昨日の19日は「F1グランプリ」ならぬ「S1サーバ・グランプリ2006」が開催された。主催は「繁盛店への道」という飲食店サポート企業幹部の 集団。審査委員長にヒュージ社長の新川義弘氏、審査委員にてっぺん社長の大嶋啓介氏ほか。志の高さは理解できたが、レストランサービスという標準化の難し い技術を審査し、それをオリンピック競技よろしく点数をつけて表彰するというのも凄いといえば凄いことだ。 3月には、やはりてっぺんの大嶋啓介氏が立ち上げたNPO法人の「居酒屋甲子園」が日比谷公会堂で第1回「2006居酒屋甲子園」を開催、2000 人の観客を集めた。こちらは全国から覆面調査を経て勝ち上がってきた居酒屋が「お店ごと」のサービスパフォーマンスをプレゼンするというもの。2007年 の第2回には2000店8000人を集めるという計画を早くも打ち出している。 さらに真打登場である。日本LCAは2007年2月下旬、「飲食クオリティサービス大賞」を開催すると打ち出した。こちらは理論的で、「クオリティ サービスとは細部にこだわり、継続的に恒常的に顧客感動満足を追求しつづけること」。個店や個人ではなく、企業全体で「業務プロセス」「仕組み・ノウハ ウ」「改善ノウハウ」などを評価するとしている。日本LCAは居酒屋甲子園の覆面調査を担当している。この「飲食クオリティサービス大賞」でもやはり同じ 覆面調査隊が動くのか。 いずれにしても、レストランにおける「サービス」というものの価値を評価するモノサシをつくるべき時期にきているのは間違いない。国の動きはどうな のか。経済産業省サービス産業課が4月に初めて、レストランやホテルの「サービスのノウハウ育成ビジネス」について助成金を交付することになった。「サー ビス」には特許はもちろん知的財産権もない。それを「暗黙知」と言うのだそうだが、やっとそれが陽の目を見始めたということか。
コラム
2006.04.20
「サービス」という価値がビジネスになるとき
レストラン「サービス」をテーマにしたイベント、それに便乗したビジネスが大流行である。個店が切磋琢磨し、接客担当の個人が優れたパフォーマンスを競い合うのはいいことである。しかし、その集団熱狂はどこまで加熱するのだろうか。サービスはあくまで「客のため」であってほしい。
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。