「銀座君嶋屋」が銀座一丁目に3月1日オープンした。運営は横浜君嶋屋(代表取締役:君嶋哲至氏)。君嶋氏は横浜市南区にある創業明治25年酒類専門店の4代目。30年前、家業である君嶋酒店に就いた当時、店は立ち飲み屋だった。同じ頃、君嶋氏は満寿泉(富山県:桝田酒造)の大吟醸を飲み日本酒のうまさに感動。蔵元を訪問したことがきっかけとなり、君嶋氏は日本各地の日本酒・焼酎の蔵元を訪れこだわりの酒を取り扱うようになる。仕入れの方針について「無名でも質がよく自分がうまいと思う酒であること、日本酒や焼酎のうまさを決める要素の多くは、酒づくりに取り組む姿勢など造り手の人柄によるもの。造り手と語り、取り扱い銘柄を確かめている」「長く同じ蔵元と付き合っていくなかで、よりよい酒づくりをともにしていくことが大切だと思っている」。同氏は日本酒の蔵元およそ900カ所のうち、約300カ所を訪れているとのこと。
自社で直輸入するワインは16年前から年に3、4回ワイナリーを訪問し、仕入れるようになったそうだ。「ワインについても仕入れ先は必ずブドウ畑、造り手を訪問する。うまいワインをつくる造り手は人間性もすばらしい」。この徹底した君嶋氏のワイン選びにより、「横浜君嶋屋」は多くの有名レストランやホテルにワインを卸している。また、田崎真也ワインサロン、NHK文化センター、東急カルチャーセンターで講師を務める。今ではワイン・日本酒業界で知らない人がいないほどだ。
取り扱う酒は日本酒250種、焼酎250種、ワイン国内外300種。そのほか、世界のハードリカーやリキュール、ビールなど、ありとあらゆる酒が床から天井まで組まれた棚にぎっしりとならぶ。まるで酒の博物館だ。スタンディングバーでは、無料試飲やその時々でセレクトされたもの、ほかでは味わえない限定酒をこだわりのうまいつまみと共に酒屋価格で提供している。中でも「たこシャン」と呼ばれる「フレンチのシェフがつくるたこ焼き」(6個500円)とシャンパーニュ「エリック タイエ ル グランM」(800円)がおすすめの組合せ。「たこ焼きとシャンパーニュ?と思うかもしれないが、たことシャンパーニュはとても相性がよい。たこ焼きは衣を薄くし、クリーミーに仕上げている。合わせるシャンパーニュは黒ぶどうのピノ・ムニエ100%。すっきりしているが、フレッシュで負けない味でとても良く合う。店の客にも人気で「この組合せで飲んで行く人が多い」という。
日本酒はワイングラスに90mlそそぐ(300円~)。ワインは白、赤120ml(400円~)。「フェルミエのチーズ盛合せ」(500円)はナチュラルチーズ専門店「フェルミエ社長本間るみ子氏」のセレクションだ。貴重な限定酒は「石川菊姫黒吟大吟醸」最上級の酒を最上級のグラス「ロブマイヤーグラス」で提供する(90ml 2800円)。酒好きにはたまらない価値の高い酒とつまみがあり、角打ちを楽しめる。飲み会前に立ち寄り、一杯飲んでから向かう客も多い。
君嶋氏は「良質な酒は薬。ストレスも無くなるし、酒は人を救うもの。そして食べるものをおいしくしてくれる。この銀座店をアンテナショップとし、将来は海外で日本の酒の販売+スタンディングバー『角打ち』スタイルを提案していきたい。日本のうまい酒を海外へ届けたい」。君嶋氏のプロジェクトが今、銀座から始動した。