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モダンスパニッシュ「the ringo」オープン “食×音楽×アート”のクリエイティブ空間が西麻布を深化させる

空間デザインを手掛けたのはデザインファーム BAUM田中敦氏。画廊をイメージしたデザインは、極力シンプルに仕上げ、料理やアートをよりヴィヴィッドにみせる
店内にはカウンター席、テーブル席、個室が用意されている。壁には、画家として著名な中村譲二氏の作品が飾られている。四季にあわせてアート作品を変えていく予定だ。BGMも時間帯やお客さんに合わせて変えるという徹底ぶり。選曲はサウンドディレクターの鈴木健之氏によるもの
売り切れ必至の「フォアグラプリン」は、テイクアウトで手土産としても大人気だ
米田シェフ自慢の一皿「魚介のパエリア」は、オマール海老やカニなどの出汁のうまみが凝縮。自家製のガーリックマヨネーズとの相性もいい
LiVE FOREVER代表取締役 神原享司氏(前段・中央)、同店シェフ 米田豊氏(前段・左)とスタッフのみなさん

バブル全盛期、ネオンが眩い六本木とは対照的に、西麻布は洗練された大人の街として栄えた。ミシュラン星付きレストランをはじめ、隠れ家レストラン、会員制バーやラウンジなどが、路地裏に看板も出さずに、なじみの客を待つ。若者が踏み入るには多少の勇気がいる憧れの街だった。それから30年近くたった今、西麻布が再び深化をはじめている。新進気鋭のシェフによるビストロノミーなどが続々とオープン。ユニークでハイクオリティな店は、30代前後の男女にも人気が高い。12月17日、青山公園の近く、外苑東通りにオープンしたモダンスパニッシュの「the ringo(ザ・リンゴ)」も、そんないまの西麻布を彩る店だ。経営は、LiVE FOREVER(東京都港区、代表取締役 神原享司氏)。「コンセプトは、食×音楽×アート。この空間に来る人にインスピレーションを与えられる場にしたい」と話す神原氏。食事、音楽、アートをこよなく愛する自身の知見やつながりをいかして、それぞれがマニアックなまでに追求された新たな食の空間が誕生した。「おいしい食事、いいサービスを提供する以上に、もっと自由な発想で何かを生み出す空間としてのレストランをやってみたかった」と同店に込めた想いを語ってくれた。

トム・クルーズ主演のハリウッド映画「カクテル」を見て、銀座のディスコにバーテンダーとして飛び込んだ神原氏。それまでは信用金庫に勤めていたという異例の経歴の持ち主だ。彼をディスコからレストランへと導いたのは、当時、“カリスマ経営者”として飲食業界を席巻していた岡田賢一郎氏(当時・ちゃんと代表)だった。カリスマオーナーたちの哲学や生き様を描いた書籍『アイラブレストラン 新時代のレストランオーナーたち』で、“岡田イズム”に強烈に惹かれ、すぐに彼が経営するレストラン「ケンズダイニング新宿」に入った。その現場でレストラン哲学やサービス、経営などの多くを学んだ。その後、様々な食の世界を見ておきたいと、スペイン料理「BAR de ESPANA MUY(バル デ エスパーニャ ムイ)」へ。そこで5年間店長をつとめた後、「the ringo」で念願の独立を果たした。実は、同店のはす向かいには岡田氏が毎日シェフとしてキッチンに立つ焼肉レストラン「ジ・イノセント・カーベリー」がある。運命の再会に神原氏は「僕にとっては神様のような存在。そんな岡田さんが仕事を終えてよくうちに遊びに来てくれるんです。いろんな方を紹介してくれて、応援してくれる。今も変わらず憧れの存在です」と話す。

同店オープンに向けてまず視察に行ったのがNYだった。なぜNYなのか。「特にアートや食などで盛り上がりを見せる“ミートパッキングディストリクト”に刺激をもらいました。日本では昨今、大規模な商業施設が次々に開業して、“つくられた街”が多い。一方、NYのこの地区は、良いお店やアーティストが多く集まって、魅力的な街にしている。そんな街の在り方がひとつのモデルとして参考になります。それに、駅から離れているというのは、西麻布との共通点です」とその理由を語る。だが、NYをそのまま真似るのでは決してない。「うちの店はNYスタイルではなく、あくまでも“東京らしさ”を追求しています。海外からのお客様にも『このお店って東京っぽいよね』と思っていただけたら」と、あくまでこの街らしさ、日本らしさの中に価値を見出し高めていく。

同店で腕をふるうのは、16歳から飲食一筋の米田豊氏。神原氏がムイ時代に出会った腕利きのシェフだ。地元・広島で洋食店やカフェ、居酒屋などを経験し料理の基本を学んだ。スパニッシュバルの出店に携わったことをきっかけに、スペイン料理の奥深さ、面白さを知り、片道切符で上京。神原氏のいる「バル デ エスパーニャ ムイ」に飛び込みで入った。6年間、間渕英樹シェフに師事し、スーシェフまでつとめ上げた。そして、神原氏に誘われ「the ringo」へ。伝統的なスペイン料理を、食材や調理法などを組み替え、再構築することで米田シェフ独自の“モダンスパニッシュ”に昇華させている。

例えば、「フォアグラのプリン」(750円)。フォアグラにたっぷりの卵とシェリー酒・ペドロヒメネス、生クリームを加えて蒸しあげたリッチな味わい。メルローの塩や三温糖とはちみつでつくったシロップをかけるとまた驚くほど表情を変える。テイクアウトも可能で、すでに完売続きの人気メニューだ。スペイン料理の定番「魚介のパエリア」(1500円)は、オマール海老やカニなどからとった濃厚な出汁で炊き上げたシェフ自慢の逸品。ほかにも、「旬の焼き野菜のテリーヌ」(920円)や「トリュフポテトサラダ」(900円)、「生ハムのクリームコロッケ」(780円)、「仔羊の鉄板焼き」(2800円)、スペイン風フレンチトースト「トリハス」(700円)など、前菜からメイン、デザートまでアラカルトでかなりの充実ぶりが、様々な利用シーンに応えてくれる。ドリンクは、スペイン産のワインをメインに合わせる。著名なシェフソムリエが監修し、米田シェフの料理との相性を考え厳選されたものだ。ワインのほかにもビール、ウィスキー、グラッパなども豊富に取り揃えている。

今後の出店についても“食×音楽×アート”という3つの軸はぶらさずに、それぞれのボリュームを変えながら、自由でユニークなクリエイティブ空間をつくっていきたいという同氏。「飲食店はもっと自由であっていい。創造的な街をつくれるよう、路地裏に良いお店を作っていきたい」と、今後も自身の感性を存分に表現しながら、新たな挑戦を続けていくようだ。さらに、飲食店の日々の事務作業負担を減らしたいという思いから、飲食店向けのシステム開発にも着手している。顧客管理やオーダーエントリーなど、IT化によって経営効率化に貢献したいという。西麻布という唯一無二の街をつくっていくレストランがまたひとつ産声を上げた。

(取材=望月 みかこ)

店舗データ

店名 the ringo(ザ・リンゴ)
住所 東京都 港区西麻布1-15-1 森口ビル 1F
アクセス 乃木坂駅から徒歩7分、六本木駅から徒歩11分
電話 03-6447-1799
営業時間 ランチ 11:30~16:00
ディナー 17:30~翌4:00
定休日 なし
坪数客数 25坪・38席
客単価 ランチ 1500円、ディナー6000〜7000円
運営会社 株式会社LiVE FOREVER
関連リンク the ringo(FB)

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