9年前の2003年、恵比寿駅より徒歩8分の場所にオープンした「米福」(運営:ピューターズ、代表:松下義晴氏)。当時、“隠れ家”がブームであったこともあり、駅から離れた路地裏で永らく親しまれてきた知る人ぞ知る人気店だ。しかし、時代の流れとともに駅周辺で飲食をする消費者が増えたこともあり、恵比寿駅より徒歩3分のアクセスの良い場所での再出発を決め、移転。10月10日、グランドオープンする。前店舗にはなかったカウンターを設け、一人で夕食を食べにくる客も取り込んでいく予定だ。コンセプトは昔と変わらず、厳選した土鍋ごはんと、それに合う一品料理を揃え“ざっくばらんに食べて飲んで、ごはんで〆る”スタイルを提案する。 同店の売りは店名にもある通り、日本食の主役・ごはん。「年間60~80種類の米を試食し、その中でも美味しいと思った米を6種類ご用意しています」と、店長の磯部岳史氏は言う。「米福特選 土鍋ごはん」(一人前950円)は現在、山形県東田川郡の「飯野さんのミルキークィーン」、高知県南国市「南国育ち」、宮城県栗原市一迫の「高橋さんのひとめぼれ」、佐賀県唐津市の「上場産 こしひかり」、山梨県中巨摩郡の「あさひの夢」、長野県飯山市の「幻の米ブナの恵み コシヒカリ」の6種類を揃える。全国の契約農家から玄米で仕入れその日に使う分だけ精米するこだわりぶり。各5Kgの最低ロットで仕入れるため、常に農家直送で精米したての新鮮な米を味わうことができる。また、土鍋は1人前一合弱の大きさの「萬古焼」を使用。炊飯時は、米と水が対流し、ムラなく芯までふっくら炊き上げる。6種類は不定期で入れ替えを行ない、1~3ヵ月に一度はその時期に最も美味しい米を提供する。 その他の料理も豊富に揃え、「蓮根と近江こんにゃくのきんぴら」(650円)、「辛子明太子と九条葱の胡麻油和え」(600円)などのおつまみから、「銀だら西京焼」(1200円)などの魚料理、「幻の金華豚生姜焼き」(1500円)、「米福鍋~すき焼き風しゃぶしゃぶ~」(2人前3800円)などの肉料理まで揃う。「お酒にも、ごはんにも合う料理を用意しています。家庭料理としてよく見られるメニューがほとんどだと思います。ただ、当たり前のものは当たり前に美味しいので、そういった“ほっこり”した料理を提案したいと考えています」と話すのは、料理長の小堀雄二氏。経営母体ピューターズの創業店は、恵比寿の寿司店「松栄」。また、系列店に同じく恵比寿の「焼肉チャンピオン」などの専門店を多く経営。そうした専門店で仕入れる魚や肉を使用しているため、家庭料理といえども、ハイクオリティなメニューを提供できる強みがある。 ドリンクは、取引先の担当者がソムリエの資格を有することから、ラインナップを相談。磯部氏が厳選した、小さな蔵元の日本酒や焼酎を中心に揃えている。なかには、磯部氏の祖母が作る静岡の「花の舞 純米 超辛口」(800円)を置くなど、ストーリー性も持たせた。「まだ知名度の低いお酒を、ここで知ってもらえたら」と、どういった酒が良いか、磯部氏自ら客に勧めることもある。ワインは常連客の要望により、赤1本、白2本を用意。どちらも日本ワインをセレクトし“ジャパンクオリティ”を貫いている。 「創業からお米を主役としているので、その高い品質や美味しさを理解して頂けるお客様がついてくださっています。アクセスの良い場所に移転したことで、今後は新規のお客様にも、当店を理解して頂けるよう、当たり前に美味しいものを提供していきたいですね」と語る磯部氏。旬素材を使用したおつまみで、軽く一杯。そして〆には土鍋ごはんでほっこりできる店。食べきれないごはんは、「しおむすびのお土産」として渡す。こうした気配りも、長年親しまれる要因になっているようだ。
ヘッドライン
[ニューオープン]
2012.10.10
恵比寿の隠れ家として人気を誇る「米福」が、駅近くに10月10日、移転オープン! 6種類の土鍋ごはんを主力に、魚・肉の専門店を持つ強みを活かした一品料理を提供!
- 以前の店の電気や装飾品を持ち込み、居抜きの中にも前店舗の名残が感じられる内装に
- 「米福鍋〜すき焼き風しゃぶしゃぶ〜」(2人前3800円)。濃口の割下に、肉をさっとくぐらせ食べる、ごはんに合う一品
- 萬古焼の土鍋で炊き上げるごはん。炊飯に使用する水にもこだわり、「天然名水 出羽三山の水」を使用
- 「お供三点盛り」(750円)。ごはんのお供になるメニューとして、梅干しや海苔、納豆、しじみ汁などの単品も用意
(取材=虻川 実花)