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編集長コラム

海外進出のパイオニアたちに学べ!

昨年あたりから、飲食店のオーナーたちがアジアを中心に、海外に出るケースが増えている。最初は視察目的でも、現地の街や人に触れ、日本人経営の店の成功例を見て、「よし、ウチも出よう!」と即断するオーナーも多い。いま「海外に出るここと」の意味を改めて考えてみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


スケジュール表を振り返って見てみると、私も今年に入ってから、よく海外に出ている。そのほとんどは飲食マーケット視察ツアーを企画し、海外進出に関心のある飲食店オーナーたちをアテンドしながら、自分も見て食べて、現地のキーマンたちに会い、交流を深めるという目的。1月はプノンペン、ホーチミン、2月はバンコク、台北、3月はプノンペン、シアヌークビル、ジャカルタ、5月はロサンゼルス、ハワイ、7月はホーチミン、プノンペンと旅して回ってきた。昨年、「フードスタジアム アジア」(http://food-stadium.asia/)を創刊、海外進出支援ポータルサイト「フースタ海外進出」(http://www.foosta-gateway.com/)を立ち上げ、視察ツアーや海外進出サポート、M&A仲介ビジネスなどに乗り出し、自らも海外での取材や飲食店サポートビジネスを始めたことも手伝い、私の仕事の半分はいま海外絡みになっている。

そうしたポジションなので、どの国のどの都市へ行っても、まずは客観的な視点で、「ローカルに根を張って飲食ビジネスや進出サポートビジネスをやっているキーマンに会い、ネットワークをつくること」に重点を置いてきた。なぜなら、海外進出する場合、ゼロから単独で入るよりも、そのローカルで経験を積み、実績と信用のある企業や人物を介して入るほうがリスクが少ないからだ。「誰から入るか」「誰と組むか」が極めて重要なポイントなのだ。とくに成長するアセアン諸国では、いまのところシンガポール、カンボジア以外は独資では会社も店もつくれない。株式の過半を現地資本、現地人名義で始めなければならない(ベトナムは一部解禁の動き)。せっかく進出に成功し、店を増やしても、会社ごと現地パートナーに乗っ取られるというケースも後を絶たない。安易に現地パートナーを紹介、提携を斡旋する日本人コンサルなども横行しているが、そうしたコンサルの話に乗って失敗するケースも少なくない。物件や現地人雇用、食材調達なども、実績あるルートを開拓すべきだ。

海外進出には多くのリスクがつきものだが、それにも増して、夢があり、ロマンがある。前人未到の荒野を切り拓くようなパイオニアになれる可能性も大きい。リスクの壁の向こうには、日本企業や日本人のスキル、クオリティ、人間性をリスペクトし、歓迎してくれる多くの現地の人々がいる。マーケットは無限大と言っていいだろう。カンボジアに2年前に単身で出て、カフェから事業始め、いまやカンボジア最大の総合商社ベンチャーになったトライアジアグループの横井朋幸さん(34歳)が9月に出版する著書のタイトルは『世界は僕らの挑戦を待っている』(角川文芸出版)だ。カンボジアのプノンペンは、私がいま最も面白いと思っている都市だが、昨年6月に初めて訪ねたときの日本人経営飲食店の数は30軒足らずだったが、今年6月にイオンモールが開業したこともあり、7月に訪ねたときはなんと150軒を超えていた。そのすべてが成功しているわけではないが、カンボジアは進出ハードルが低いこともあり、いまでは「海外進出の実験室」とさえ言われている。かつての「内戦と地雷の国」というイメージはどこにもない。若者の笑顔が溢れ、街には高級車が走り回るアセアン一の明るい国である。

台湾を訪ねて驚いたのは、「新光三越」や「微風廣場」など大手商業施設のリーシング担当者たちが口を揃えて「いま一番欲しいテナントは日本の飲食店です」と言っていたこと。「ラーメンブームは落ち着きました。これからはうどんが来ます」と、台湾飲食マーケットをリードしているのが日本の外食、飲食コンテンツだと言わんばかりだった。台北はいまや空前の景気に沸いており、親日性もアジアでは最大であり、とても出やすい環境にある。台北における日系飲食のパイオニアは乾杯グループの平出荘司さん。居酒屋、焼肉、ワイン酒場など多業態多店舗展開し、台湾証券市場に上場したいという夢を持っている。彼によれば、「中国への進出も視野に入れている。台湾企業として中国に出ることはビジネス拡大のスタンダードだ」という。いまは進出先として人気のない中国だが、台湾でまず起業して実績を積み、台湾企業として大陸進出というルートがこれからはリスクが少ない進出方法といえる。中国に出たければ、まずは台北へ!だ。

ロサンゼルスの飲食ビジネスは、そう簡単ではない。物件取得にかかる投資と時間は日本の比ではない。リカーライセンスやその地域での公聴会対策など、日本にはないハードルも多い。そうした難しい都市に単独で乗り込み、1号店の開業までには苦労や失敗を重ねながらも、コツコツとローカル客の支持を増やして、いまや全米に展開しているのが「JINYA」(ラーメンと炉端焼きレストラン)の高橋智憲さん(東京では、「陣屋」などの居酒屋チェーンのラ ブレアダイニング経営)。ロサンゼルス視察ツアーは高橋さんにアデンドしてもらったが、彼の目を通して見る現地での飲食ビジネスはたいへん参考になった。東京の味をそのままもってきてもダメ。「寿司も居酒屋料理もラーメンも徹底的にローカライズしないと勝ち残れない」と高橋さんは断言した。いわば「日本人がつくるローカルジャパニーズ」こそがベストアイテムだのだ。彼の成功は、そのビジネスモデルが世界中の投資家から評価され、いまや全米のみならずアジア各国、中東ドバイなどからも引き合いが来ていることからも注目される。それから、「ロスでの失敗は失敗に終わらない」(高橋さん)。リカーライセンスのついた店は転売しやすい。「売却までが飲食ビジネスの出口」なのだ。ここも日本とは違う。というより、それがむしろ世界の常識といえるかもしれない。こうしたことも海外に出てみなければわからない。世界はあなたの挑戦を待っている!

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