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飲食戦国時代を勝ち抜く業態開発! 森智範氏&下遠野亘氏&大林芳彰氏、繁盛店ヒットメーカー対談 後編

株式会社M&Co. 代表取締 森 智範氏、株式会社スパイスワークスホールディングス 代表取締役 下遠野 亘氏、株式会社Big Belly 代表取締役 大林 芳彰氏。繁盛店を連発するヒットメーカー3名による対談レポート。創業の経緯や、業態開発、プロデュースの事例を交えた繁盛店の秘訣などを語ってもらった。

※本記事は、1月24日、フードスタジアムは「焼肉ビジネスフェア2019」内にて、「飲食戦国時代を勝ち抜く業態開発~繁盛店づくりの秘訣をヒットメーカーが語る!~」のレポートです


【ゲスト講師】
(写真左から)
M&Co. 代表取締役 森 智範氏

スパイスワークスホールディングス 代表取締役 下遠野 亘氏

Big Belly 代表取締役 大林 芳彰氏

【司会】

フードスタジアム 代表取締役 大山 正 氏

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関西の地域情報誌「Meets Regional」が役に立つ?

大山:これは会場の皆さんが気になっているところだと思うのですが、業態開発の情報収集をどのように行なっていますか?

下遠野:ビジュアル、盛り付けとかは料理研究家の方を参考にしたり、情報誌をよく読みます。それ以外の味わいなどは、「専門料理」(柴田書店)等の専門誌を読んでます。関西の情報誌、「Meets Regional」(京阪神エルマガジン社)を見て自分の立ち位置を見つつ、業態が真似になってしまってないかなどを確認します。

大林:「Meets Regional」は僕も読んでいます。関西の方が値段も安くて、材料の使い方が上手くて、すごく考えてメニューを作っている店が多いんです。同じ料理屋業態でも関東の方が高いんですよ。素材の使い方や料理のバリエーションも一目瞭然でわかりやすいですし。この雑誌は大きめの本屋さんに行けば東京でも手に入ります。

他にも地方に行くときWebで「食べログ」、「テリヤキ」をチェックします。Instagramでは自分の手がけている料理のカテゴリのハッシュタグを追いかけて、映える盛り付けなどをリサーチしていますね。海外の情報も入るように英語でも検索するようにしています。「Yelp」では、アメリカ人が作ったアジアン料理、NYやサンフランシスコの売れている店を見ています。そこから情報を得て、メニューを抜粋することもありますね。「ロケットニュース24」もバズるグルメがアップされているので、日々チェックしています。

:料理に関しては、予約の取りにくい店や人気店を食べ歩いて情報を得ることが多いです。

グルメ情報誌よりは、どちらかというとファッション誌などから新しい情報を拾っています。料理というより、人がどういうものを求めているのか、どういう人が応援されているのかとか。アプリだと、現代のコミュニケーションの取り方や、絆の作り方を知るために「showroom」もチェックしています。時代の流れで飲食ビジネスは、胃袋の取り合いから、時間の取り合いになって、今は心の取り合いになっている。料理の味だけでなく人が見られていると思うので、そういう部分を情報収集しています。

ヒットメーカーも失敗する?

大山:ヒットメーカーと言われるお三方ですが、失敗談をお聞かせください。

大林:あるお店のプロデュースでは、オーナーさんが飲食店出身でなく、現場には立たない方だったので、すごく難しかったです。そうなると働く人が言うことを聞いてくれないケースがあるので。僕がある時、店内を1日かけて作り込んだんです。短冊やポスターをわざとズラした感じで貼ったりして。それで次の日に行ってみたら、店の上の人が斜めに貼った短冊を全部まっすぐに貼り直してしまったんです。オープン前日も料理長が休みだったり……。パワーバランスを伺いながらやっちゃうとダメだなとつくづく感じました。しっかり、こちらに任せてもらわないと。

客観的に見ていてよくあるダメなパターンは、社長の食堂になってしまうケース。途中であれこれ増やして軸をブラしてしまってダメになっていく。僕の場合は、社長が試食させろ、と言うのもNG。何から何まで口出すのはダメです。

下遠野:伸びなかった店、結構ありますよ。今やっている86店舗のうち1割はダメな店ですね。業態変更繰り返したりします。例を出すと、荻窪でやった店は3回、業態変更したんです。肉寿司やって、鎌倉ハムやって、焼肉屋やって……。なんでこんな人の通るいい場所で当たらないのかな、って未だに原因はわかりません。最初に出した店は人通りのない場所で営業していたので、人通りの多い場所で外すハズがない、と思いながら勉強と反省の毎日です。断言すると、たくさん店をやれば、絶対外すものが出てきます!あと、仙台の国分町で焼肉寿司を運営していたのですが、不調で今は4ヶ月ほど閉店させています。これも業態変更を繰り返すか迷っています。「肉寿司」は真隣で営業していて好調なんですよね。

不調な業態は人通りや家賃のバランスは糞食らえで、自分への挑戦だと思って踏ん張っています。ダメな業態でも中で回す人が良ければ、良いと言う話もあります。先ほど少し話した恵比寿横丁の「焼肉寿司」の売り上げが上がってきたのも、店長が変わっただけなんです。

僕ら、業態をマシン、スタッフをドライバーに例えて話をすることがあるんです。極論、どんなマシンでも乗りこなせるドライバーを育てれば、プロデューサーはいらないのでは?と思っています。

次にチェックしておくべき店はココ!

大山:次は、今、注目しているお店を教えてください。

:そうですね。イギリス「The Fat Duck」、デンマーク「Noma」、大阪谷町四丁目「Fujiya1935」、兵庫神戸「カセント」、大阪北新地「カハラ」の5店舗です。ミシュランに載るような高級業態を居酒屋化するのが得意なので。イノベーティブ・フージョンと言われるジャンルなのですが、ちょっと情緒的でノスタルジックな心を表すような料理が出てきます。最新の技術が使われていたり、五感で心の優しさを表すような味わいですね。

下遠野:シンガポールの「Ushidoki Wagyu Kaiseki」と古参の「安参」。肉が好きなので肉を食べに行っています。「Ushidoki Wagyu Kaiseki」はそこまで期待していなかったんですけど、京都の職人が作った板前割烹ですごく良かった。

(大林氏がイチオシする渋谷のエンターテイメント居酒屋「ももまる」)

大林:自分がやっている業態もあり、2000円から5000円くらいの店に食べに行くと決めています。まず渋谷の「ももまる」はエンターテイメント性の高いラーメン居酒屋。名古屋発祥の店なんですが、名物キャラである“ピンクの妖精”ことももちゃんがアクロバティックなパフォーマンスを見せてくれて、すごく楽しい。ラーメンも味仙のような名古屋っぽい味わい。店内がピンクで、「おっぱい卵」もぜひ頼んでみてほしいです(笑)。

名古屋の「だいじん」は100年続く居酒屋で、1、2階で120席あります。ドリンクは瓶ビールか日本酒の2種類だけ。惣菜は200~300円の物を自分で持っていって、会計は皿の数で計算。名古屋のおばちゃんが作った惣菜を日替わりで食べられて、刺身はオーダーがあってから捌くんです。夕方4時くらいに満席になっちゃうんですけど、オペレーションなど、大衆酒場感がすごくて勉強になりました。

鹿児島の「足立屋」は立ち飲みなんですが、たぶん鹿児島で一番入っているんじゃないかってくらい賑わっています。もともと沖縄のせんべろ酒場で、お酒が4杯とモツ煮込みか串カツが4本ついて1000円。肌感覚なんですけど、昼から営業していて、13坪で月商1500万円くらいはあると思います。

「ももまる」はエンターテイメント酒場、後の2店舗は、これからオペレーションを軽くする業態が流行るかなと思って選びました。

最後に、「ハンシンポチャ」は韓国で必ず行くお店です。20時間近く営業しているお店で、「タッパル」という、炒めた鳥の足をコチュジャンなどの激辛な味付けで食べるんです。本来、捨てる部分でうまく料理を作ったなという感じです。おにぎりは自分で韓国海苔を混ぜて、ビニール手袋つけて、自分でおにぎりにします。参加型の発想が面白くて、これをベースに、当社がフランチャイズでやっている「串カツ田中」で、同じようなおにぎりを出しています。

今後来る業態なんてない!?ヒットメーカーの語る未来のトレンド

大山:最後の質問です。ズバリ今後どのような業態が来ますか?

:あんまり考えない方がいいのかなと思っています。先ほども言いましたが、業態や料理がメインでない気がしています。店って結局、どんな人がいるかという話になってくるんですよね。

もし今後チャンスがあるとすれば、食文化とか食文明とかテクノロジーとか新しい分野を取り入れたお店だと思います。あとはもう自分の好きなことをやっている店。マイノリティに考えた方が、広がりがあるんじゃないかと。

大山:森さんは、今年来年でロボットやAIなんかも取り入れていくんですか?

:そうですね。そういうものを組み込んで、より楽しく価値のある店を作りたいです。「ミシュラン×キャッシュレス」や、「ミシュラン×ガールズバー」とか。

下遠野:森さんと同じ考えなんですよね。来るとか来ないとかはないですよね。僕自身はやらなきゃいけないことはやっていこうかなと思っています。どんどん増えている猪や鹿の出口は作ってあげたい。なかなか自社でも売れていないのでどうしようかなと言うところです。意義あることは、一生懸命やります。

大林:僕はどっちかと言うか本物志向というか、専門性のあるところがいいと思います。「アガリコ餃子楼」では作っているところを見せるとか、冷凍は一切しないとか。

あと、餅は餅屋じゃないですけど、美味しいものをきちんと作らないとダメだと思っていて、専門家と組むのは大事ですよね。2017年にオープンさせた池袋の「うどん酒場 香川一福 池袋」を一緒に作ったのは、ミシュランのビブグルマンに認定された「香川一福 神田店」。本物の讃岐うどんと大衆酒場を合わせた業態で、そういう人が一緒になって作ると相乗効果になって強いんじゃないか。どう業態を変えるというより誰と組むかは大事だと思いますね。

大山:みなさん来るとか来ないとかはないという共通のご意見ではありましたが、これからは専門性の時代ということですね。数ある業態の中でトレンドを生むお三方ならではの意見と、失敗談など我々にも共感性のあるお話、両方を伺え、大変勉強になりました。

本日はたくさんお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

~完~

 

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