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編集長コラム

「第三世代」が沖縄飲食業界を変える!

沖縄の飲食マーケットを視察してきた。那覇のメインストリートである「国際通り」では観光客ターゲットの飲食店が鎬を削っていたが、その近くの「久茂地エリア」や新興タウン「新都心エリア」では新世代の飲食店経営者たちが魅力ある店づくりに取り組んでいた。沖縄はアジアのなかでも、その発展の可能性に注目が集まっており、今後の成長が楽しみなマーケットである。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


沖縄の人口は142万人、そのうち那覇市は32万人(2010年統計)だが、那覇市を中心とした「南部広域市町村圏」(浦添市、豊見城市、糸満市、南城市、島尻郡⦅与那原町・南風原町・八重瀬町⦆の市町村と、宜野湾市、西原町、中城村を含む“那覇都市圏”の人口は100万人を超えるといわれる。本土からの移住や富裕層の長期滞在なども増えており、実際はそれ以上ともされる。いまや那覇は一大ローカル都市となっているのだ。そこに観光客が加わる。昨年の観光客数はなんと658万人で過去最高を更新している。さらにアジア各国からの熱い支持がある。「アジアで最も安全でリゾートのある都市」としての再評価が高まってきており、台湾、香港、シンガポール、マレーシアなどの投資家、富裕層が都心のビルを取得したり、一大リゾート開発計画やLCCハブ空港化などを狙った投資に動き出すという話もある。

こうした将来の成長性を睨みながら、沖縄飲食業界の経営者たちはそれぞれのコンテンツを大事にしながら着々と店づくりに取り組んでいる。沖縄飲食業界はいま「第三世代」がリードする時代に入ったといわれている。創業20年前後の飲食企業、りょう次グループ(オフィスりょう次、代表取締役・金城良次氏)、JCC(代表取締役・渕辺俊一氏)、カイグループ(カイ・コーポレーション、代表取締役・又吉豊氏)などが第一世代。りょう次グループは沖縄食堂テイストの居酒屋を展開、JCCは国際通り中心に観光客ターゲットの沖縄料理店を展開している。カイグループは、沖縄食材を使った創作料理「回」を展開、間接照明にジャズという和食ダイニングスタイルを沖縄で初めて取り入れ、大人気となった。同社の又吉社長は後輩たちの相談に乗ったり、店づくりのアドバイス役。4月に那覇空港近くの美らSUNビーチに「リゾートカフェ KAI」をオープンし、早くも新名所になっている。第一世代でありながら、沖縄飲食の最先端を走るセンスのいい経営者である。

沖縄飲食業界「第二世代」は多業態ブランド戦略を多店舗展開を図るグローバルスタッフが代表的存在。創業10年を超えたあたりで、「ぱいかじ」などのブランドで東京進出にも意欲的。そして、「第三世代」はここ5~6年で成長を遂げてきた経営者たち。その代表が、東京の業界メディアで引っ張りだこのみたのクリエイト、田野治樹氏。今回、田野氏のアテンドで同社13店舗(国内、他にタイで2店舗、香港で2店舗展開)のほとんどの店を回ってきたが、田野氏はあえて那覇の中心街には出ずに、創業店「動く町」がある中部エリアと新都心エリアに出店してきた。田野氏を有名にした「目利きの銀次」も新都心にある。原価率120~140%のキラーコンテンツである刺し盛り、サイプライズなお通しなどが口コミで広がり、「原価率の常識を超える経営手法」が業界専門誌に取り上げられ、一気に全国区となった。本土からの同業者視察はいまも後を絶たない。田野氏の原点は「動く町」で、そのミッションは「飲食店が街を変えられる。文化をつくることができる」ということ。実際にどの店も地域一番店として顧客に支持されている。田野氏の成功は、「沖縄の地域で地域顧客をターゲットにして勝てる」ということを業界に示した。その功績は大きい。

田野氏は今後、洋業態にチャレンジしたいと言う。ワイン業態、肉業態などのコンテンツをいま模索中だ。和業態については、沖縄の定置網漁協と組んで、地産池消的な業態を展開する。どんなキラーコンテンツが飛び出すか、また楽しみだ。田野氏の活躍は彼に続く「第三世代」の経営者たちにも影響を及ぼしている。輪っしょいファミリーの南風見一樹氏は久茂地エリアに「たけすみ」をオープン、炉端スタイルで魚と肉のキラーコンテンツメニューを提供、空間デザインもモダンで地元若者に人気。大繁盛店となっている。南風見氏は田野氏から多くのアドバイスをもらい店づくりに活かしたという。「第三世代」の兄貴分的存在なのが、「きしみ~る」「まんま屋」などを展開する伊志嶺毅氏。本土から視察や観光に来る飲食店経営者たちを迎え、もてなす世話人的な存在だ。本土の飲食店経営者の沖縄進出も増えている。スパイスワークスの下遠野亘氏は、久茂地エリアにオイスターの「オーシャングッドテーブル」を出店。DIGブライミングの伊藤大介氏は「鰓呼吸」「にく久」をやはり久茂地に出店。「筑前屋」チェーンのカスタマーディライト中村隆介氏も久茂地に肉バル出店を準備している。プロデューサーは「アガリコ」の大林芳彰氏である。

いま久茂地エリアでは、沖縄「第三世代」と東京勢の出店競争が始まろうとしているのだ。東京勢が新しい風を地元に持ち込み、お互いに刺激を与え合いながら、切磋琢磨して沖縄飲食業界を活性化する。「第一世代」の又吉氏は「そういう動きは大歓迎だし、みんなが協力して沖縄をより魅力ある街にしていけばいい」と語る。沖縄には「いちゃりばちょーでー」という言葉がある。「一度会ったら皆兄弟」という意味である。そういう精神で協力し合っていこうということである。内地組といえば、いま話題なのが7月15日に開業を迎えるHUGE新川義弘氏の沖縄出店。那覇空港から至近の橋を渡ってすぐの瀬長島の天然温泉リゾートホテルに隣接して、ダイニング138坪(115席)、テラス117坪(85席)のレストラン。明るい太陽が降りそそぐ南イタリアをテーマにした「沖縄の海を最も感じる」レストラン「POSILLIPO – cucina meridionale(ポジリポ – クッチーナメリディオナーレ)」である。瀬長島自体は狭いが、空港から近いという立地メリットがあること、天然温泉が湧き宿泊施設としての価値が上がったこと、今後、産直市場、飲食店舗(約30店舗)、物販店舗(約6店舗)、ビーチパーティテラス、スイーツテラスなどを誘致する一大商業施設「ウミカジテラス」の計画も発表された。しかし、地元では「駐車場がないのが致命的」という声も上がっており、瀬長島開発を疑問視する人も少なくない。しかし、新川氏の沖縄進出で、那覇都心圏、空港周辺エリアの人気が急上昇することは間違いないだろう。

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