銀座六丁目には、高級ファッションブランドショップ・バーニーズが入る交旬社ビルなどの大型商業ビルがあり、銀座らしく華やかだ。また、質の高い価値を有する、銘店をはじめとした数多くの飲食店もある、大人の街。そんな、銀座六丁目にオープンした「麦酒屋るぷりん」は、話題の国産クラフトビールが楽しめる気軽なビアバルである。店名の「るぷりん」は、ビール作りに欠かせないホップに含まれる、苦み、香りの元となる成分からの由来という。
オーナーの西塚晃久氏とクラフトビールの出逢いは、バーテンダーとしてビアバーでの修行中のこと。南信州長野でクラフトビール作りをする、同じ年のビール職人と知り合ったのがきっかけだったという。以来、多くの醸造所やビール職人との交流が、クラフトビール店立ち上げを決定づけた。さらに、長野県のオーガニックそば粉をベースにしたものや、酒米の美山錦で作るビールとの出逢いで、地域活性化の活動をする生産者への共感と、国産素材、国産製品の良さを改めて認識したという。そんなことから同店にはクラフトビールのほかに、国産ワイン、国産ウィスキー、焼酎など、良質な国産の酒を揃えている。同様に店で提供する料理の多くは、できる限り、生産者の心意気が伝わる食材を用い、調味料を国産にするなど気を配る。一方で難しく考えずに、良いものであれば外国産も扱うという柔軟さを持つ。
とはいえ、アンチョビの代わりにへしこを使ったピッツァや、へしこのバーニャカウダーなど、固定概念にとらわれない斬新なアイデアの料理は、国産ビールとの相性が抜群だ。「ビールと言えば、ポテトフライや唐揚げのような揚げ物など、こってり系の料理が多いので、シンプルで体に優しい料理を心がけました」と話す西塚氏。「女性に来て頂けるビアバルにしたくて」とその気遣いの本意を打ち明ける。
アンティークなテイスト、柔らかで落ち着いた空間はカフェのような雰囲気で、女性好みでもある。コンクリート打ち放しの壁に、古木の床や錆仕上げの棚など、素材の質感がそのまま活きる環境は、本物志向である西塚氏のセンスである。一枚板のカウンターには、ゴールドのビールサーバーが6本並び、専門店としての信頼感を築いている。あえてタップにしなかったのは、客とのコミュニケーションを大事にするためもあるが、客に後ろ姿を見せないというバーテンダーとしてのプロの心意気でもある。
扱うクラフトビールは6種類。樽が終わり次第、常時入れ替えるが、基本的には西塚氏自身が飲んで美味しいと感じる銘柄を優先しているという。伊勢角屋麦酒・ネルソンルビー、木曽路・ポーター、富士桜高原・ラオホなどが、その主な例だ。馴染みのない人にも飲んで欲しいと、サイズはお試しサイズ240cc・700円、並サイズで360cc・900円、大サイズ540cc・1500円で提供している。国産ワインはボトルが25種類、3900円~。グラスは7種類で800円の均一価格。朝日町ワイン・ロゼ、北条ワイン・ビンテージ赤メルロなど。国産ウィスキーは12種類800円~。ほかに国産グラッパ、ミード(ハチミツから作るワイン)、焼酎が揃う。
料理は「有機野菜と牛すじの味噌煮込み」(1000円)、「有機野菜畑へしこバーニャソース」(1700円)、「豚バラ肉のクラフトビール煮込み」(1500円)、「麦酒カスに漬けたカツオのパスタ」(1000円)などがある。因みに麦酒カスは、クラフトビール醸造過程で出る絞りカス。それをぬか床にしたオリジナルという、どこまでも体に優しい本物。そこには、一流和食店を経営する両親の和と食に対する姿勢が受け継がれているのだろう。日常のなかの質にこだわる「麦酒屋るぷりん」。次世代の飲食マーケットを担う、若きオーナー西塚氏の姿勢が反映された店と言える。
店舗データ
店名 | 麦酒屋るぷりん |
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住所 | 東京都中央区銀座6-7-7 浦野ビル3階 |
アクセス | 東京メトロ銀座駅より徒歩2分 |
電話 | 03-6228-5728 |
営業時間 | 昼12:00〜14:30 、夜17:00〜24:00 (※今後、営業時間の変更予定。要電話確認) |
定休日 | 日曜・祝日 |
坪数客数 | 12坪・18席 |
客単価 | 4200円 |
関連リンク | るぷりん |