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インタビュー

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立ち飲み大衆酒場「晩杯屋」躍進の秘密は”買う力”にあり!200店舗展開、株式上場も視野に。株式会社アクティブソース 代表取締役 金子源氏

【Interview】フードメニューの約8割が100円台と驚異的な値段設定で快進撃を続ける「立呑み 晩杯屋(バンパイヤ)」。全6店舗がいずれも坪月商50万以上をマークするこの大ヒット業態は、どのようにして生まれたのか。また、今後の構想はどのように考えているのか。いま最も注目される経営者の一人、金子源氏の業態開発力に迫る!


2009年にオープンした武蔵小山店に続き、大井町や大山、中目黒、大塚に現在6店舗を展開する「立ち呑み 晩杯屋(バンパイヤ)」。「早い、安い、うまい」の三拍子を揃えた同店は、今後展開ペースをさらに加速させ、都内を中心に出店を進めていくという。「晩杯屋」と「おでん八色」を経営する株式会社アクティブソース代表取締役の金子源氏に、成功のポイントと今後の構想を聞いた。

―なぜ、「晩杯屋」では “いわし刺し150円”といった驚くほどの低価格メニューが実現するのですか?

P5210023それは僕が独立前に築地でサプライヤーとして働いた経験から、市場の本質を理解しているためといえます。つまり、その日に出回る青果や水産物資には限りがあって、市場は「分化」というシステムで成り立っています。例えば、料亭やお寿司屋さんなどの買い手が、納品された魚に対してクレームすることがありますよね。それは、実は一番やってはいけないことなんです。返品されたとしても、その魚はもうどうすることもできないし、その分の帳尻は別の日に必ず価格として客側に乗せられているはずです。でも僕は、最初から「荷物を分けてもらう」というスタンス。基本的には全てノークレームで、サンマ50箱でも100箱でも売られた分だけ言い値で買います。仲買さんが滞りなく日々の分化を完了できるような取引をし続けているから、着荷が少ない時も融通してもらえたり、逆に他で大量に捌けた際には、うちには破格で譲ってもらえたりするのです。こうした仕入れ力、いわゆる「買う力」が、飲食店経営の要であるというのが僕の持論です。

―立ち呑み業態をやろうと思われたのはなぜですか?

P5210035僕は酒を飲むのが好きなんですが、一人でも入りやすい店ってすごく少ないなと常々感じていたことが一番大きいですね。チェーン店にせよ個人の居酒屋にせよ、一皿のポーションが大きかったり、団体客や常連ばかりで居づらかったりしますよね。7年間勤務した自衛隊を辞めた後、25歳でレインズインターナショナルさんに入社したのですが、当時からもし自分が独立するなら、美味しくて、安くて、サッと一人で入ってサッと帰れる店にしたいと思っていました。それで、立ち飲みの最高峰の一つと言われる赤羽の「いこい」さんに頼み込んで修行させてもらいました。「いきなり!ステーキ」さんのヒットも、一人で気兼ねなくステーキが食べられる気軽さが大きなポイントなんじゃないかと僕は思いますね。

―御社の2015年現在の出店・売上状況を教えてください

今年3月に、「晩杯屋」6店舗目となる大塚店をオープンしました。店舗規模は15坪・70席のスタンディングのみ。現在月商800万円を売り上げ、順調な滑り出しといえると思います。また、昨年9月にオープンした中目黒 目黒川RS店は、12坪・スタンディング34席で月商は約700万円以上をキープしています。うちは8月末の決算なのですが、今年全体の売上高は6億5千万円を見込んでいます。

―これまで出店を続けてこられて、どのような手応えがありますか?

P5210028大衆酒場やハイボールのブームに加え、昨年4月からの消費税増税が追い風となって、いわゆる“せんベロ”の立ち呑みである「晩杯屋」への関心はさらに勢いを増していると実感しています。「晩杯屋」の客単価は全店を通して1300円~1500円です。例えば週に一回、5000円くらい使って外食していた人も、うちなら同じ予算で週4,5回利用できる。従来の外食に対する“特別感”を上書きし、デイリーユースで気軽に利用してもらえるこの業態には、まだまだ浸透の余地があると思っています。

―これまでの課題点とブラッシュアップのポイントは?

オペレーションの効率化による提供時間のコントロールと、客席回転数の向上が今後の主な課題です。うちは一日にフードが大体1000オーダー入るので、厨房効率やオペレーションが非常に重要な要素なんです。2013年にオープンした4号店の大山店は、100坪で280人を収容する大箱です。厨房も大きかったので、作業効率が悪く、黒字化に至るまでほぼ2年かかりました。かなり難しかったですね。その結果として、店舗規模は約15坪で、キッチンに2人、ホールに2~3人を配備し、坪月商70万円という姿が「晩杯屋」の理想という結論に至りました。また、今年7月からは品川区南大井に120坪のセントラルキッチンが始動します。この稼働により、仕込みの効率化が図れ、原価率も現状の35%から2、3%は下がる予定です。

―「晩杯屋」の店づくりにおいて大切にしていることを教えてください

P5210010料理のボリュームとクオリティはブレないようにしています。いかに安くても、不味くて少なかったらお客さんは満足しません。原材料では国産率90%以上をキープして安心・安全感を訴求し、調理は基本すべて手作りです。一皿のボリュームを1.5人前に設定し値ごろ感も演出しています。その分、前述したような企業努力で利益を確保していくということですね。うちは低価格の業態で、ひとり客も多いので、お客さんをある程度選ぶことも非常に大切です。「飲まない、食べない、長居して周囲に絡む」といったお客さんは躊躇なく出入り禁止にさせてもらっています。こうした毅然とした姿勢も、「いこい」さんでの見習い時代に学習したことです。

―今後の事業展開の構想を教えてください

今年9月には、武蔵小山店が25坪2フロアの新店舗に移転します。今後はなるべく早く社員独立制度を設けて、社員によるのれん分けという形で、2年以内に約30店舗を出店したいと思っています。その後数年以内には株式の上場も目指したいです。人材と資本力の面で目処が立てば、「晩杯屋」を都内中心に200店舗は展開できるのではないかと思っています。いずれはベトナムなど海外にも打って出たいですね。その場合は、天丼などといった和食の業態を考えています。それから、これは僕の長年の夢なのですが、いつか回転寿司屋をやりたいと思っています。

―ご自分の理想とする店を「晩杯屋」で実現されたということですが、いま、金子さんが改めて感じていることはありますか?


P5210039出店の際、僕が「この店舗はやっと形になったな」と思えるのは、その地域に根付いた常連さんが集ってくれるようになり、暗黙の“晩杯屋ルール”みたいなものが出来上がっていると実感したときです。例えば、騒がしいお客が入ってきた時に、隣の常連さんが「ここはそういうお店じゃないんだよ」とそっと教えてくれるようになったら、この店も完成かな、と思います。見ていると、ひとり客の多くは、ふらっとやってきて軽く一杯飲みながら、偶然隣あった同士で二言、三言交わしていく。きっとそれがいいんですよね。これだけSNSだなんだと普及している現代ですが、こうした一期一会のやりとりは、現実におけるリアルなコミュニケーションそのもの。立ち飲みは、今の時代究極のリアルコミュニティを体現しているんだと改めて感じています。

(聞き手:中村結)


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金子源氏プロフィール
1976年8月群馬県生まれ。生まれ故郷では、畑仕事や野山に分け入り山菜を収穫するなど自然に恵まれた幼少期を過ごす。進学校に進んだ後、パイロットを志願。入隊検査の直前で怪我をし入隊を断念、六本木の防衛庁や喜界島で勤務する。やがて飲食業を志す。自衛隊を退職後、レインズインターナショナルに就職、「牛角」の店長を勤める。その後青果市場や水産関係の会社でのアルバイトを経て、2008年、株式会社アクティブソースを設立。
株式会社アクティブソース http://active-source.co.jp/

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