お茶割り並にノンアルお茶のバリエーションも増えている
最近お茶割りがブームですが、同時に「ノンアルコールのお茶」を充実させる店もよく見かけるようになりました。
酒場でノンアルのお茶、どんなシーンで注文されるのか――まずはノンアルの選択肢を増やし飲めない人の満足度向上があります。が、それよりもお酒を飲んだあとの「〆の1杯」としてお茶を飲んでほしいと用意している店もあるようです。
確かに、定食屋などで食後にあたたかいお茶が出てきたりすると嬉しいですよね。そのイメージで、それを商品として有料で用意して頼んでもらい単価を上げる戦略です。たくさん食べて飲んで、最後にお茶を飲むとなんとなく落ち着きますよね。もうお酒は飲めないけど、もう少しこの店で過ごしたい、なんてときもお茶があればつい頼んでしまいそうです。ですので、アイスだけでなくホットも選べるようになっていることも多いです。
実際の事例をいくつか紹介します。三軒茶屋の「一軒茶屋きんざざ」は、こだわりの茶葉を注文後に急須で抽出してつくるお茶割りをウリにした酒場ですが、お茶割りのお茶をノンアルコールでも用意しています。店によると、他の店でしこたま飲んだ後、同店に立ち寄ってホットのお茶を楽しんでから帰宅する、という使い方をするお客もいるそうです。

「一軒茶屋きんざさ」では注文後に急須で茶葉を抽出。その様子も付加価値として楽しまれる。淹れたての香りも◎
渋谷にオープンし話題の「型破離(かたやぶり)」でも、お茶割りに使うお茶をノンアルコールでも用意し、〆として楽しむことを提案しています。同店は中華料理がメインの立ち飲み。中国の「飲茶」文化があるようにお茶は中華料理と相性抜群です。
日本人に根強く残る「お茶は無料」のイメージ
日本では「スターバックスコーヒー」や「ドトールコーヒー」、「タリーズコーヒー」など、「コーヒー」を打ち出したカフェは人気ですが、紅茶や緑茶などのお茶を打ち出すカフェはあまり多くありません。何故でしょうか。
諸説ありますが「お茶カフェ」がスケールしない理由として、日本人にとって「お茶は無料」のイメージがあるからです。
お茶は日本古来の文化で、日本人の生活に根を張っています。先述のように、定食屋さんなどで食後に無料のお茶が出てきたり、お冷やの代わりに無料でお茶が飲み放題のお店も少なくありません。こうしたことからもお茶=無料のイメージがあります。一方でコーヒーは外来品、日本に入ってきたのは江戸時代だそうです。なんとなく、コーヒーはお金を出して飲むもの、というイメージがあります。
ところが最近は潮目が変わりつつあります。スターバックスは「ティバーナストア」というティー特化型のブランドの店舗数を増やしていますし、同様にタリーズも「タリーズ コーヒー&ティー」というやはりティーブランドに力を入れています。海外の人には抹茶が大人気で、浅草や原宿のような観光地では抹茶専門店が乱立しています。抹茶は海外ではスーパーフードとして日本とはまた違う文脈でブームになっているとか。コンビニでもセブンイレブンがレジ横の淹れたて紅茶「セブンティー」をスタートしたことも話題です。
大手が「お茶は無料」のイメージを変えてくれる?
大手としては、コーヒーはもう飽和状態であり新たなマーケット開拓の必要性を感じているようです。また抹茶などの日本茶はインバウンドにも引きがあると熱視線を送っています。お茶の市場が広がれば、やがて「お茶は無料」という意識が薄れていくのではないでしょうか。
話を酒場に戻すと、こうした追い風がある中でノンアルのお茶を充実させることでプラス1杯の単価アップが叶うかもしれません。もちろん、値段を取るなりの価値のあるお茶を用意することが大切です。例えば茶葉にこだわったり、オーダー後に抽出して淹れたてを出したり…。いかに価値を高めて単価を上げるかますます知恵を絞らなくてはならない今、「お茶」に着目してみるのはいかがでしょうか。