コラム

2007年の飲食トレンドを読むキーワード(2)

『日経トレンディ』12月号の特集「2007年ヒット予測ランキング」14位にピンポイント郷土居酒屋"が取り上げられた。筆者が来年のトレンド・キーワードとして挙げた「新ベタコテ」「地方活性化」のいわば"合体系"である"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


例としては、筆者が推薦した、安田久・エイチワイシステムの「あまくさ」、佐藤裕久・バルニバービの 「本家 かのや」など、「地域をピンポイントに絞ることで強い個性を出し、他店との差別化に成功している」(同誌)店が紹介されている。たしかに、いま「居酒屋」 が個性を打ち出す切り口として、「地域」「郷土」を取り入れることは、新しい“売り”になっており、このトレンドはまさに来年ヒートアップしそうである。 昨日訪ねた、渋谷・桜ヶ丘にひっそりとオープンした「SSO(ササオ)」の“売り”もまさにピンポイントの郷土料理だ。ここは中目黒の知る人ぞ知る “看板のない店”「元旦」の新店である。10月16日に開いたばかりだが、もう予約が取りにくい。「SSO」オーナーの笹尾一純さんは、「今度は身近なお でんバーをやりましたが、〆に群馬県の桐生名物“ソースカツ丼”を出してみました。ランチはこのカツ丼一本です」と言う。笹尾さんの出身地ではないが、先 輩から薦められ食べに行って一発で惚れ込んだという。マイナーコンテンツだが、それ故にエッヂが効いている。 さて、筆者が来年のキーワードとして挙げた「新ベタコテ」「地方活性化」に続く「大人の社交場」「健美長寿」についてもコメントしておこう。まずは 「大人の社交場」。自分の趣味嗜好には投資を惜しまない“ニューラグジュアリー消費”の現象が日本でも顕著になってきているが、このニーズをつかんだのが 「大人の社交場」としてのレストランやバーである。看板のない店、会員制、メール予約しかできない店など、“店が客を選ぶ”スタイルが来年は流行るに違い ない。SNSの「mixi」のコミュニティブームとも無縁ではない。「選ばれた者の快感」と「好きな仲間だけの時間」を共有できる飲食空間。食目的という より社交目的で使う。もちろん料理は美味しいに越したことはない。来年は第二、第三の「タワシタ」(東麻布)が出てくるだろう。最後に「健美長寿」である。健康、美容、長寿に効く料理。これは絶対に強いコンテンツである。ただ、もう氾濫し過ぎているだけに、打ち出し方や絞り 込み方がポイントになる。「オーガニック」「デトックス」「アンチエイジング」というコピーは陳腐化してしまっており、できれば使いたくない。それより も、ストレートに「不老長寿鍋」とか「コラーゲン入りサワー」と言ったほうがインパクトがある。“とうがらし料理”の「赤ちり亭」の ドリンクは参考になる。「マリンコラーゲン酎ハイ」「白桃コエンザイムQ10酎ハイ」「ウコン入りシークワーサー酎ハイ」「アロエこんにゃく酎ハイ」「青 汁カテキン酎ハイ」「もろみ酢酎ハイ」etc。“団塊リタイア元年”の2007年は、“日本型医食同源”の元年でもある。グルメブログ・ランキングに投票する!

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