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いまでや前田氏による「初代ちょい呑みスタンド440」がオープン!酒のプロから見た焼酎のこれからとは?

新富町「蔵葡-Kurabuu-」の間借りで週に1日だけ営業する「初代ちょい呑みスタンド440(よしお)」が話題だ。焼酎と輸入ワインを中心に、レアな酒やユニークな飲み方を提案する“ラボラトリー”的酒場。切り盛りするのは、酒販業のいまでや(千葉氏中央区)の取締役・前田嘉夫氏だ。この営業を開始した経緯や、酒のプロフェッショナルである同氏が考える“焼酎のこれから”について語ってもらった。



いまでや 取締役兼経営戦略室長 前田嘉夫氏
電子機器メーカーを経て2005年いまでやに入社。飲食店のドリンクメニュー作りのサポートをはじめ、酒に関する業務に幅広くかかわる酒のプロフェッショナルだ。

―「初代ちょい呑みスタンド440」とは?

当社直営の飲食店、新富町の「蔵葡-Kurabuu-」を間借りして日曜の12時~18時の週1回オープンしているちょい呑みスタンドで、8月から開始しました。もともとの「蔵葡-Kurabuu-」が“日本酒と日本ワイン”をテーマにしているので、「初代ちょい呑みスタンド440」では、“焼酎と輸入ワイン”をメインにラインナップしています。これまで14年間、いまでやで酒のプロとしての経験を生かし、めったに飲めないレアなお酒や、ユニークな飲み方で楽しませる1杯を多数用意。自由な発想でお酒を楽しむ“ラボラトリー”的な位置づけとしています。

―例えばどんなお酒が飲めるのでしょうか?

オススメは「至極のハイボール マール・ド・ハイボール」(4400円)。ボトルで小売価格約4万円のマールを、贅沢に炭酸で割ってハイボールにしたものです。


(「至極のハイボール マール・ド・ハイボール」(4400円)。ラインナップの中では高額な商品だが、マールのボトル価格を考えれば、めったに飲めない高級酒を気軽に楽しめるオススメの1杯だ)

まずは、せっかくなのでそのままのマールをひと口楽しんだあと、ソーダ割にして味わいの変化が楽しみます。この値段のマールをソーダ割にするなんて恐れ多くて普通はやりません。でもここはお酒のラボラトリー。新しいことにどんどん挑戦する場所としています。


(アルコールの”味変“が体験できる「ビールだもん!」(590円)。軽い味わいのビールにカルダモンのリキュールを垂らして楽しむ)

あとはこれ、「ビールだもん!」(590円)。ビール「アサヒスーパードライ ザ・クール」に、「AKAYANE」シリーズのカルダモンリキュールをほんの少し加えたもの。製造元の佐多宗二商店の営業の方に教えてもらった飲み方です。軽い味わいの「アサヒスーパードライ ザ・クール」にカルダモンの香りを加えることで一気に華やぐ。アルコールにアルコールを加えて味変を楽しむ仕立てです。


(フードは乾きものなどの簡単なつまみを数種類用意するほか、持ち込みも可能。稀少な日本酒を小ポーションで440円とリーズナブルに提供することも)

―なぜこのような取り組みを始めようと思ったのでしょうか?

これまで飲食店を中心に酒販業に関わってきたものの、現場に立つという機会はほとんどなかった。実際に自分で店を切り盛りすることで、新しい視点を得たいと思ったのがきっかけです。

実際に「初代ちょい呑みスタンド440」を始めて知ることも多い。営業中はワンオペなのでトイレに行けないとか(笑)。ここで様々なことを実験してお客様の声を聞き、何らかかたちにしていけたらと思っています。

―「初代ちょい呑みスタンド440」では多くの焼酎を取り揃えていますが、焼酎を売るために必要なことは何だと考えていますか?

まず飲食店に対しては、“焼酎好きのための焼酎の売り方”から脱却することが大切だと思います。これからの時代、かつての焼酎ブームを知らない若い人が飲み手の中心となってくる。そんな人達にとって、飲食店に行ってメニュー表に「焼酎」というカテゴリがあるとなんだか引いてしまう。焼酎好きにとってはいいかもしれませんが、焼酎に詳しくない人にとっては、そこに目を向けることもしないかもしれない。焼酎を使ったドリンクは、焼酎カテゴリにくくるのではなく、他のドリンクとフラットに並べること。例えば黒木本店の「中々」を使ったレモンサワーを「焼酎」のカテゴリに並べるのか、サワーなどと一緒に並べるのか。これだけでもとっつきやすさが変わるのではないでしょうか。


(焼酎を中心に前田氏がセレクトした多様な酒が楽しめる。前田氏の下の名前、「よしお」にちなんで多くを1杯440円に設定している)

あとは“脱・銘柄”。先日、日本酒に詳しいある方に「焼酎は日本酒よりも先に“脱・銘柄”したね」と言われました。実際に「初代ちょい呑みスタンド440」に立っていて肌で感じることですが、銘柄ではなく「芋が飲みたい」「麦でオススメは?」などの原料で指定されることが多い。銘柄名で打ち出すのではなく、シンプルに芋、麦、米、黒糖、泡盛……とわかりやすく提案してみるのはいかがでしょうか。

蔵元に対しては、若い人も親しみを感じるような銘柄名やエチケットに挑戦していってもいいと思う。一升瓶にこだわらず、気軽に飲める四号瓶も充実させてほしい。

飲み手も作り手も、ロック以外の飲み方にも挑戦してほしい。レモンを絞ったり炭酸で割ったり。飲食店はそういう飲み方をどんどん追求してほしいし、蔵元もそうした取り組みを歓迎してほしい。自社の酒に別のテイストを足すことでまた違った味わいの可能性が発見できるかもしれないですし。

―先ほどの「至極のハイボール マール・ド・ハイボール」や「ビールだもん!」など、前田さんも実際にどんどん新しい提案をしていますよね。焼酎では何か面白い飲み方はありますか?

先日、焼酎の「壱岐焼酎 ちんぐ」などで知られる重家酒造の横山専務が来店し、そこの「ちんぐ 夏上々」というアルコール度数19度の夏焼酎を熱燗にして飲んでもらいました。もう夏も終わるという頃で季節がずれてしまうイメージの夏焼酎ですが、燗につけるだけで大変身。横山専務も「うまい!」と大絶賛。アルコール度数が高いので、食事の油を切ってくれる。食中酒として味わうことを提案する飲み方です。「夏焼酎の思わぬ飲み方だ」と喜んでもらえました。夏焼酎は、夏はハイボール、冬は燗で楽しむという2つの楽しみ方ができるという発見がありました。

これから寒くなったら、焼酎の原酒も熱燗にしたいですね。高アルコールで「飲みにくいという」イメージの原酒も、その性質を利用して、口の中の油をさっぱりさせる、食事にベストマッチングなドリンクとして追求していきたい。

こうした出来事は、会社の先輩や取引先の飲食店の方々から聞く話だけではわからない。やはり自分で実際に酒を売らないと体験できないなと日々実感しています。

目に見える焼酎ブームは来るかはわかりませんが、新しい焼酎のムーブメントは必ず来ると思います。時代を作るような焼酎造り・飲み方の提案が求められているのではないでしょうか。

―前田さんの取り組みこそが焼酎新時代の第一歩ですね。本日はありがとうございました!


初代ちょい呑みスタンド440(よしお)
住所:東京都中央区築地1-5-11 AS ONE GINZA EAST 1F(「蔵葡-Kurabuu-」と同住所)
交通:新富町駅から徒歩2分、築地駅から徒歩4分、東銀座駅から徒歩6分
営業:毎週日曜12:00~18:00(営業状況はFBにて都度告知)
https://www.facebook.com/初代ちょい呑みスタンド440-112288906792390/https://www.facebook.com/初代ちょい呑みスタンド440-112288906792390/https://www.facebook.com/初代ちょい呑みスタンド440-112288906792390/

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