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日本酒一杯280円均一がウリの日本酒バル「肉バル&魚バル カツオ」が立川に開業。ウェブマーケティングを駆使する30歳若手経営者の「人が集まる外食企業作り」とは?

立川駅南口から徒歩5分に立地。「全部日本酒のせいだ!」と、どこかで聞いたことのあるキャッチフレーズが目印
バルのような内装デザイン。「働くスタッフが家族や友達を連れて来たくなるような格好良い内装を意識しました」と中田氏
「最強の煮玉子」(780円)。半熟の煮卵に和牛とウニを乗せた贅沢な一品
「錦糸玉子と生ハムのシーザーサラダ」(990円)。錦糸卵で野菜を巻いた、メニュー名からの想像を裏切るユニークな盛り付けだ
写真右から代表の中田匠氏、スタッフの高見加奈氏、シェフの榎本薫氏、店長の船窪智哉氏

(取材=大関 愛美)


2018年2月15日、立川駅南口から徒歩5分の場所に「肉バル&魚バル カツオ」(以下「カツオ」)がオープンした。「日本酒テーマパーク」を謳い、全国47の都道府県の日本酒を常時60種類ほど用意、それらを280円の均一価格で打ち出す日本酒バルだ。オーナーは、現在30歳の中田匠氏。中田氏は、「日本酒原価酒蔵」などを展開するクリエイティブプレイス(東京都港区、代表取締役:中村雄斗氏)の創業から勤務するなどの経験を積み、2017年2月、29歳のときに神保町で日本酒バル「肉バル&魚バル ミスターハッピー」(以下、「ミスターハッピー」)を開業し独立した。同店は中田氏にとって2店舗目だ。

以前は飲食店のウェブマーケティングに携わっていたという中田氏。出店の際には、その経験で培ったノウハウをいかんなく発揮している。「飲食店が軌道に乗るまで半年から1年はかかると言われている。しかし、それだけの時間を耐えるには、開業前にある程度のキャッシュが必要になってしまいます。初月から黒字を狙いたかったので、低い予算で多くの人にウェブ広告をリーチできる場所を模索しました。具体的には予算30万円を投入して2万人にリーチする立地。独自のデータ分析で、都内25カ所のエリアに絞り込み、そのうちのひとつのエリアである神保町で物件が見つかったことから、1号店の『ミスターハッピー』を開業しました」と中田氏は話す。

「ミスターハッピー」は、日本酒を一杯240円~というお値打ち価格で提供。このコンセプトは評判を呼び、ウェブ媒体を利用した販促も手伝いたちまち人気店へと成長。そして開業から1年後に「カツオ」をオープンする運びとなった。立川という立地も、同様に中田氏のデータ分析により選んだ立地だ。「やはり重視したのは、初動の売り上げを黒字化できる場所かどうか。立川なら、50万~60万円の予算で3万人にウェブでリーチさせることができると分析し、そこから予約数や来店数を割り出して……とシュミレーションしたところ、いけると思ったんです」と中田氏。

「ミスターハッピー」「カツオ」とも、メインターゲットは、日本酒にあまり詳しくない日本酒初心者、特に若い女性を想定する。日本酒に馴染みのない層に対し、敷居の低いかたちで日本酒の魅力を伝え、日本酒を嗜む人の母数を増やしていきたいというのが中田氏の思い。その思いを形にしたのが「ミスターハッピー」と「カツオ」だ。内装は女性好みの洒落たバルの雰囲気にデザイン。ここで日本酒をワイングラスで出すというギャップがまた魅力となっている。「数年前のバルブームはもう下火になりつつあり、今は大衆酒場がトレンド。そんななか、あえてバル風の店内で日本酒を出せばおもしろいと思ったんです」と中田氏。

「カツオ」では、全国から集めた60種類の日本酒を、お試し280円、グラス560円、徳利840円、飲み放題は1時間1000円で提供。多様な味わいがそろい、どんな人にも必ず好みのものが見つかる品揃えとなっている。料理は、料理人として19年のキャリアを持つ同店シェフの榎本薫氏が開発。「車海老の踊り食い」(1回290円)、「霜降りあぶりにく」(829円)など魚や肉料理から、バル定番のつまみなど約40品を用意。イタリアンやスパニッシュ、フレンチ、和などジャンルにこだわらず、日本酒に合う品々がそろう。

創業から1年で2店舗目のステップへと進んだ中田氏だが、「店舗展開するのは、スタッフの幸せのため。そもそも独立をしたのは、人が集まる外食企業を作りたかったからなんです」と断言する。労働環境の悪さからいわゆるブラックと言われ、加えて少子化による人手不足が叫ばれる外食業界だが、そんな状況下でもスタッフを集めるには、なによりスタッフの幸せが第一だと考える中田氏。その要素として給料は大きい。スタッフの給料を上げるため、店を増やして利益を出し、スタッフの給料に還元していきたい考えだ。同社は現在11名のスタッフが在籍するが、全員が社員であることも自慢。「どうせやるなら楽しく働ける場所を作りたい」と中田氏が言う通り、店では、どのスタッフも生き生きと接客する姿が印象的だ。2022年までに30店舗の日本酒業態の展開を目標に掲げる中田氏。目下は2018年11月に3店舗目の出店を検討中だ。日本酒の啓蒙とスタッフの幸せに邁進する、若き経営者の今後の動向に注目したい。

店舗データ

店名 肉バル&魚バル カツオ
住所 東京都立川市柴崎町3-10-5 FMビル2F

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アクセス 立川駅徒歩5分
電話 042-512-8503
営業時間 17:00~23:00、土日祝15:00~23:00
定休日 不定休
坪数客数 20坪50席
客単価 3500円
オープン日 2018年2月15日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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