5月9日、飯田橋は東京大神宮近くの路地に、炉で焼いたグリル料理とワインを楽しむ「ITALIAN GRILL BAR STOVE(イタリアングリルバル ストーブ)」がオープンした。運営はノート(東京都江東区、代表取締役:貫 啓二氏)。すでに都内で数店の飲食店を展開している同社だが、ワイン業態の出店はこちらが初。イタリアン好きである貫社長の理想像をそのまま形にしたというが、「ふつうのイタリアンじゃ、ダメなんです」と話す。和と伊の融合した他とは違う店をつくりたいと構想を考えていたところ、偶然にも炉ばた焼店だったこの居抜き物件と出会い、そのまま借り上げ出店に至った。 間口が広く、引き戸の入り口は、暖かいこの時季フルオープンにし開放感を出している。店内は温かみのある木材を多く使用し日本的な面影を残しつつも、ハイテーブルでカジュアルにお酒と食事が楽しめるバルの雰囲気を醸している。この店での特等席はやはり“炉”の前のカウンター席だ。目の前で繰り広げられる炉での“焼き”。今か今かと待つ客は、期待感と高揚感が入り混じり食欲を一層刺激される。ついつい「それください」と言わずにはいられない、客を誘う最高の演出材料となっている。これを巧みに、そして男前に操るのは店長シェフの谷川 佑隆さん。もともとイタリアンのレストラン出身である谷川さんは、この店の出店に際し同社で採用された。これまでは料理人として厨房内で仕事をしていたため、客と触れる機会は無かったというが、それを全く感じさせない接客ぶりも人気を呼んでいる。カウンター越しに焼き場を眺める客を会話でもてなしながらも、火にかけられた食材を見事に操り焼き上げるその様を「炉の魔術師」と表現する貫社長にも頷ける。 数あるグリル料理の中でもっともお薦めは「骨付きもち豚のロース」。フルサイズ1500円とハーフサイズ800円のサイズ違いで用意している。あるいは「アナゴと里芋の丸ごと一本焼 バルサミコソースがけ」(650円)や、「バルバリー鴨の手羽元」(650円)、「するめいか まるごとサフランマヨネーズ」(800円)、「若鶏半羽の小悪魔風」(980円)など、肉でも魚介でも炉を生かした個性のあるメニューが揃っている。加えてSTAUB鍋を使った「はまぐり、ムール貝、アサリの3種の白ワイン蒸し」(600円)や「本日のアクアパッツァ」(800円)、「丸ごと玉ねぎorじゃがいも アンチョビソース」(300円)など、ワインとの相性も考えられたイタリアンバルらしい料理が並ぶ。これらに合わせるワインは450円のグラスワイン数種にはじまり、ボトルは赤・白20種がすべて2500円、スパークリングも10種ともに2900円という価格が嬉しい。産地・品種・タイプはバランスよくバリエーションを広げて揃え、個性のあるコストパフォーマンスの高いセレクションも見逃せない。もちろんワイン以外にも、ひと通りのアルコールが良心的な価格で用意されている。 「客単価は2500~3000円を想定しています」と貫社長、「この店のスタイルで料理とワインを提供するなら、3500円を越えてはいけないと思っているんです。お得感や満足感を感じてもらえる金額の上限が、そこだと考えています」と、続けた。常に消費者目線で費用対効果を考えながら、細かな点まで店づくりに力を注いでいる。客の声に耳を傾け、改善点があれば、すぐに変えていくという柔軟さも大切にしている。「ちょっとしたことですが、気がつくたび、思いつくたび毎日何かが変わっていきますね。いい店づくりは、その繰り返しです」と、語ってくれた。まずはこのワイン業態1号店である「STOVE」を軌道に乗せることが第一だが、その結果によっては次の展開を考えるという。ワイン業態の中でも個性を放つ、炉を使うイタリアングリルバル。この飯田橋を起点に、次なる出店に向けて動き出していくのか、これからのノートの挑戦に注目していきたい。
店舗データ
店名 | ITALIAN GRILL BAR STOVE (イタリアングリルバル ストーブ) |
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住所 | 東京都千代田区飯田橋4-2-6 |
アクセス | JR・地下鉄 飯田橋駅より徒歩5分 |
電話 | 03-6380-9813 |
営業時間 | 月~土・祝11:30~13:30(L.O.)、17:00~22:30(L.O.) |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 14.7坪・23席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社ノート |