境づくりが何よりも大切だと思っている。これからもスタッフ、お客様と一緒に2店舗を大切に育てていきたいと」という。過剰演出を避け、自然体なサービスが居心地の良さ、そして集客に繋がっている。今後の成長に期待が募る。
店舗データ
店名 | A.te Notte(アテ ノッテ) |
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住所 | 東京都港区新橋3-10-7 佐藤ビル1F |
アクセス | JR新橋駅烏森口より徒歩3分 |
電話 | 03-6450-1122 |
営業時間 | 月~土 17:00~翌2:00(L.O.翌1:00) |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 10坪・23席(カウンター3席、立ち飲み席含む) |
客単価 | 2000円~3000円 |
運営会社 | 株式会社A.te |