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特集

クラフトビアマーケット田中氏&COMATSU松村氏 日本橋出店記念スペシャル対談

9月27日、注目の2店舗がオープンした。ひとつは、「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」。運営のステディワークスは、「クラフトビアマーケット」でクラフトビール1杯480円という価格を打ち出し、トレンドを牽引してきた存在だ。今回は醸造所とライブスペースを併設した新業態。そしてもうひとつが、「博多ニューコマツ」。福岡で9店舗を展開するCOMATSUグループの東京進出店。博多の繁盛店メーカーが東京で勝負するとあり、大きな注目を集めている。これらが出店するのは、日本橋に新規開業した商業施設、コレド室町テラス。この出店を機に交流を持ったというステディワークス代表の田中 徹氏と、COMATSU代表の松村宗孝氏の2人によるスペシャル対談を行った。


ステディワークス代表取締役 田中 徹氏(写真右)
1980年、東京・三鷹生まれ。立ち飲み「Gyo-Bar」を展開するアイディーを経て、2011年2月、虎ノ門に「クラフトビアマーケット」をオープンし独立。現在は同業態を全国で10店舗、また「立飲みビールボーイ」を3店舗展開する。2019年外食アワード受賞。

COMATSU代表取締役 松村宗孝氏(写真左)
1975年、福岡・久留米生まれ。福岡の大手飲食企業、小野グループを経て、2011年11月、福岡・大名に「COMATSU 大名店」をオープンし独立。街場から商業施設、ホテルレストランまでの様々なロケーションで、福岡市内に9店舗を展開。2019年5月、「コマツ神田 西口商店街」を出店し東京進出を果たす。

―田中さんと松村さん、もともとどちらにも取材をお願いしようと考えていたところ、田中さんから「松村さんも一緒に」とご提案いただき、今回の対談が実現しました。お2人はコレド室町テラス出店を機に仲良くなったとか?

田中:そうですね。実は、松村さんのことは以前から気になっていて。フードスタジアムで「コマツ神田 西口商店街」の記事を見て、すぐに行きました。すごくいい店でした。

松村:おおー!ありがとうございます。田中さんとはコレド室町テラスの出店が決まってから何度か顔を合わせたことはありましたが、こうして乾杯するのは今日が初めてですね。僕らは創業から8年、ずっと福岡で展開してきましたが、東京は刺激が多くて出店してよかったなと思います。こうして田中さんとも知り合えましたし。僕だけでなく「博多ニューコマツ」を作るために博多から来てくれた仲間も、みんな刺激を受けて帰っていきました。


(対談は「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」にて、同店で醸造されたビールを飲みながら行われた)

きっかけはスコットランドのビールメーカー、BrewDogだった!

―早速ですが、お2人それぞれ、「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」と「博多ニューコマツ」のそれぞれ開業の経緯を教えてください。まずは田中さんから。今回は醸造所とライブスペースを併設している点が見どころですね。構想はいつ頃からあったのでしょうか?

田中:2012年頃からビールメーカーをやりたいと考えていました。「クラフトビアマーケット」の創業が2011年2月の虎ノ門店なので、2012年は2店舗目の神保町店をオープンした、創業から1年後くらいということですね。

―結構早い段階から考えていたんですね。きっかけは?

田中:スコットランドのクラフトビールメーカーのBrewDog(ブリュードッグ)から受けた影響が大きいです。味わいのクオリティもさることながら、パンクやロックの音楽とビールをコラボさせたブランディングがカッコいい。もともと音楽好きで、学生時代にはバンド活動をしていた自分には強く刺さりました。

特に印象深かったのが、あるとき観たBrewDogのプロモーションビデオ。バドワイザーやハイネケンなど大手ビールを、BrewDogが痛快に蹴散らしていくという映像でした。これを見て「やられた!」と思いました。自分もこういうことがやりたい、こんなビールメーカーになりたい、と。

―具体的にはどういうことですか?

田中:音楽とビール、僕が好きなもの同士をコラボさせ、さらなる普及に努めることができたら素晴らしいなと思いました。小さいながらもマイクロブルワリーとしてのこだわりを打ち出し、大手に負けない魅力を作る。そんなチャレンジャーな精神に惹かれました。

“音楽フェスから生まれたビールメーカー”を目指し、醸造所の足掛かりとしてフェスを開催

―それからは、どのようなステップを踏んで「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」のオープンに至ったのでしょうか?

田中:ビールメーカーを目指すと言えど、いきなり醸造を始めるのは難しいので、まずは「クラフトビアマーケット」や「立飲みビールボーイ」の店舗展開の傍ら、ビールとコラボした音楽イベント「クラフトロックフェス」の企画に乗り出しました。目指したのは、”フェスから生まれたビールメーカー“。音楽フェスを行うことでブランド力を培い、そこから派生したビールメーカーとして登場しようと考えたのです。

最初に2014年に第一回目の「クラフトロックフェス」を開催。音楽アーティストのライブを聞きながらクラフトビールが楽しめるイベントで、晴海ふ頭のライブハウスで開催し、約2000人を動員することができました。

松村:2000人!?すごいですね~。

田中:「ZAZEN BOYS」、「80kidz」など13のアーティストに出演してもらい、クラフトビールのブースでは70種類を用意し、タップで提供しました。

翌2015年も同様に開催し、同じく成功を収めました。それもあって日本最大級の音楽フェス、「フジロックフェスティバル」を主催するSMASH(東京都港区)と知り合うことができた。2016年は彼らと共同で開催し、倍の4000人を集客。着実に理想に近づいているのを感じていました。

―順調だったのですね。

田中:手ごたえを感じ、その次の2017年は1万人の動員を目標に企画を始めました。ですが、そう簡単には行かなかった。1万人規模となると大物アーティストに来てもらう必要もある。うまくブッキングできず、その年は開催に至りませんでした。そこで翌2018年は趣向を変え、サーキットイベントという形態をとりました。それまでは一つの大きなライブハウスで行っていましたが、2018年は、吉祥寺近辺にある複数のライブハウスを使って、お客様はライブハウスをはしごして楽しむというもの。結局、台風を重なり開催中止になってしまったのですが、このイベントを企画したことにより、今につながるコネクションが多く生まれたので良かったと思います。

ライブハウスが減少する中、店内のライブスペースでアーティストを応援!

―「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」の具体的な計画が持ち上がったのはいつ頃でしょうか?

田中:三井不動産からお話をいただいたのは、このサーキットイベントを企画しはじめた2018年頃ですね。音楽フェスもうまくいき、いよいよ醸造所の設立に乗り出すタイミングかな、と動き始めました。

それと同時に、サーキットイベントを開催するにあたり、ライブハウスと関わるようになり気づいたのが、近年の音楽を取り巻く状況でした。ライブハウスはうまく収益を確保することができず、ここ数年、減少の一途を辿っている。アーティストはライブを開催するにしてもチケットを売るのも大変で、活躍しにくい環境に。音楽好きとしては心苦しい状況でした。そこで目を付けたのが、飲食店で行われる投げ銭ライブ。飲食店の一角を借りてライブを行い、お客様はライブを聴きながら飲食が楽しめるというもので、アーティストはライブハウスほどコストをかけずに発表の場が持てるし、飲食店はライブ目当ての人を集客ができる。双方にとってメリットのあるもので、いいなと思っていました。

そこで、「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」はライブができるブルワリーレストランにしようと決めました。現在は不定期ですが、徐々に頻度を増やして週1回を2回、そして毎日ライブを開催している状況にしたい。このライブスペースがアーティストの応援につながればと思います。

元「デビルクラフト」店長を醸造長に抜擢。ここでしか飲めない作りたての味わいを追求

―醸造はどのように行われているのでしょうか?

田中:店内奥が醸造スペースになっていて、醸造長の鈴木 諒と、ブルワーの大庭 陸の2人が主に作業を担当しています。鈴木はもともと醸造所併設型ビアパブの先駆け的存在として知られる「デビルクラフト」で店長をしていた人物。彼も音楽好きで、2014年の第一回「クラフトロックフェス」を手伝ってくれたんです。以前からブルワリーレストランの構想については彼に話をしていて、ヘッドブリュワーは彼しかいない、と思っていました。

 
(店内奥には広々とした醸造スペースを備える)

―どのような味わいのビールを目指していますか?

田中:醸造は鈴木に一任していますが、彼は“クリーンなビール”を追求している醸造家。雑味がなく、するする飲める。それに加えて、当店のテーマのひとつ「音楽」から連想される“ワクワク感”のある味わいも意識しています。

なによりはブルワリーレストランなので、作りたてのみずみずしいフレッシュな、ブリューパブでしか出せない味わいも大切にしています。都内の系列店、「クラフトビアマーケット」と「立飲みビールボーイ」では、ここで作ったビールはあえて提供していません。他の系列店に行くなら、ここにきて作りたてを飲んでほしいという思いがあるからです。

そして、ここで作るビールの多くが、音楽からインスパイヤーされたもの。ビールの名前にその曲名を付けていています。ビール好きのアーティストも多く、音楽×ビールの親和性は高い。この「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」を起点に、音楽とのコラボでさらなるクラフトビールの可能性を追求していけたらと思っています!

博多の繁盛メーカーが東京進出!人材、セントラルキッチン、周到に用意

―田中さん、ありがとうございました。次は松村さんの「博多ニューコマツ」について伺いたいと思います。博多といえば、全国の飲食関係者がこぞって視察に訪れる全国屈指の激戦区。ハイレベルな店がしのぎを削りながらも繁盛店をいくつも作り上げている松村さんですが、何故あえて東京でも勝負しようと思ったのでしょうか?

松村:いやあ、田中さんの壮大な話を聞いていたら恥ずかしくなってきました……(笑)。僕はというと、東京進出は夢で、「いつか」とは考えていました。今回、三井不動産さんから熱心なオファーがあったことや、2020年の東京オリンピックの開催という滅多にないタイミングということなど、さまざまな要素が重なり出店を決めました。日本橋というロケーションも決め手のひとつですね。街を歩いたときの雰囲気に惹かれました。なんというか、キレイな街並みに、歩いている人もどことなく上品。ここで博多の酒場文化を発信したい!と思いました。

―「博多ニューコマツ」の前に、5月に足掛かりとしてオープンしたのが「コマツ神田 西口商店街」ですよね。

松村:ええ。まずは近くの神田に「コマツ神田 西口商店街」を出店し、そこの2階をセントラルキッチンとしました。これは過去の経験からきていて、2017年7月、博多に出店した「ニューコマツ」では、商業施設内の店舗ということで、通し営業が必要かつ仕込みスペースも確保することができず難儀しました。そこで、同年9月に至近に「地下のニューコマツ」をオープンさせ、そこをセントラルキッチンとして機能させることで仕込みの問題を解消。このことから、「博多ニューコマツ」も同様、「コマツ神田 西口商店街」の2階を利用し、仕込みを行っています。

スタッフもまずは博多のメンバーを中心に運営することにしました。社内で志願してくれたメンバーとともに東京に。彼らの住まいも会社で手配しています。

田中氏も舌を巻いた!COMATSUスタッフのすごいサービス力とは?

―都内で人を採用するという考えにはならなかったのですね。

松村:当社の強みのひとつが、スタッフだと思っています。まずは博多のメンバーで下地を作ることは必須。アルバイトは何名か東京で採用しましたが、社員はすべて博多のメンバーです。今後、落ち着いてきたら東京でも本格的に採用を進め、人が育ってきたら次の展開もあるかな、と思います。

田中:「コマツ神田 西口商店街」に行きましたが、COMATSUスタッフのサービス力はすごいですよね!僕は独立前、立ち飲みの「Gyo-Bar」で働いていて、そこもフレンドリーな接客がウリの店でした。繁盛店をまわす中で、いかにお客様に楽しんでもらうのか瞬発力が試される環境にいたからこそわかるのですが、COMATSUのスタッフさん達はすごい。一瞬でお客様をパーン!と笑顔にする力を持っている。決して誰か特定のスタッフの属人的な力に頼っているわけでなく、皆がビジョンを共有してそれに向けて、個々ができることに取り組んでいる。店舗のデザインも細部までこだわりがあって、オーナーの松村さんのことは、「きっと店づくりが大好きな人なんだろうなあ」と思っていましたよ。

松村:ありがとうございます。時々、サービス精神が行き過ぎるので「嫌われないようにだけしてね~」とスタッフには言っていますが(笑)。今の時代、本当にいろいろな業態やコンセプトが存在しますが、最終的に飲食店は“人”の力なんだと僕は思っています。最近はタッチパネルなどを活用してマンパワーを省力化するお店なんかも増えてきましたが、当社では変わらず“人”という強みはブレずにやっていきたいと思っています。

博多はクラフトビール不毛の地!?

―今後、2人でやりたいことはありますか?

田中:まずは視察がてら飲みに行きましょう!(笑)博多も行ってみたいです。あとは、うちの醸造所でCOMATSU限定のビールを作るとか。

松村:いいですね!博多も案内しますよ。田中さんは福岡での展開は考えていないんですか?

田中:福岡ってクラフトビール業態が難しいんですよね。こちらほどクラフトビールを飲む土壌がないように感じています。

松村:確かに、博多だと焼酎1杯300円くらいのイメージがあるので、クラフトビールは価格面でどうしても抵抗が生まれてしまうのかもしれないですね。

田中:逆にチャンスかもしれないですね。どうですか、博多でブリューパブ「コマツブリューイング」とか(笑)。

松村:できますかね?(笑)まずは、田中さんにビールをはじめいろいろ教えてもらいたいです!

田中:僕も松村さんの繁盛店づくりの秘訣を聞きたいです。それじゃあ、この後は日本橋ではしご酒ですね!

―お2人とも、本日はありがとうございました!これからのさらなる活躍に期待しています。


(「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」にて)

【店舗情報】

クラフトロック ブリューパブ&ライブ
住所:東京都中央区日本橋室町3-2-1 コレド室町テラス 1F
電話:03-5542-1069
営業時間:11:00~23:30(フードLO22:00、ドリンクLO22:30)
定休日:無休(施設に準ずる)


博多ニューコマツ
住所:東京都中央区日本橋室町3-2-1 コレド室町テラス B1F
電話:03-6910-3224
営業時間:【平日】11:00~15:00(ランチLO14:00、フードLO14:30、ドリンクLO14:30)、17:00~23:00(フードLO22:00、ドリンクLO22:30)【土・日・祝日】11:00~23:00(フードLO22:00、ドリンクLO22:30)
定休日:無休(施設に準ずる)

(取材=大関 まなみ)

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