大阪を中心に「お魚と地鶏 矗々家(ちくちくや)」や「お魚と豆富 豆助」などを29店舗展開する大台フードプロジェクトは、ファッションと飲食主体の複合商業施設として11月3日にリニューアルした新宿三丁目の「京王フレンテ新宿3丁目」3階の同一フロア内に「焼鳥・魚貝七輪炭焼 伝べえ」、「炭火焼肉 黒ベコ屋」、「炉端×バル 炉バル・三丁目」の3店をオープンした。 新宿通りと明治通りが交差する、新宿三丁目交差点に位置する「京王フレンテ新宿3丁目」。その3階フロアに店を構える「炭火焼肉 黒ベコ屋」と「焼鳥・魚貝七輪炭焼 伝べえ」は、昭和30年代の趣を残すレトロな佇まいが特徴となっている。店舗は京町屋の雰囲気漂う座敷の他、掘りごたつ個室などで構成し、割烹着を着た女将さんなどを配置するなどして肩肘張らずに楽しめる気軽な店づくりを心がけている。A3等級の厳選黒毛和牛を使用しながら、客単価3500円という手頃な価格帯を実現し、さらには国産牛食べ放題が2980円~というから驚く。池袋や秋葉原で既に展開をしている同社の人気2業態を同時に展開することで、様々なシーンや用途に応じた使い分けに対応しながら相乗効果を狙うもの。 居酒屋の低価格競争が激しさを増す中、同社の代表である貝谷祐晴氏が目を付けたのが関西における焼肉文化。大昔には天下の台所といわれた大阪も、今では首都圏の飲食に勝るものはないとしながら、唯一、牛肉をたくさん消費する焼肉については大阪のほうが鎬を削っている店が多いとあって、安くてうまい肉が提供できれば東京で勝負できると踏んだ。それを実現するために、画期的なフリーザー「プロトンシェフ」を採用したという。これは通常の凍結方法とは異なり、品物が凍る時の“氷の粒”をできるだけ大きくしないようにするため、食品細胞の破壊を防ぎ、解凍時のドリップ量を少なくするというもの。よって、解凍するだけで獲れたての新鮮さが再現できるという訳だ。この採用により、朝引き鶏や鳥取の境港直送の鮮魚を七輪で自ら焼いて食べるスタイルの「焼鳥・魚貝七輪炭焼 伝べえ」や「炉端×バル 炉バル・三丁目」においても、新鮮な鶏や魚貝を解凍して輸送することが可能となり、肉に関しては3割程度安く提供できるという。 「炭火焼肉 黒ベコ屋」では、国産牛食べ放題のスタンダードとプレミアム(各120分2980円、3980円)を筆頭に、「はねした」(各1480円)や「しんさんかく」(1800円)といった数量限定の希少部位までをラインナップ。また、「焼鳥・魚貝七輪炭焼 伝べえ」では熱々の焼鳥や鮮魚の他に、会席料理までもを手掛ける料理人が腕を振るう「手ごねつくね焼き(6種)」(1個215円)や「五味五彩こだわり変わり豆富五種盛り」(880円)といった他では味わうことのできない逸品も揃っているのが魅力だ。アルコールは生ビール(グラス380円、中ジョッキ450円)、の他、ハイボール、酎ハイ、カクテル、ワイン、マッコリまでを幅広く揃え、様々な客層に応えられるラインナップとなっている。 飲食業界が過当競争を迎えている状況下にあって、同社は全店の平均単価が4000円台にもかかわらず好調に推移している。長引く不況にあって、客側が節約疲れをしていることもあり、客単価を下げずに内容で勝負していることが奏功していることも好調の一端を担っているのかもしれない。「これまで社用で銀座の店を使っていた人などが、ちょっと金額や雰囲気を抑え目にした中庸感を良しとして流れてきているのかもしれませんね」と貝谷社長は話す。魅力ある商品を提供し、魅力ある業態であることが重要なのであって、価格のみがすべてではない。同社では時代のニーズに適合しながらも、調理場はすべて社員が仕切り、人件費をカットすることなく人を育成しながら差別化の図れる業態でのチャレンジをこれからも仕掛けていく。「お客様側も大箱の居酒屋などには飽きていると感じるので、東京では来春を目標に、京都の先斗横丁や大阪の法善寺横丁といった長い歴史を持った横丁のようなものを作ってみたいと考えているところです」と意欲を見せる貝谷社長。お客側と店側、双方の思惑がマッチングしたビジネスモデルが確立されるか否か、今後の同社の動きに目が離せない。
店舗データ
店名 | 炭火焼肉 黒ベコ屋 |
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住所 | 東京都新宿区新宿3-4-8 京王フレンテ新宿3丁目3F |
アクセス | 地下鉄 新宿三丁目駅より徒歩1分、JR他新宿駅東口より徒歩4分 |
電話 | 03-5919-2546 |
営業時間 | ランチ11:00~15:00(L.O. 14:00) ディナー17:00~24:00(金・土・祝前日/~翌2:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 50坪・74席 |
客単価 | 3500円 |
運営会社 | 株式会社大台フードプロジェクト |
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