高田馬場は誰もが知る学生の街だ。伝統ある早稲田大学を筆頭に、短期大学や専門学校などが多く集まっている。街は若いニーズに応えるかのように、駅前の大通りから路地まで、チェーン系居酒屋、大衆酒場などが多く軒を連ねている。そんな雑然とした通りの中で、店内がわずかに望めるスリットを施した、スタイリッシュなエントランスのデザインに、濃いグレッシュカラーの壁面が際立つ「炭焼長者 馬場六区」。その存在感のある外観からは、美味しいオーラが放たれている。内装もシンプルシックなデザインで、上質な素材が醸し出す空気感が穏やかな大人仕様に作り上げている。
そう「炭焼長者 馬場六区」は、良質な料理と酒を落ち着いて楽しむ大人の店として、あえて高田馬場にはありえない・らしくない店づくりをしたというのだ。学生ではなく、地域のサラリーマンやOL、地元民に愛される店づくりを目指している。「『馬場六区』から高田馬場イメージを大人の街に変えたいのです」と、共同経営する今喜夛周之氏(Nowmany & Co.)と竹松弘光氏(レッドホース)、2人の経営者は声を揃える。ソーシャルネットワークマーケティングを軸にしたIT企業を経営する今喜夛氏。飲食店をすでに3店舗経営する竹松氏。共通点のない2人の出逢いは、今喜夛氏が飲食業界進出を考えたことから始まったという。グルメブロガーとしても名高い今喜夛氏は、ほぼ毎日食べ歩き、食への造詣も深い。そんな彼は、竹松氏の料理に感動し、共同経営することに即決したのだ。一方、楽グループ出身の竹松氏は、料理人一筋の自分とは異なる分野に長けている今喜夛氏に感銘を受けたという。出店を決めてから、それぞれの立場で徹底的に話合い、意見を交わしてできたのが「炭焼長者 馬場六区」。2人のプロの知恵と実力が作り上げたといっても過言ではないが、なによりも、互いの立場を尊敬していることが、いい店、大人の店を創っているのだろう。
料理は、キッチンに設けられた炉で丁寧に焼き上げる炭火焼料理が自慢メニュー。新鮮な「秋刀魚」(680円・税別、以下同じ)を始めとした魚介に、自家燻製した人気の「サバくん」(600円)、「味噌漬け和牛」(880円)に、野菜も揃え本格炉端焼きが味わえる。なかでもお勧めは、青森県産の村越「シャモロック」(980円)。東京ではほとんど食べる事のできない希少なブランド食材となる。また、店で半身に捌き炉の上に吊るして旨味を凝縮した、「がぶり鶏」(680円)。他にも100g680円の生マグロの計り売り(100g単位680円追加可能)、海老を丸ごと使ったダイナミックな「海老クリームコロッケ」(2個800円)など、クオリティとオリジナリティにこだわった手作りの料理がメニューに並ぶ。
ドリンクは本格焼酎、果実酒ベースのカクテル、ハイボールなどを多様な好みに合わせて揃えているが、お勧めは国産ワインと日本酒。泡3銘柄、白・赤合わせ10銘柄を揃える国産ワインは一律2980円と、コストパフォーマンスに優れている。日本酒は喜多方の大和川酒造オリジナル「馬場六区」に、その時々のお勧め銘柄を置く。寒い時期となれば、炉に刺した竹筒酒や鳩酒と、遊び心のある飲み方が楽しめる。そこには、竹松氏の「美味しい料理、楽しい酒をと、自らの損得よりも、食を楽しんで欲しい」と願う心が反映されているからだ。オープンキッチンの奥に設えた炉端で焼き上がる炭焼き。手際良く次々と仕上がる美味しそうな料理に目を奪われながら一杯を楽しむ、美味しいライブ感に酔える店だ。
そんな「馬場六区」を知ってほしく、得意のソーシャルネットワークでアピールするのが今喜夛氏だ。そんな彼の呼びかけに応え、母校で教鞭をとる元アナウンサー氏も足繁く通うというように、新しいスタイルの口コミで、地元ファンを増やしている。今後もさらに、分野の異なるプロ2人から生み出されるであろう、斬新で個性的な店づくりに期待したい。
店舗データ
店名 | 炭焼長者 馬場六区 |
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住所 | 東京都新宿区高田馬場2-15-7 ゼロサンビル1階 |
アクセス | JR、東京メトロ、西武新宿線高田馬場駅より徒歩3分 |
電話 | 03-3209-8869 |
営業時間 | 17:30〜24:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 15.6坪・29席 |
客単価 | 3500円 |
運営会社 | 株式会社Nowmany & Co. |
関連リンク | 馬場六区スタッフブログ |