9月1日、新橋駅前ビル2階に「三笠バル」(運営:浜屋、代表:小林茂氏)がオープン。経営母体の浜屋は、中古家電買い取りや輸出販売事業を行っており、飲食業は今回初となる。飲食事業立ち上げに伴い、新規事業部に抜擢されたのが、三笠太郎氏。「代表の小林のモットーは『お客様に喜びを提供すること』。そのためになら、利益度外視で経営を行なう、その思考を社員も受け継いでいます」(三笠氏)。飲食業未経験であった三笠氏は、月刊誌「料理王国」の専属シェフであった仲田輝男氏にシェフを依頼。ともに意気が合ったことや、代表の小林氏の考え方に共鳴したことから、依頼を快諾したという。また、三笠氏の実家が香川で老舗の料亭「三笠」を営んでいた事から、その名を受け継いだ店で成功したいという夢を語り合った末の出店でもあった。 同店の売りは100ml、100円の「100円ワイン」。「飲食店って、飲み代が高くついて料理が楽しめない。けれど、お酒が安い店は料理もそれなりだし……という不満があったんです」と仲田氏は話す。急増するバル業態の中で、まずは入店してもらうことが第一。そのことから、“100円ワイン”でお客を惹き付けるという戦略がある。「『ワインが安くて良かった』という感想ではなく、さらに『料理もおいしかった』という、トータルで評価をしてもらいたいんです。なので、食べて飲んで4000円くらいだろうという相場よりも、当店は1000円くらい低い3000円を客単価としています」(三笠氏)。惹きのあるキャッチで入店を促し、満足度の高い料理を提供、会計時に安いと感じてもらう。この戦略により、オープン間もないながら、毎日通ってくれる客がいるほど、高いリピート率を獲得している。 では、満足度の高い料理とは何か。それは、前述の代表の言葉を踏襲した“利益度外視”の素材へのこだわりにある。例えば野菜は、土浦の久松農園や、佐賀の吉野ヶ里あいちゃん農園、茨城のビオファームまつきの3社から仕入れる、無農薬野菜を使用。また、埼玉の岡本自然農園で飼育された鶏卵、平飼い自然卵など、身体に良いものを中心に素材を揃える。「身体が喜ぶものは、美味いにつながりますし、逆に美味いと感じたものは、身体が喜んでいる証拠です」との仲田氏の発想の活きた料理が並ぶ。肉類には富士桜ポーク、千代幻豚、尾崎牛などのブランド肉を使用。なかでも尾崎牛は、生後24ヵ月で出荷される通常の牛肉よりも、さらに1年飼育し続ける製法で、より健康的な牛肉であることが特徴。人工飼育よりも自然な状態で育てられた肉は、脂が後に残らない身体に良い肉であることが分かる。 お通し「トリッパと白インゲン豆のトマト煮込み」は500円だが、ここにも客の満足度を上げる秘密がある。通常お通しは手間のかからない簡単なものが主流であるが、同店では6時間じっくりと煮込み、手間のかけた商品を提供。さらに提供時は鍋ごと出し、客に好きなだけ取ってもらう。しかも、お代わり自由と満足度が高い。「当店でのお通しは“おもてなし”の感覚です。1番食べて欲しい、自信のあるメニューを、あえてお通しで提供しています」と三笠氏は言う。ボトルワインは2800円からで、だいたい3000~6000円のものをラインナップ。食後酒も多く用意し、コーヒーでなく食後酒での締め方を提案する。 オープンから約1ヵ月。「まだ試行錯誤の段階」と三笠氏。「これから徐々に内容は固める予定ですが、根本には“お客様に喜びを与える”という、小林イズムは揺るぎません」(三笠氏)。同社では今後、安心・安全な身体が喜ぶ食材を広めるために、飲食業の拡大を図って行く予定だと言う。
店舗データ
店名 | 三笠バル |
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住所 | 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館2階 |
アクセス | JR新橋駅より徒歩1分 |
電話 | 03-6274-6922 |
営業時間 | 17:00〜23:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
坪数客数 | 26.5坪・58席 |
客単価 | 2500〜3000円 |
運営会社 | 株式会社浜屋 |
関連リンク | 浜屋 |