銀座6丁目の松坂屋銀座店裏手、かつて東電ショールームであった場所にオープンした「巴馬(ばーま)ロハスカフェ」。同店は、ベトナム国境に近い中国広西チワン族自治区の山里にあり、100歳以上が10万人に7~8人といわれる世界的に有名な長寿の村・巴馬で、長寿の秘薬として食されている「火麻(ひま)」に着目し、火麻をペーストや油などさまざまな状態でふんだんに使い、点心から一品料理、デザートまで洗練されたオリジナル長寿料理をロハスな空間で提供する。ライフスタイル情報誌「月刊ソトコト」の発行などを手掛ける木楽舎と、中国でリゾート開発に取り組む深せん華昱(ホワユー)投資開発有限公司の共同出資会社が運営する。 長寿村である巴馬では、子供からお年寄りまでが火麻の実を細かく砕いたものやペースト、油といったかたちで毎日摂取している。火麻は、アサ科1年草の一種で栄養価が非常に高く、老化の原因となる活性酸素を除去する働きをもつ抗酸化物質を大量に含んでいる。また、人体で合成できない必須脂肪酸を80%以上含んでいるため、整腸作用や血糖降下作用、動脈硬化予防などさまざまな効能が期待される、究極の健康油とされている。この火麻を使ったメニューの数々がデザートを含め80品ラインナップされている。 一番人気のメニューは、「地鶏のジャーローパイ」(1600円)。しっかりとした食感と旨みのある地鶏をカツレツにしたものだが、通常の衣に火麻の実を砕いたものとゴマを加えることで、香ばしくナッツのような歯ごたえが楽しめる一品。添えられた梅肉甘酢ソースをかければ、また違った味わいでさっぱりと食べられるとあって老若男女を問わず好まれるメニューとなっている。一番人気に迫る勢いで人気が高いのが「長寿の里 大豆と青野菜炒め」(1400円)。単なる青菜炒めであれば中華料理店にも必ずある一般的なメニューだが、こちらの青野菜炒めには、巴馬で多く食されている八角の風味がしっかりとついた大豆がたっぷりと使用されているのが特徴。芥蘭菜(ガイランツァイ)を使用し、たくさんの火麻油と砕いた実があしらわれている。他に、餡に火麻油を練りこんだ海老のプリプリとした食感がたまらない「海老、いか、蟹の焼売」(2個500円)や、食べた人誰もが病みつきになるという「杏仁プリン 火麻蜂蜜ソース」(600円)などを揃えている。ドリンクに関しては、ビオワイン(グラス700円~)24種を中心に「火麻麦乃酒(ヘンプビール)」(1300円)の他、生ビールやカクテル、紹興酒、梅酒、サワー、ソフトドリンクなど幅広くラインナップしている。 季節ごとの多彩なアラカルト料理を提供するディナー、手軽なコース料理を安価で提供するランチはもちろん、銀座界隈では珍しく朝9時から営業を行ない、朝は長寿の麻粥と飲茶を提供する。「麻粥」(250円)には、火麻油と火麻の実、ペーストが付いており、通常は2個セットとなる点心を1個から注文できるのも早朝のみのサービス。常時8種類揃えているため好きなものを食べたい分だけ選べるのが嬉しい。 同店の内装・外装デザインは、日本を代表する建築家・隈研吾氏が担当。実際に巴馬まで足を運び、自身が感じた自然の中の美しい巴馬を体感できる空間に仕上げた。乾燥したトウモロコシの皮が天井から下げられ、テーブルやイスなどは木の温もりが感じられる中国家具のリペアを使用し、床には古材を用いるなどの工夫がなされている。三世代、四世代が仲良く暮らす巴馬の人々の写真を簾を挟んで壁に飾るなどして絵画のように見せながら、スタイリッシュで落ち着いた雰囲気を醸す。 今回の出店は、中国の桃源郷といわれる長寿の里・巴馬を日本国内で広く知ってもらうために、プロジェクト第1弾として行なわれたもの。店名にあるとおり、健康と環境を志向するライフスタイル「ロハス」を掲げているため、出店に際し、物件に関してもさまざまなこだわりがあったという。そんな中、偶然にも東電ショールームであったオール電化物件に出合い、エコにも配慮できると考え、とんとん拍子に出店が決まった。当初は30~40代の健康志向のある女性を主力ターゲットとしていたが、朝から夜まで老若男女が集い、家族三世代で過ごせる空間となっている。朝昼晩とすべて異なるメニューを取り揃えているため、一日に2度足を運んだり、毎日通うリピーターは少なくないという。 火麻という新たな食材に特化した日本初のカフェとあって、メディア取材が殺到しているという同店。支配人の矢部幸弘氏は「まずは巴馬をたくさんの方に知っていただき、興味を持ってもらうことでお店に足を運んでいただければと思っています。東日本大震災の影響で、パーティースペースとして使用できる部分の工事が止まっています。お客様からは、ウェディング等の要望も出ていますので、パーティやウェディングにも注力していきたいと考えています。しかしながら現在は、被災地に救援物資を送ったり、チャリティー寄席などを催すなどして会社レベルでできることを行なっていこうと考えています」と語ってくれた。 今後については、さまざまな希望に応えられるべく、少しずつ多くの種類が食べられるよう、全メニューのミニサイズ展開として“オールタパス化計画”を検討しているとのこと。また、非常に樹齢の古い希少な茶葉を使用した中国茶(ワンポット5800円)など、他では味わうことのできない商品をラインナップする。さらに、顧客の要望もあり、火麻油やペーストなどの物販も視野に入れ、弁当やエコバッグの販売も考慮中とのこと。美味しく健康にいい、火麻を使った中国料理が、高齢化社会を迎える日本人にどのように受け入れられていくのか今後も目が離せない。
店舗データ
店名 | 巴馬ロハスカフェ |
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住所 | 東京都中央区銀座6-11-1 銀座ソトコトロハス館1F |
アクセス | 地下鉄 銀座駅より徒歩2分、地下鉄 銀座一丁目駅より徒歩5分 JR・地下鉄 有楽町駅より徒歩8分 |
電話 | 03-6255-6840 |
営業時間 | 朝食・粥 9:00~11:30 ランチ11:30~15:00(L.O.) 飲茶・ティータイム15:00~17:00 ディナー 18:00~22:00(L.O.) 23:00(Close) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 80坪・77席 |
客単価 | 朝食500円、ランチ1300円、ディナー 5000円 |
運営会社 | 巴馬三生東京株式会社 |
関連リンク | 巴馬ロハスカフェ |