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コラム

“飲食系”クラウドファンディング時代の幕開け!

飲食店開業、飲食コンテンツを対象にした「クラウドファンディング」が盛り上がりを見せ始めている。昨年5月、金融庁主管の「クラウドファンディング法案」が参議院を通過、2015年5月に施行となり、法的な整備も整うことから、クラウドファンディング市場がこれから注目を浴びることが予想される。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


3月19日、日本酒を飲み放題できるセルフ型立ち飲み店舗「KURAND SAKE MARKET(クランドサケマーケット)」が、3月19日にオープンする。3,000円で時間無制限、常時約100種類の日本酒を気軽に味わえるスタンディング日本酒専門店だ。この店は、足立区の玉屋という酒販店の系列企業で、日本酒の定期購入やイベント運営サービスを行うKURAND(クランド)やお酒に関する情報サイト「nomoo」を運営しているリカー・イノベーションが、クラウドファンディングによる支援でオープンする。まだ知られていない日本酒の銘柄や飲み方を紹介する新しいコンセプトの店舗を提案し、目標金額60万円に対して300万円弱のの資金を獲得した。“支援コース”は2300円コースから96000円コースまであり、合計で617人が支援(出資)した。コース別に“リターン”の種類も分かれ、例えば2300円コースは23%オフの招待券がもらえる。8000円コースは「お好きな日本酒をメニューに+オープニングパーティー+無料券、80000円コースともなると「お店貸切プラン」がもらえる。

「KURAND SAKE MARKET」が利用したクラウドファンディングサービスサイトは、サイバーエージェントの子会社が運営する「MAKUAKE」。同サイトのフードコーナーを検索すると、飲食店開業、食材関連、新メニュー関連の支援者募集がたくさん掲載されている。支援募集者は、その店なり商品なりプロジェクトのコンセプトとミッションを掲げ、支援目標額とリターンを明記する。「リターン」はおおよそ出資額に見合うように設定されている。目標額に達したら「成功」だ。目標額に達しない場合は、課金は成立せず、出資者にリスクはない。最近、飲食業界で話題になったのは、関西発のとろさば専門店「SABAR(サバ―)」が「とろさばを世界ブランドに!」と東京進出に際して募集した案件。138人の支援者から、193万円を集めた。同店を運営する鯖やの右田孝宣さんはフードスタジアムの取材に対して、「『sabar」開店ごとにクラウドファンディングを利用していますが、とろさば専門店という世の中になかった業態を多くの人に知ってもらうチャンスとなりました。出店ごとに資金が集まる期間も短くなり、時代の追い風を感じています』と語っている。

クラウドファンディングは「Crowd(群衆)からfunding(資金調達)をする」という意味で、インターネットを介して不特定多数から小口の資金を募る仕組み。モラルリスクの問題や悪徳業者参入の怪訝もあり、投資家保護の観点で長らく調整を重ねていたが、改正金商法(クラウドファンディング法案)が昨年5月に成立した(施行は本年5月)。この法改正は事実上、「株式(エクイティ)型」クラウドファンディングの解禁を意味する。未上場でも1億円を上限にネット上で公募増資ができるようになるため、資金調達の新たな選択肢として中小企業から大いに期待を寄せられている。クラウドファンディングは、支援金に対し物品やサービスでリターンされる“非投資タイプ”と、金銭でリターンされる“投資タイプ”に分かれる。さらに「非投資タイプ=寄付型、購入(報酬)型」、「投資タイプ=融資(貸付)型、ファンド型、株式(エクイティ)型」に分類される。「MAKUAKE」で資金を集めた「KURAND SAKE MARKET」や「SABAR」は「購入(報酬)型」。支援する側は店のコンセプトやミッションに共感し、リターンを受けながらその店のファンとなる仕掛けだ。資金調達は結果であり、むしろニューオープンのプロモーションやマーケティング、ブランディング的な目的が強いといえよう。4月には話題の日本酒バルの2号店がクラウドファンディングで支援募集を始める。日本酒専門店やクラフトビール、生産者支援、地方活性型業態などは、クラウドファンディングに馴染む。2015年は「飲食店開業クラウドファンディング元年」となるかもしれない。

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