-まずお店についてうかがいたいのですが、「皆様酒場昭和ゴールデン」は兵庫・三宮で2014年に1号店をオープンしましたね。今年4月21日にここの梅田店がオープン。どういったコンセプトですか。
三宮店とは少し内容が違いますが、コンセプトは同じです。「サラリーマンが仕事帰りに千円を握りしめて、毎日来れる店」。お小遣いが2~3万円と言われる時代。それでも毎晩飲みたいという人は多いですよね。家に帰ったら、奥さんがうるさいとか。(笑)分かりやすく言うと、そういう人たちのオアシス的な存在です。
-御社は昭和ゴールデン以外にも多業態で飲食店を展開されていますが、この業態ができたきっかけは。
もともと僕らは「海鮮居酒屋 産直市場」という、単価3~4000円の居酒屋をやっていたんです。だいたいそこの社員の仕事が終わるのが、12時くらい。終わった後で、上司が後輩つれて飲みにいったりする訳じゃないですか。よそのお店に行ったら一人3~4000円かかる。そしたら小遣いも続かないでしょ。だから、仕事終わった後に、安く気軽にうまい酒と食事が楽しめる店を自分たちでつくっちゃおうと。福利厚生みたいな。(笑)一人1000円くらいで終わるんやったら、部下とか後輩を連れていきやすいですからね。あとは、うちの社長自身が大衆酒場が好きなんです。
-お客さん一人当たりの単価は。
1500円〜2000円の間。がっつり食事をして居酒屋使いをすると3000円ほどになりますが、軽く一杯とつまみだけで700円で帰られる方もいますね。
-客数は一日どれくらいですか。
多いときで200人強。平均で150人くらいですね。だいたい18~21時が勝負です。この3時間で2回転はしますね。外までお客さんで溢れかえってますよ。ホンマにコンセプト通りで、サラリーマンの人が仕事を終えていつも飲みにきてくれるんです。
-そんな中で、博水社のハイッピー、ハイスキーに対してお客さんの反応はどうですか。
ハイッピーに関しては、はじめは「これ、どうやって飲むの?」みたいな感じでした。で、僕らがお客さんに「こうやって飲むんですよ」って瓶でもっていって説明する。関東では200mlの回収瓶でやってはりますが、関西は売り切りタイプの350mlなので、少し多いんですよね。なので、1杯350円で頼んでもらってたら、「『中』(150円)を追加したら、500円で2杯飲めるんですよ」っておすすめしてます。「ほな、お得やね」って、注文してくれる人も多いですね。
-ハイッピーとハイスキーを導入したきっかけは。
博水社さんからの提案です。もともとうちにはハイサワーも置いていなかったんですが、このお店をオープンする時、勉強のために東京の居酒屋をいろいろ見に行ったんです。そこで、関西ではほとんど見かけない、焼酎を割材で割って飲むスタイルを知って、「コレは面白い!」と思って、取り入れたんです。それで博水社さんに電話して、営業の方に来てもらったんです。
-関西には割材で焼酎を自分で割って飲む文化はないんですね。
ないですね。大阪で「酎ハイ」というとサーバーから炭酸入れて、シロップを足して出すというのが一般的。お客さんが自分で作るスタイルは基本的にありませんでした。でも、このお店は駅近くの第4ビルの地下にあって、しかも飲食店街でたくさん競合店がある。そんな中で、何か面白いことをしないと、お客さんの目には留まらない、と思ってまずはハイサワーから取り入れたんです。
-その後、お客さんにハイサワーが根付いてきて、ハイッピー、ハイスキーとメニューを増やしていったんですね。
そうですね。博水社の社長も営業の方も熱心に提案してくれるのもよかったですね。新商品とかキャンペーン情報とかが掲載されたDMを毎月送ってきてくれるんですが、そこにハイッピーとハイスキーがあって、ハイサワーも人気商品になったし、おもしろいと思って、置くようになりました。
-ハイスキーの飲み方もいろいろあるとか。
そうですね。ロック、ソーダ割、水割の3種類です。うちではソーダ割が多く出てますが、飲み方提案もよくしてくれるので助かってます。
-オープンからまだ半年ほどですが、もう博水社の商品が定着してきているんですね。割合を調整できる自分でつくって飲むという楽しさもありますよね。注文されるのは、どういったお客さんが多いですか。
おっちゃんも多いですが、意外と女性からの注文もとても多いんですよ。
-糖質、プリン体、カロリー0でヘルシー志向のお客さんにはいいですよね。軽い飲み口も女性にはうれしいですね。料理との相性はどうですか。
僕らの商品でいうと、人気メニューは「モツ煮込み」、「ソーセージ」、「焼き餃子」、「いか焼き」、「ビフカツ」、「メンチカツ」など油物が多いので、そういう商品と合わせると抜群ですね。
-関西の大衆酒場業態とハイッピー、ハイスキーの相性はどうお考えですか。
関西では、これからもっと広まってくると思います。関西はビールも安いんで人気なんですが、ハイッピーとハイスキーの美味しさや飲み方をお客さんにちゃんと伝えてあげると、注文率があがりますね。例えば、「この料理とハイスキー、めっちゃ合うやん!」みたいな。それで、「このドリンク面白いな」って思ってもらうことが大事です。ハイスキーについていうと、今はちょっと不思議な感覚だと思います。ちょっとビターで、ちょっとレモンの酸味の効いた爽やかなレモンサワー。ビールとレモンサワーの間くらい。一回飲んでいただいて「何これ!?」と思って、SNSとかで拡散してもらいやすいのはありますね。
-ハイッピーやハイスキーを入れようと思ったのは、ハイサワーのウケがよかったからですか。
そうですね。あとは熱心に営業の方が東京からお店に来てフォローしてくれるんですよね。そこで提案されると僕らも乗りやすいですしね。うちは焼酎はだいたい金宮焼酎を使っているんですが、これは、関東から大阪に越してきた人とか出張中の人からしたらうれしいみたいですね。「あっ、金宮置いてるんだ!いいね!」って。
-なるほど。お客さんへの提案方法として、ほかにどんなことを行っていますか。
僕らは焼酎をボトルで買ってもらって、それをハイサワーとかハイスキーとかそれぞれ自分で割材を選んで飲んでもらうよう提案しています。というのも、僕がこの店はじめた時にイメージしていたのが、最初サラリーマンのおっちゃんが一人で来て、ハイッピーとかハイスキーとか飲んで帰る。次は、会社の若い後輩とかを連れて来て、飲み方を教えてるっていうシーンを作りたいなって思ってたんです。「コレな、知らんやろ?こうやって飲むんやで。お前どれ割るんや?」みたいな。(笑)僕らが説明しなくても、勝手にお客さんが説明してくれる、そういうシーンを作りたかったんです。今はそんなシーンも実際にあって、おっちゃんだけじゃなくて、若い子だけでも来て、ハイッピーやハイスキーを飲んでくれるようになりましたね。
-店内の装飾も博水社名物の「美尻グッズ」が所狭しと貼られていますね。
そうですね。美尻ポスターはお客さんに評判ですよ。お客さんの層がちゃんと分かっていて、すごくセンスがいい販促だと思います。だいたいこういう酒場には、サラリーマンのおっちゃんが多いワケですよ。で、口コミサイトとかによく書き込みしてもらっているんですけど、だいたいお客さんはこのポスターの写真撮ってアップしてはりますもんね。印象に残りやすいですね。女性社長だからこそできる戦略ですね。
-オープン当初はサラリーマンをメインターゲットにされていましたが、徐々に女性客も増えてきたんですね。
そうなんですよ。不思議なことに最近は女性だけのグループも増えています。僕らの業界で言われているのが、女性だけでも気軽に来られる居酒屋になると、繁盛店になると言われています。そこを一つのバロメーターにしているので、うれしいですね。
-今のところお客さんの男女比は。
まだ8:2くらいですけどね。お酒は、場を盛り上げるものだから常に面白いものを考えていかなきゃいけないと思っています。男女関係なく楽しめるようなものをね。
-自分で割って作るスタイルは、新鮮でコミュニケーションのきっかけになりますね。
そうですね。若い人を中心に居酒屋離れ、酒離れが進んでいる。僕らとしては居酒屋でお酒の注文が減っちゃうとどうしようもない。じゃ、どうするかというと、居酒屋の楽しさをどれだけ伝えられるかというのが重要になってくるんですよ。どうやって楽しさを演出するか。それはやっぱり、お酒を注いで注がれてという昔ながらのね楽しみ方もその一つだと思います。「まままま、どうぞ、どうぞ!」みたいなね。博水社の商品には、ドリンク、グッズすべて含めて、酒場の楽しみ方をあらためて若い人たちにも教えてくれる力があると思います。
あとは、僕らがそれをしっかり伝えていくだけです。