会場は「居酒屋のカシータを目指したい」と飲食ビジネスに入った伊藤豊和氏が経営する表参道「豊和(HO-WA)」。アパートを改造した木造の和食居酒屋だが、なかなか空気感のいいテラス席があり、そこを会場に使わせていただいた。司会進行役は国分寺で「うさぎ亭」など3店舗(2月14日に4店舗目をオープン)経営する小島直人氏(27歳)。小島氏は本拠地の国分寺を現場に任せ、今年は都心で暴れたいと鼻息が荒い。大嶋啓介氏似のイケメンで、スター性がある。「千葉の武長太郎(一家ダイニングプロジェクト=大嶋氏の子分?)、国分寺の小島。この二人の若大将が要注目」と私は見ている。 乾杯の音頭をとっていただいたのが、「とらふぐ亭」でマザーズ上場を果たした東京一番フーズの 坂本大地氏。「私も16年前は新宿歌舞伎町の辺鄙な場所で苦労しながら1軒を立ち上げた。そこからです」と新世代経営者たちを励ますスピーチ。そういえ ば、その店、私もサラリーマン時代に使わせてもらっていた。「2000円台でふぐコース!」。いま思えば、安上がりの“口説き系和食店”だった。懐かし い。 “第三世代”を代表して最初に挨拶したのがエムグラントフードサービスの井戸実氏 (30歳)。郊外でステーキ&ハンバーグの店をチェーン展開、ファミレスや焼肉店の居抜きを次から次へと取得して店を増やしていることから「ロードサイド のハイエナ」と言われている(自称?)。私は「2008年の注目株」と見ているが、本人はスピーチで「私は有名になりたいんです」。ハッキリしていて気持 ちがいい。 “サードG”のリーダー役として期待しているのが東京レストランツファクトリーの 渡辺仁氏。六本木で10年前、ITベンチャー経営者が集まる会員制バー「48」を開業、いまは「御曹司 きよやす亭」などセレブ和食をドミナント展開している。無借金経営とか。「今後、4,000~6,000円単価の店を“20店舗同時出店”してみたい」な どと話し、ベンチャー精神旺盛。紅一点は昨年12月に恵比寿東口五差路角に大型店「海鮮酒房 肴や 恵比寿本店」を出店し度肝を抜いた創コーポレーションの松崎陽子氏。三次会以降は彼女が主導権をとったとか。 遅れてきた代表幹事のダイヤモンドダイニングの松村厚久氏。 「外食アワード2007」を受賞する(2月8日表彰式)業界のニューリーダー。私は松村氏に「第二世代から第三世代の橋渡し役」を期待しているが、松村氏 はスピーチで「橋渡し役ではなく、私は潰し役になる」と問題発言。私が翻訳すると、「井戸君たちは仲間でつるみ過ぎ。そんな他力本願では成功しないぞ。1 人の力で伸びて来い」とハッパをかけているのだ。そこが松村さんの本当に優しいところ。 そんな流れのなかで、自然に“サードG”の役員が決まった。代表幹事は松村氏、副代表幹事は渡辺氏。そして新世代代表で井戸氏が幹事長に就任。小島 氏、ユナイテッド&コレクティブの坂井英也氏(「てけてけ」経営)が幹事となった。さらに、この交流会のもう一つの目玉が新世代店舗デザイナーたちを集め たこと。DDやエイチワイシステムのコンセプトレストランを手掛ける大阪出身のカームデザイン金澤拓也氏。そしてグルーバルダイニング出身のアッタ戸井田晃英氏、SWeeT佐野岳士氏。戸井田氏、佐野氏はHUGE新川義弘氏の店やカシータなどを手掛けてきた。二次会はその佐野氏がデザインした「カシータ ラウンジ」へ。カシータの雨宮龍氏も顔を出し、彼からカシータ流サプライズのお皿がプレゼントされた。皿にはチョコレート文字で「野望」と書かれていた。二次会も佳境に入った頃、ワンダーテーブル秋元巳智雄氏が登場した。 いま、なぜ“サードG”か?それは、こうした交流会から新しい流れが生まれるに違いないと思ったからだ。ざっくばらんに語り合う。刺激しあう。ときには批判し、ときには褒めあう。未来を信じ、未来に賭ける若い感性と情熱を結集すれば、何かが変わり、何かが生まれるはずだ。
コラム
2008.01.31
いま、なぜサードG”なのか?”
昨日1月30日、新世代飲食ベンチャー経営者交流会サードG"の旗揚げパーティーを開催した。プレーヤー(経営者)、サポーター含めて40人近いメンバーが集まった。"
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。