Martha Records Inc.(東京都新宿区、代表:福山渉氏)は、同社5店舗目となる「BAR MARTHA」を、6月7日、恵比寿1丁目の路面にオープンした。“良い音楽を良い音”で、それをつまみにしながら酒を楽しめる、大人の空間を築き上げている。 代表の福山氏は、根っからの音楽好き。レコードをかける店しか作らないことを、こだわりとして貫いてきている。DVDやCDといったデジタル音源を取り入れつつも、あくまで良い音のするアナログを重視している。そして、真空管アンプを始め50年代から60年代に作られたヴィンテージオーディオを使用し、趣ある音を楽しんでもらうことが狙いだ。 中でも、一番惚れ込んでいるのが、タンノイのオートグラフというスピーカー。この巨大なスピーカーから奏でられる音を活かすための空間として選んだのが、今回の恵比寿の店舗だ。元々スタジオであったこの店舗は、天高も高く、奥行きもたっぷり取られているため、スピーカーの良さを発揮するのに、十分な容積を兼ね揃えている。また、ガラードの2連奏ターンテーブルや845の真空管モノラルアンプは、ここにしかない、こだわりの音響設備だ。それらを用いて、オールジャンルの楽曲が楽しめる。 そんな代表の福山氏が、音楽にまつわる仕事をと志向するようになったのは、中学生の頃。「当時から、サラリーマンになりたくなかったので、自分の好きなことで商売をして、生きていきたいと思っていました」と話す(福山氏)。高校時代、地元熊本にいる兄貴分のマスターとの出会いで、自分の城を築ける飲食の世界に興味を持ち、レコードをかける店の構想を持ち始めたという。そして、大学進学と同時に上京。卒業後は、大和実業に就職し、居酒屋やディスコでの店長経験を積んだ。その頃出会ったのが、正に自分が理想とするような店を展開していた、新宿3丁目の通称ミッキーさん。大和実業を退社後、ミッキーさんに弟子入りして、「Bar M’s」の店長を任せてもらうこととなる。こうして、資金を貯め、大きな会社のチェーンオペレーションと小さい店の経営ノウハウを学んだという。そして、独立第一弾として手掛けたのが、大好きなトム・ウェイツの曲「MARTHA」を名付けた、新宿3丁目の店。わずか6坪という小さな店からのスタートであった。今は、内装や業態を変更し、「BAR NICA」として再生を遂げているが、今回の店舗では、その創業時の想いを継承すべく、「BAR MARTHA」と名付けている。 しかし、20年来の常連客は、今でも後を途絶えることはない。それは、福山氏の客に対して、“接客をする”という概念ではなく、“人間同士として向き合う”姿勢が、真の人付き合いへと発展して行った証だろう。「音楽も含め、この空間を気に入ってくれる人が来てくれたら嬉しい」と、福山氏。ただ、店にはそれぞれの流儀というものがある。マナーとして、あくまでその店が発しているものには、合わせてほしいというのが、福山氏の考え方だ。「この空間を好んで来てくれたお客さんには、最大限満足して帰ってもらいたい」(福山氏)。 料理は、酒に合うつまみメニューと、店長が産直で仕入れている新鮮野菜が特徴。「ザーサイと笹身」(700円)や、「手づかみ野菜サラダ」(700円)などが、お勧めだ。また、バーの主力メニューとなるドリンクは、氷を使わない「角のハイボール」(700円)や、しょうがを2ヶ月漬け込んだウォッカに、ジンジャーエールとソーダを割った「生しょうがのモスコミュール」(800円)、長野の農家から安く仕入れることで、たっぷりとミントを使用することのできる「モヒート」(1,000円)が、お勧め。 将来は、「都会のど真ん中で、自分がデザインした一軒屋のバーを作り、死ぬまでやることが目標」と語る(福山氏)。 好きなことを発信していることがコンテンツとなり、それが差別化のフックとなって、賛同するファンの心を捉えて離さない。
店舗データ
店名 | BAR MARTHA(バー マーサ) |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿1-22-23 ヴェラハイツ恵比寿109 |
アクセス | JR・地下鉄 恵比寿駅より徒歩5分 |
電話 | 03-3441-5055 |
営業時間 | 19:00~翌5:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 33.4坪・50席/スタンディング10名 |
客単価 | 3,200円 |
運営会社 | Martha Records Inc. |