特集

【NEXT イノベーターズ】FILE.3 第5世代のトップ対談!二人の35歳の経営者が飲食の未来を描く

2017年3月にオープンして以来、多くの話題を集めている「ほぼ新宿のれん街」。現在、同施設は周辺のビジネスパーソンをはじめ、多くの訪日外国人や若い女性客などでにぎわう。その仕掛け人がGood market&shops(グッドマーケットアンドショップス、東京都渋谷区、代表取締役 清水暁弘氏)の清水氏だ。前職で「恵比寿横丁」のプロジェクトに携わった経験があり、現在、物件開発や横丁などの企画・リーシングのスペシャリストとして広く知られている。また最近では「肉寿司」ブランドの拡大に尽力し、陰の立役者としての役割を果たした。そのような経歴を持つ同氏は1982年生まれで、現在、35歳。フードスタジアム代表・大山正と同じ年だ。そこで今回は、同じ時代を生きてきた二人だからこそ語れる飲食業界の実像に迫っていく。


大山正(以下、大):最近、清水さんが活躍されている話を聞く機会が本当に増えました。特に「ほぼ新宿のれん街」のオープン前後は、多くのメディアに引っ張りだこだったんじゃないでしょうか。

ほぼ新宿のれん街のフードスタジアムヘッドライン記事はこちら

 

清水暁弘氏(以下、清):おかげさまでありがとうございました。各テナントさん好調でホッとしています。今では海外の方や、インスタ女子などたくさん来ていただいて嬉しいです。

 

:今回は、その辺の話も詳しく聞きたいのですが、まずは清水さんが率いる「Good market&shops」の事業内容からお伺いしてもよろしいですか?

 

:2013年に創業したので、丸4年になります。事業の柱は「業務委託事業および企画・リーシング」と「業態販売・FC管理」の2つです。「ほぼ新宿のれん街」のプロジェクトは「業務委託事業および企画・リーシング」の一環で、私は本件の事業主として、企画やリーシングなどを担当しました。もう一方の「業態販売・FC管理」では、最近まで「肉寿司」の物件・加盟店開発をサポートしていました。

Good market&shopsの皆さん(上段左:木瀬さん、中 坂元さん、 右 山崎さん)

 

:清水さんが「肉寿司」ブランドの拡大の陰の立役者として活躍されている話も聞いていますよ。ガーデン(東京都新宿区、代表取締役会⻑ 川島賢氏)が、スパイスワークス(東京都台東区 代表取締役 下遠野亘氏)の子会社である肉寿司の持株を100%取得したというニュースはかなり衝撃的でしたが。

 

:確かに、業界に激震が走りましたね。とはいえ、「肉寿司」ブランドのさらなる成長のために選択されたことです。私たちは、それをサポートするため、これまでの2年間で当時7店舗から25店舗増やすという目標を達成してきました。

 

大:清水さんと下遠野さんの結びつきは強いですよね。下遠野さんとは、いつ頃、出会ったんですか?

 

:初めて出会ったのが、私が前職に新卒で入社したばかりのころで、下遠野さんも独立する前でした。独立する前の下遠野さんと現在の下遠野さんの両方を間近で見られたのはいい経験になりました。そうした経験を生かしながら、今後は、素晴らしい業態やポテンシャルを持った会社さんが活躍できるステージをもっと作っていきたいですね。

 

:私と清水さんが初めて会ったのは、6年くらい前ですよね。渋谷の酒場でたまたま顔を合わせたのが最初だったと記憶しています。

 

:そうですね、お互いに似た境遇だったので、強く印象に残っています。私がまだ会社を立ち上げる前で、大山さんもフードスタジアムに合流する前でしたね。

 

大:ええ、ちょうど合流する直前でした。ただ当時、清水さんは店舗流通ネットさんのエース社員だったと思います。今日は、せっかくの機会なので、飲食を志したキッカケを教えてもらっていいですか?

 

清:はい、もちろん。話すと長くなりますが、その中の一部を掻い摘んで説明します。大学時代の話までさかのぼるのですが、実は、もともと公務員になろうと考えていたんですよ(笑)。実家が自営をしていて、その反面教師的なところはあって。それに僕たちの世代って、景気がいい時を知らないまま育っているじゃないですか。だから大学2年の頃までは、本気で公務員になろうと考えていました。そのために大学も法学部を選択しましたし。

 

大:そうだったんですか(笑)。確かに、私たちが就職活動をしていた頃は、まだ世の中がデフレ経済下で、新卒の求人倍率求もそこまで良くはない状態でしたもんね。ただ現在、活躍されている姿からは全く想像ができません。

 

清:当時の自分からしたら、逆なんですよね(笑)。僕、めちゃくちゃネガティブシンキングなんですよ。公務員志望だったんですが、そもそも公務員自体も安定ではないと思ってしまうくらいネガティブシンキングですから。ただ、不景気だから安定している公務員になろうとする一方で、やりたいことは沢山あって。仕事以外で好きなことをとことんやろうという気持ちは持っていました。

 

大:そうした考えを持っていた清水さんが、なぜ飲食業界に飛び込まれたのですか?

 

清:大学時代、海外へ行くハンドキャリーという仕事と、野毛のBARで働いた経験が大きく影響しています。海外では様々な国の飲食店を回りました。そこで飲食店の素晴らしさはもちろん、日本食や居酒屋という日本独自の文化が存在することを客観的に知れたことも飲食業界を意識し始めたきっかけとなります。

その後の野毛のBARで働いた経験は、今の仕事を選ぶ大きなきっかけになっています。今では盛り上がりを取り戻している野毛ですが当時、東急東横線の桜木町駅が廃止になって、街が衰退していく様を間近で見たんです。その時、飲食は甘くはないビジネスだと痛感するとともに、そういう状況を少しでも変えられないかと思いました。例え、おいしい食事やよい接客を提供していても太刀打ちできない状況を目の当たりにしましたから。こうした野毛での経験がもとになって不動産と金融の知識が必要だと考えて、飲食での修行ではなく出店サポートをする企業への道を決めたんです。

 

大:なるほど、そういう理由があったんですか。今でこそ、野毛はトレンドエリアになっていますが、あの当時は治安も悪くなりましたし、かなり壊滅的な状況に陥っていましたね。

 

;はい、ただ東急東横線の桜木町駅が廃止になる前は、確かに魅力的なエリアでした。自店舗の努力ではどうにもならない不可抗力が働いてしまうことは、どうにもならない事ですが、しっかりと時代の先読みができなければ、飲食店は生き残れない。物件取得にマーケティングスキルが欠かせないと分かったことも、飲食の現場ではなく、出店サポートをする企業へ入社を決めた理由の一つです。

 

:かなり明確なビジョンを持ってこられたんですね。その時には、すでに起業しようと決めていたんですか?

 

:はい、将来的には起業をしようと、その時には決めていましたね。リスクを冒さないことが一番のリスクになると考えた結果、公務員という職業は頭の中から消えていました(笑)。

 

大:当時、すでに経営者としての片鱗を見せていたんですね(笑)。これまで、どのようにマーケティングスキルを身につけてきたのですか?

 

:前職に在籍していた8年間で6000件以上の出退店に携わっています。それを通して、魅力的な業態でも出店場所が悪ければ成功しないし、魅力的な場所でも業態を間違えたら成功しないと身を持って知りました。それと同時に、不動産と金融の力で、ある程度のミスマッチを解消できるとも。多くのケーススタディに触れた経験は、今のビジネスの礎になっています。

 

:なるほど、がむしゃらに働いていた経験があるからこそ、今の成功もあるんですね。そんな清水さんからして、上の世代と下の世代は、どのように映っていますか?

 

:世代について強く意識したことはないですが、上の世代の先輩方に関しては、時代的な背景もあるのでしょうが、パワフルな方が多いと感じています。多少リスクがあっても勝負に出る傾向が強いですし。逆に下の世代は、独立に対して慎重な方が多いのではないでしょうか。

 

:私も同感です。ただ、下の世代の中にも積極的な挑戦をしている子もいますよね。

 

:はい、実際に我々の年代よりも、すでに積極的な展開を行う経営者がいますし、私も注目しています。恐らく、そうなるでしょうが、これからもどんどんと次世代の経営者が出て来ることを期待しています。

 

:確かに、期待の人材が多いですね。新しいビジネスに適応した方が表舞台に登場してきた感じもします。以前は、一匹オオカミでもどうにかなりましたが、現在はシェアをしなければ成長をしていけません。自ら情報を出すからこそ、新しい情報も入ってきますから。

 

:そうですね、ビジネスの仕方は確実に新しい視点が必要となってきています。出店先を選ぶ際も、乗降客数や交通量、近隣施設など、表面的な要素だけでは最適かどうかは判断できません。業態によって一等地の考え方は変わってくるので、マーケティングで潜在的なニーズを掘り起こしていく必要があるのです。そこに私たちのミッションもあると考えています。そのためになるべく様々な場所で飲み歩いて、マーケットを肌で感じるようにしています。

 

:清水さんが率いるGood market&shopsが活躍すればするほど、飲食が面白くなっていきそうな予感はします。

 

清:ありがとうございます。当社には私だけでなく、飲食業界が大好きな人材が集まっています。彼らとともに、業界を盛り上げていけるような会社にしていきたいですね。

 

大:どんなに酒離れや外食費の減少が顕著になったとしても、外食がなくなることはありませんもんね。

 

:ええ、友人や恋人など、大切な人を連れていく場として、生き残っていくはずです。「ほぼ新宿のれん街」は、これからの飲食のあり方の一つの方法を指し示すことができたらいいなと思っています。そうした経験も生かしながら、マーケットの可能性を広げていきながら、エンドユーザーが楽しめる場所を増やしていきたいですね。

 

:これからも清水さんのご活躍には期待しています。本日はありがとうございました。

 

 

特集一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集