新・編集長コラム

「串亭」リアルテイストが今度は「とりいちず」のFS.shake傘下に!

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


エー・ピーホールディングスが子会社であるリアルテイストをFS.shakeに譲渡というニュースが飛び込んできました。ちょっとびっくりしましたが発表されたのは3月31日、エイプリルフールには1日早いので嘘ではないようです。リアルテイストは2006年に路次徹夫氏が創業、現在は串揚げの「串亭」を首都圏で10店舗展開しています。2018年には一度バルニバービ傘下に入りましたが、その後、2018年8月からエー・ピーホールディングスの子会社となりました。業績を見てみると、直近の2024年3月期は売上高が約7億7200万円、最終的に純利益が約300万円となり、前年2023年期の約6800万円の赤字からはギリギリ黒字転換という状況です。参照:エー・ピーホールディングス

譲渡先のFS.shakeは、低価格居酒屋「とりいちず」やシーシャ店「C.STAND(シースタンド)」などを展開する今勢いのある飲食グループ。同社は若者向け業態が中心ですが、最近では2024年7月に新宿歌舞伎町にアッパー系もんじゃ焼き業態「もんじゃ三日月」をオープンするなど、多角化を進めています。今回「串亭」が加わったことにより、さらに強固なポートフォリオが構築されていきそうです。

すかいらーくの「資さんうどん」、ワタミの「サブウェイ」とM&A活況

2024年外食アワードと一緒に発表される「2024年外食キーワード」に「M&A活況」が入ったように、いま飲食業界はM&Aに沸いています。昨年はすかいらーくによる福岡「資さんうどん」や、ワタミの「サブウェイ」買収が話題を呼びました。飲食企業がM&Aを進める背景には、単一業態の一本足打法でなくマルチブランド化を進めることでの経営の安定化があるはずです。

近年はなんでもそろう「総合型」の飲食店よりも、特定のアイテムに特化した「専門型」の方がウケがいいと言われています。すかいらーくはファミレスの雄ですが、ファミレスはまさに「総合型」。和洋中、色々なジャンルの料理が揃い、使い方も自由です。その代表格であるすかいらーくの「ジョナサン」ですが、ここ数年は店舗数が減っており、変わりに同じ場所で別の専門業態にリニューアルするケースが多くなっています。ワタミもまさにターゲットを絞らない「総合型」の居酒屋として長年やってきましたが、「サブウェイ」のような逆にターゲットが絞られる専門店を取り込むことで従来のビジネスモデルからの脱却を図っているのでしょう。

1事例が全国およそ2000店舗に波及した「ネズミみそ汁」

単一ブランド経営は、コスト抑制や認知度拡大などではメリットは大きいですが、デメリットとも表裏一体。最近の事例でいえば「すき家」の「ネズミみそ汁」がまさにそうでしょう。「すき家」のとある店舗でネズミの死骸が入ったみそ汁が提供されたとネット上で大騒ぎになり、現在「すき家」は一部店舗をのぞいて一斉休業に追い込まれました。同じブランドというだけで、たった1つの事例が全国およそ2000店舗に影響を及ぼしたのですからこれは痛手です。ただ、運営のゼンショーの他ブランドの店舗は普通に営業しています。例えば「すき家 渋谷円山町店」は例に漏れず休業していますが、すぐ隣のビル、目と鼻の先にある「モリバコーヒー 渋谷カフェ」はどこ吹く風で通常営業。同店は「すき家」と同じゼンショーが母体のカフェなのですが、そうとは知らずに利用しているお客も多そうです。なんなら「なか卯」もゼンショーですが、こちらも通常営業中。一つのブランドが痛手をこうむっても、他ブランドがあれば全社で見た時の損失はなんとか抑えられるでしょう。

多角化が狙いの新業態開発も活況

昨年、東証グロース市場に上場したINGSも、2024年11月には低価格居酒屋業態の「金目樽(きんめだる)」、今年2月にはすし居酒屋業態の「魚の登竜門 すしショップ百太郎」をオープンし、多角化を進めています。同社は「らぁ麺 はやし田」や「CONA」が主力業態ですが、これらの業態では出店できない物件・立地にも進出するべく新たに開発した業態だそうです。

Z世代に人気の飲食店を展開するLINE STYLEは、2月、新宿に「ビストロ リタ」をオープン。その際、代表の馬淵和也さんが話していたのが、やはり業態の多角化。現在は「つむぎ堂」といったトレンド系居酒屋に、「めしや ヒロキ倶楽部」というアッパー系居酒屋を運営していますが、将来的にはここに低価格居酒屋業態もポートフォリオに加え、多様なニーズの取り込みと、何より人材確保につなげたいとのことでした。

M&A以外でも多角化を目的とした新業態開発も活況。フードスタジアムではそうした注目企業の新業態にも注目し、随時「ヘッドライン 」にて取り上げていきたいと思います。

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