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日本の中心“丸の内”の飲食店を繋ぐデベロッパー三菱地所の取り組みとは?丸の内シェフズクラブによる「シェフズランチ」に注目!?

イルギオットーネ オーナーシェフ 笹島 保弘氏による「温泉卵をのせたとうもろこしのカルボナーラ」
レストラン・モナリザ オーナーシェフ 河野 透氏による「新玉葱とベーコンのキッシュロレーヌ フランスのママの味」
つきじ田村 三代目主人 田村 隆氏による「焼鶏 親子どんぶり」
今回、シェフズランチについてお話しを伺ったイルギオットーネのオーナーシェフ、笹島保弘氏

(取材=小野 茜)


日本の“おへそ”丸の内。この地区には約4000社の企業があり、丸の内に本社を置く企業が日本のGDPの約23%を稼ぎ出しているという試算もある。様々な意味で日本の核となる丸の内、以前は“オフィス街”というイメージしかなかったが、2002年、丸ビル登場を皮切りにそのイメージが一変した。大型商業施設の相次ぐ誕生により街の風景は徐々にその表情を変え、今では食・アート・ファッションなど、様々な文化の発信拠点として大きな意味を持つ街へと進化している。なかでも「食」は人々の生活に密着したカルチャーだ。この場所で働く人が食を通して元気になることが、ひいては日本を活性化する可能性を持っていると考え、三菱地所はデベロッパーとして施設内の飲食店をはじめ、丸の内地区の飲食店をも巻き込み、積極的な食への取り組みを行なっている。それが、「食育丸の内」プロジェクトだ。 2008年に発足したこのプロジェクトは、「大人の食育」「食を通じて心身共に健康になれる社会を目指す」「国産自給率向上への情報発信」という大きくは3つのテーマを掲げ、2011年の春までにイベント総数38本、延べ参加者5万人を越える規模で活動を行なっており、今後も継続していく予定だ。このプロジェクトの担い手は、丸の内エリアを中心に店舗を構えるシェフたちにより設立された「丸の内シェフズクラブ」。服部幸應氏を会長に、料理のジャンルを越えた26名のシェフが集う組織である。これは、現場のシェフたちの声をもとにデベロッパーである三菱地所が組織化したものだ。そう話すのはシェフズクラブのメンバーである「イル ギオットーネ」のオーナーシェフ笹島保弘氏。「もともと個人的に繋がりのあったシェフ同士ですが、もっと積極的にコンセンサスを取りながら、料理や飲食店を通じて“商売”とは別に、何か社会貢献できないか・・・という考えで声を上げました」という。「現代の日本人は食に対して無頓着だったことが、震災という出来事で明らかになったように思えます。震災以後、自分や家族の“口”に入れるものに対して危機感を抱き、不安を感じている。まずは正しい情報を提供し“安全な事を消費者が判断できる軸を持つ”、これが安心に繋がっていく。この判断材料を提供したり、一緒に考えたりするのが我々の役目だと思います。」と、プロジェクトにおけるシェフのスタンスについて話してくれた。 現在、年に2回ペースで行なわれ、各地の良質な食材を使い安価で特別ランチを提供し、旬や産地を食べながら学ぶ「シェフズランチ」や、シェフたちが推薦する地方生産者が丸の内を訪れ、消費者と直に接しながら野菜や食品を販売できる市場=「マルシェ」の開催。レストランで食べることを楽しみながら食に関する正しい情報を知り、食の在り方について再考するきっかけをつくる「イートアカデミー」、さらには、シェフたちが産地へ出向く“食材探しツアー”では、新たな食材と出会い、料理のヒントを得たり、“流通検討会”などで各産地の問題を生産者と共有する場を設けたりするなど「地域との繋がり」を持つ、という4つのコンテンツを軸に、その活動は多岐に渡っている。 6月24日~7月7日まで行なわれていた第5回目の「シェフズランチ」は「実力派シェフがおくる、各国ママのたまごレシピ」と題され、東京野菜と東京卵を食材に用いた“都産都消”の料理が期間限定で丸ビル1階の「丸の内カフェ ease」で提供された。メイン食材の卵は東京都町田市・小林養鶏農園の「さくらたまご」。日本の気候風土にあわせ何代にも渡り育種改良された純国産鶏。天然飼料のみが与えられ、ストレスが少ない環境で産み落とされた卵は黄身が大きく濃厚な味わいを持つのが特徴だ。第1週の6月24日~6月30日は「福臨門魚翅海鮮酒家 丸ビル店」の張漢華氏による「海老入り卵の煎り焼き(中華風オムレツ)」と「つきぢじ田村」田村隆氏による「焼鶏 親子どんぶり」の2品。第2週の7月1日~7月7日は「レストラン・モナリザ」河野透氏による「新玉葱とベーコンのキッシュロレーヌ フランスのママの味」と「イル ギオットーネ」の笹島保弘氏による「温泉卵をのせたとうもろこしのカルボナーラ」の2品で、連日盛況、開店前から長い行列ができるほどの人気ぶりであった。イベント開催期間は2.5時間のランチタイムで、各日約100食ほど売れるそうだ。1000円という価格で、シェフの特別メニューとドリンク、ハーゲンダッツのバニラアイスまでついている。情報感度の高い丸の内OLを中心に、確実にイベントの認知も広がっているようだ。 三菱地所がデベロッパーとして丸の内のシェフ同士を結びつけたパートナーシップを構築したことで、可能性に広がりが生まれている。「個々の想いや活動は、これまで小さな“点”でした。それが、シェフズクラブ発足によって“面”として広がってきた。これは大きなことだと思います。お店以外でも、自分のお店を知ってもらう機会が増えたことも嬉しいですね。」と笹島氏。しかし、シェフたちは常に新しい展開を考え、進化するための歩みを続けている。今後も三菱地所と丸の内シェフズクラブからの発信に注目していきたい。

店舗データ

店名 三菱地所株式会社
住所 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル

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電話 03-3287-5100
関連リンク 食育丸の内
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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