外食産業関連の専門紙誌で構成する外食産業記者会(加盟28社)は、第6回目となる「外食アワード2009」の選出結果を発表。来る2月12日には、表彰式が行なわれる予定だ。「外食アワード」は、外食産業記者会が創立25周年記念事業として制定した表彰制度。「外食産業の発展と外食の食文化醸成に寄与する」ことを目的に、毎年、その年に活躍・話題になった人物を選出している。2009年度の受賞者は以下の通り。【外食事業者】大東隆行 王将フードサービス 代表取締役社長大倉忠司 鳥貴族 代表取締役【中間流通・外食支援事業者】浜倉好宣 浜倉的商店製作所 代表取締役【食材事業者】松沢幸一 キリンビール 代表取締役社長相場康則 サントリー酒類 代表取締役社長【特別賞】奥脇裕 ヤヨイ食品 顧問三國清三 ソシエテミクニ 代表取締役「餃子の王将」を展開する大東氏は、多くの飲食企業が不振に苦しむ中、2009年4~11月の既存店売上高が前年同期比20.2%増と躍進。さらに、2009年3月期まで3期連続で過去最高の純利益を出し続け、2010年3月期も更新する見通しであるなど、好調を維持し続けている点や、従業員への権限委譲を原動力にした経営手法が注目された。また、大倉氏は、低価格志向が強まる中、料理もドリンクもすべて「280円均一」の「鳥貴族」で大躍進。圧倒的な安さを誇るじゃんぼ焼鳥や生ビールなど、従来の値付けの常識を覆すサプライズ商品で衝撃を与え、急成長の焼鳥チェーンとして注目を集めた。浜倉氏は、ヒット業態・浜焼き居酒屋の先駆けとなる「鱗」シリーズをはじめ、「恵比寿横丁」「神田ミートセンター」「品川魚貝センター」など、斜陽となった物件を、飲食をテーマに魅力的な「横丁」としてプロデュースし、地域・人材の再生をもたらした点が評価された。食材事業者からは、完全ノンアルコールのビールテイスト飲料「キリンフリー」がヒットしたキリンビールと、「角ハイボール」で“ウイスキー市場復活”を導いたサントリーが受賞。また特別賞として選ばれた両氏は、フランスで定着している子供の味覚教育の国内実現をめざし、小学校での味覚授業「キッズシェフ」活動をはじめ、政府予算に頼らない食育ボランティア活動が評価された。また、2009年の外食産業の動向を現す「2009年外食キーワード」には、「浜焼き・刺身酒場」、「ハイボール」、「居抜き」、「LED」、「均一低価格料金」が選出された。 日本全体が景気低迷に見舞われた2009年度は、外食産業にとっても例年以上に厳しい年となったが、そうした中でも、デフレを味方につけた「均一低価格料金」スタイルや、ハイボール、浜焼きといったヒット業態・商品は強かった。また、見事に経営再生を果たした王将が与えた中小企業への希望も大きかった。飲食店の淘汰がすすむといわれる2010年は、そうした景気に左右されない強みがより重要となってくるだろう。