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コラム

「リージョナル・イン」戦略に注目!

3.11震災以降、ターミナル駅周辺で飲食するよりも、生活基盤のある地域の駅周辺で楽しむ「地元飲み」が増えているという。それを当て込んで、敢えて地域を狙って出店する「リージョナル・イン(地域密着型出店)」の動きが増えてきた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


「リージョナル・イン」戦略は、地域の生活者を顧客ターゲットに置く。大手チェーンの出にくい小商圏エリアにピンポイントで出て行く。その地域の昔からある老舗の個店と共存しながら、新しい顧客層を掘り起こし、取り込んでいく感性とパワーをもつ。「地元飲み」を避けてきた層が、「こんな素敵な店があったんだ!」と驚き、常連となっていくような雰囲気の店づくりに長けている。たまプラーザ、藤が丘、新百合ヶ丘など、田園都市・小田急沿線エリアで店舗を展開し、いずれも大繁盛している「アジアンビストロDai」。グローバルダイニング卒業生であるプレジャーカンパニーの代表・望月大輔氏が運営する注目店だ。その望月氏が、4店舗目「ワインビストロDai」を5月28日に1号店と同じたまプラーザにオープンした。独立2年目にして4店舗の出店、しかも3号店の新百合ヶ丘店は25坪で月商1,000万円を達成する勢い。望月氏の考える店舗開発は、「需要と供給がアンバランスな場所へ出店すること」。たまプラーザや新百合ヶ丘などの高所得者層はレストラン慣れしているが、住民が家の近くで楽しめる店がまだ少ない。今回の物件は、たまプラーザ駅から徒歩3~4分ほどの、飲食店がいくつか入居するビルの2階だ。「1号店と比較して、あまり立地条件が良くない」と言う望月氏は、料理やワイン、サービスの他に、今回は“空間”にも力を入れ、足を運ぶ価値を提供できるように努めた。現在、世田谷、尾山台、中目黒、都立大、方南町、武蔵小杉、笹塚、学芸大学、渋谷、蒲田と計10店舗(FC店含む)を展開する「串カツ田中」(代表はノートの貫啓二氏)は、、既存の大半の串カツ店が苦戦しているなか、業界からの注目度も高い“超”繁盛店。“串カツ×生ビール”が圧倒的に売れる夏には、坪月商50万円(世田谷店)をはじき出している。立地は住宅地がほとんど。客層は近隣住民を中心に、土日は子ども連れのお客も多く集客する。ファミリーでも入りやすい内外装と、明るく元気の良いスタッフが老若男女を歓迎している。開放的な店頭には売りである“串カツ”の大きな文字と“赤提灯”をぶら下げ、賑々しい雰囲気でお客を呼ぶ。商店街を抜け、住宅街に入る幹線道路沿いに出店する「いわば都会のロードサイド型」(貫氏)という出店戦略もユニーク。これまで周囲にはなかった赤提灯のスタイルで、それそれの街の雰囲気を変えてきた。このような新感覚の店づくりで地域の飲食シーンを面白くする若手の成功者が増えている。地域に密着し、ニーズを掘り起こし、繁盛店を展開することで、その地域、沿線をブランディングしていく。そんな「リージョナル・イン」(「リーイン」)戦略に注目したい。

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