三軒茶屋駅から茶沢通りを一本路地に入ると、閑静な住宅街に入りこむ。そして十字路から池尻方面へさらに歩を進めると、大きな木が生い茂った建物にたどりつく。そこが10月17日に誕生した「オステリア割烹 りんどう」だ。古民家を改装したという店舗は、周囲の景色に溶け込みながらも確かな存在感を際立つ。“隠れ家”という言葉がぴったりのこの店を運営するのは和音人(東京世田谷区、代表取締役 狩野高光氏)である。同社にとって、「和音人 月山(ワインビト ガッサン)」と「GYOZA SHACK(ギョウザ シャック)」、「華舞㐂屋 ろんど(カブキヤ ロンド)」に続いて4店舗目の展開となり、今回は、「出汁」×「イタリアン」を掛け合わせた提案で勝負をかけていく。
今回、同立地に新店をオープンした理由について、代表取締役の狩野氏は次のように話す。「見た瞬間にピンと来て、すぐに出店を決意しました。確かに、住宅街の入り口に位置しているので、飲食店を成り立たせるのは難しい立地かもしれません。しかし、魅力的な食事とサービスを組み合わせた提案を行えば、しっかりと集客できるという自信がありました。往々にして、難しい条件をクリアしていった方が、魅力的な店はできますからね。また、三軒茶屋にはビジネスの接待などで使える場所が少ないのも、出店の決め手になっています。当店では古民家を改装した個室を4つ作って、ゆっくりとした時間を楽しみたいというニーズも取り込んでいくつもりです」。
同店のデザインを担当したのは、TAGS design farmの前岨克明氏だ。二人の付き合いは、狩野氏が独立する前から始まっている。微妙なニュアンスまで把握した上で、コンセプトを店に落ち仕込んでくれるとあって、狩野氏の前岨氏に対する信頼は厚い。同店の二階には、狩野氏が話す通り「花」「鳥」「風」「月」と名付けた4つの個室があり、それぞれに別のコンセプトを持つ。例えば、「月」には、実際に月のオブジェも飾られていて、落ち着いた雰囲気の中に幻想的な演出が施されている。同店の作りに関して、同氏は「イメージとしては、一階がカジュアルにおいしい料理を楽しめる大衆的な酒場で、二階が軽井沢にある一軒家レストランです。古民家の魅力を最大限に生かした作りになっているので、年を重ねたからこそ生まれる色気も醸し出されているのではないでしょうか」。
同店のメニューは、肉・魚・野菜と、いずれも山形の食材を使った料理が中心だ。肉では年間100頭のみ出荷する希少な「千日和牛」を使った「千日和牛のりんどう煮込み」(980円)や「千日和牛のタリアータ うちもも」(150g 2880円)、「千日和牛の炙りカルパッチョ」(1280円)などがそろう。また魚は、庄内浜直送・吹浦漁港、酒田漁港、由良漁港といった山形県内の漁港で水揚げされた魚介類を使用しており、「極み出汁アクアパッツァ」(1680円)や「庄内ベッカフィーコ」(1280円)などが並ぶ。そして野菜は、河北イタリアン野菜・最上伝承野菜・庄内野菜の3つを使って、「揚げ茄子のマリネ ~マスカルポーネと生ハム~」(360円)と、「二色の山形野菜ピクルス」(480円)、「山形そのまま農園野菜 ~赤にんにくのあまぴちょソース自家製ブレンドあけがらし味噌~」(980円)、「山形ガーデンサラダ ~しょうゆの実のヴィーガンドレ~」(1180円)を提供している。この他にも、そば生タリアテッレ「西川町カルボナーラ」(1380円)や黒米パスタ「庄内浜の白いペスカトーレ/漁師風」(1280円)といったメニューも見逃せない。
ドリンクの中心はワインで、「嘉 yoshi スパークリング シャルドネ」(ボトル 3800円)や「朝日町 MS 遅摘みベリーAロゼ 辛口」(ボトル 4200円)、「モンサン 天下御免の大ふへんもの」(ボトル 3800円)といった山形で作られたものがメインにラインアップ。また、「山形フルーツワイン/デザートワイン」として、「赤メロンワイン 鶴姫レッド」(ボトル 5200円)や「飯豊町こくわワイン」(ボトル 5200円)、「アップルワイン」(ボトル500ml 2400円)など、山形県内の全てのワイナリーのアイテムがそろう。そして 特徴的なところでは「古酒を必要としている日本酒ラバーは多い。それを伝承していくのも自分たちの役割」という狩野氏の思いを受けて、古酒も取りそろえおり、「一声 飛 山田錦35%磨き 10年古酒」(60ml 1880円)や「新政 茜孔雀 純米仕込み 貴醸酒」(60ml 880円)、「出羽桜 枯山水 3年古酒」(60ml 980円)などが並ぶ。「イタリアン×日本酒」や「チーズ×日本酒」といったペアリングが楽しめるのも、同店の魅力の一つだ。
今後、狩野氏は、三軒茶屋で長く愛される店作りを続けながら、新しい挑戦も行っていく。現在、プロデュースの依頼が増えており、来月には同氏が携わった新店のオープンが控えている。2018年には、本格的に山形県内で農業に参入する予定だ。また、酒販や物販を始める計画もあり、飲食店を中心に、山形の食の一大プラットフォーム作りを目指す。同社には“夢を生み、夢を叶え、夢を繋ぎ、夢を生む“という社訓がある。仲間同士の夢と夢が重なり合うと、思いもしなかった別の夢が生まれて、新しい道へ導いてくれる。だからこそ、自分の夢は自分で叶えないで、仲間に叶えてもらう。その代り、仲間の夢をかなえるため全力を尽くす。そうした姿勢が想像以上に大きなビジョンを実現する原動力を生む。同氏が率いる和音人の勢いは他を圧倒しており、一寸の隙もない。第五世代の旗手・狩野氏が次世代の飲食業界のスタンダードをカタチ作っていく。
店舗データ
店名 | オステリア割烹 りんどう |
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住所 | 東京都世田谷区太子堂2-20-7 |
アクセス | 東急田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6453-2063 |
営業時間 | 【火~金・祝前日】17:00~翌2:00(L.O.1:00、ドリンクL.O.1:30)、【土】12:00~翌2:00(L.O.1:00、ドリンクL.O.1:30)、【日・祝日】12:00~24:00(L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30) |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 27坪 44席 |
客単価 | 5000円 |
運営会社 | 株式会社和音人 |
オープン日 | 2017年10月17日 |
関連リンク | オステリア割烹 りんどう(FB) |