1月27日、スプラウトインベストメント(代表取締役:高橋 誠太郎氏)の魚バカシリーズ8店舗目となる「渋谷イカセンター」が、渋谷・道玄坂にオープンした。「イカセンター」は新宿総本店、神楽坂に次ぐ3店舗目。その店名通り、朝獲れのイカが、店内のいけすからそのまま届けられる“活イカ”をメインとした店で、連日満席、大変な賑わいを見せ、業界からも注目を浴び続けている。
魚バカシリーズとは、“バカ”がつくほど魚にこだわるという極めてシンプルなコンセプトだが、その実現に至っては、他では真似が難しいほど、表には見えてこない企業努力の上に成り立っている。“ブランド食材”、いわゆるサラブレッド的な食材は、さほど手を加えなくとも、素材本来の力で人間の舌を満足させられる。だが、高価で日常食にはなり得ない。同社では、日常食でその“美味しさ”を実現しようと試み、“フレッシュさ”に徹底的にこだわった。房州を中心に、地方漁港との独自ルートを開拓し、自社便で都内へ直送。それにより築地を介す通常ルートよりも“時短”を実現し、食材のポテンシャルを最大限に引き出して、「鮮度」「クオリティ」「価格」「美味しさ」どれも期待値を越えるレベルで“一魚一会”のサービスを提供している。
料理は既存店同様、「活イカ姿造り」はもちろんのこと、日替わりでイカメニューが揃う。たとえば、取材日のメニューで言うと「生イカ100% いか揚げカマボコ」(700円)、「するめイカ ゴロ焼」(700円)、「名物いか天ぷら」(800円)、「いかリングフライ」(800円)などだ。そのほか、「鮪テール煮つけ」(700円)、「自家製 鯖スモーク」(600円)、「お魚ユッケ」(500円)、「鰹の竜田揚げ」(600円)、「わらさカブト焼」(900円)といった五法で調理された様々な魚が、メニューに所狭しと並ぶ。
「イカセンター」と言えば、“イカ”に勝るとも劣らないスタッフの威勢の良さが気持ちよいが、注目点はそこだけではない。まず、入口が小さい。子供ですら屈まなければ入れない高さだが、だからこそ、店内の世界観をより強調する。そして、店内を彩るシャンデリア。魚バカシリーズの店舗では恒例となっているインテリアのようだが、徐々にその大きさが増し、ついには、直径50センチはあろうかというほど存在感のあるシャンデリアまで並んでいるが、あまり違和感を感じないのが不思議だ。さじ加減が重要な“遊び”も、高橋氏の手にかかれば、最良の演出材料になるのだ。
「飲食店の本質は“美味しさ”にある」と考える高橋氏。“イカ”は一つの切り口であり、重点を置くべきは、“美味しさ”のためにとことん追求する専門性のある店づくりである。魚バカシリーズとしてコンセプトを共有し、グループ化されているが、各店が本質の追求のため、それぞれのやり方で個性を持って挑む“個(性)店”の集合体だ。であれば、切り口が変わり、時代が流れても、左右されることはない。10年後もぶれずに営業する基盤を確立する魚バカシリーズは、扱いによっては錆びてしまうかもしれない“チェーン=鎖”店というよりも、各店がそれぞれに輝き続ける“ジュエル=宝石”という表現の方がふさわしいのかもしれない。春には9店舗目のオープンも控えているという同社の動きから、今後ますます目が離せない。
店舗データ
店名 | 渋谷イカセンター |
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住所 | 東京都渋谷区道玄坂2-10-12 B1F |
アクセス | JR・地下鉄・私鉄各線 渋谷駅より徒歩5分 |
電話 | 03-6416-1500 |
営業時間 | 月~土17:30~23:30、日・祝17:30~22:30 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 27坪・70席 |
客単価 | 夜3800円、宴会5500円 |
運営会社 | 株式会社スプラウトインベストメント |
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