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コラム

インディーVSメジャーの居酒屋“低価格戦争”

当然といえば当然だが、この不況で居酒屋ビジネスのキラーコンテンツは低価格路線"という時代になってしまった。しかも、"徹底した安さ"を売りにする店が増えてきたが...。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


新橋エリアを中心に爆撃的な出店を続ける「魚金」グループ。5月14日にオープンした最新店「立ち呑み 活力魚金」のオープン記念メニューは、「お 刺身のぶつ切り盛り」100円(二週目からは190円)。まぐろのぶつ切りはもちろん、岩牡蠣、カツオ、〆鯖など、8種類の刺身盛り合せの小皿で、通常価 格は580円。常連は「このサービスが続く限り、毎日来ますよ」と話していた。このサービスメニューだけでなく、「魚金」の圧倒的なコストパフォーマンス は業界で知らない人はいないハズだ。“新橋の魚金”はいまや浜松町、五反田、池袋などへ進出し、そのどこのエリアでも他の居酒屋を蹴散らして勝ちまくって いる。 新橋汐留口からすぐの場所、「養老乃瀧」の前に5階建てのビル一棟借りの「新橋応援団 ワタル」が昨年12月にオープンした。下北沢、南青山に姉妹 店があるそうだ(調査中)が、ここの売りは大きな看板に書かれた“生ビール180円”。発泡酒ではなく、歴としたサントリーモルツ。さらにハイボールタ ワーから注がれる「角ハイボール」もなんと180円。サワー類はすべて100円だ。しかし、この店には絶妙なカラクリがあり、「入場料」という名のチャー ジが一人300円かかる。したがって、3杯までは1杯280円という計算になる。それにしても安いことに変わりはないが、ちょっとガッカリさせられるのが 料理。300円台から500台中心の居酒屋定番メニューだが、これがいただけない。量が少なく味もイマイチ。“サントリーお墨付き”と看板にあったが、こ れではサントリーさん、MD指導お願いします! 「養老乃瀧」といえば、神田南口ガード下にあった既存店がいつの間にか「一軒め酒場」に名を変えていた。「養老乃瀧」のホームページにはまだ登場し ていないが、取引業者からのヒアリングでは同社の実験店舗らしい(調査中)。御徒町、大和にも店がある。「一軒め酒場」はその名の通り、仕事帰りのサラ リーマンがとりあえず一軒目に立ち寄れる低価格が売りの店というのがコンセプト。生ビール(中)は347円、サワー類は200円、名物のウイスキーのビー ル割り「バクダン」が300円(これはすぐ酔える)と、ドリンクはそこそこだが、料理は居酒屋定番メニューが100円台~200台が中心。しかも旨い。 104円で提供される名物「旨カツ」は絶品だ。さすがに「養老乃瀧」の商品力の底力を感じさせてくれる。こうした大手チェーンによる個店領域への参入も今 後増えてくるのだろう。居酒屋マーケットを巡るインディーVSメジャーの“低価格戦争”はますますデッドヒートしてくるに違いない。

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