今も自ら「飲食の戦士たち」の取材に赴く、株式会社キイストン代表の細見 昇市さん
大山:ここのところ仲良くしていただき、ありがとうございます(笑)。それで「飲食の戦士たち」が連載1,100回を越えたということで、おめでとうございます。連載は、いつスタートされたのですか?
細見さん:えっとね、「飲食の戦士たち」は2008年の2月です。ただ「飲食の戦士たち」の前に、「決断の瞬間」という人生の転機になった年齢に何をされていたかという内容のサイトを立ち上げてました。言わば「飲食の戦士たち」の原型ですね。
大山:どういうキッカケで「飲食の戦士たち」が誕生したのですか?
細見さん:それまでキイストンは業界もエリアも絞ることなく求人広告代理店をやってたんですが、リーマンショック前の2007年から社内体制を大きく変更することに舵を切ることにしました。それが景気の良し悪しに関係なく、慢性的に人材不足の飲食業界でした。
大山:なるほどですね。不景気で人がいらなくなった業界から、不景気だからこそ人が必要な飲食業界へとシフトしたんですね。
細見さん:はい。飲食に絞ることによって、逆にそこを掘り下げよう、というふうに考えたんですよ。飲食業界はもともと人が採れないし、併せて人材紹介会社も飲食業界に特化したものを作ったので、もっと社長の理念や生きざまを聞こうと。「どんな人なのか分からないのに、会社を紹介できるのか?」というのもあって社長の取材をやろうと。
大山:それでできたのが「飲食の戦士たち」なのですね!
細見さん:人材紹介をするにあたって「社長はこんな想いがありますよ」「こんな生き方をされてきた方の会社ですよ」ということを、できれば文字があった方がいいし、ビジュアルがあった方がいい、サイトがあった方がいいという形で始めたのが「飲食の戦士たち」です。私は昔から経営者に興味がありましたので、興味本位から生きざまを聞き出しました。
大山:おもしろいですね。オウンドメディアのまさに走りですね。
細見さん:でも、社内では「社長自ら取材やって、費用ももらわず無償で記事を入れ、なんの意味があるんですか?」とか「今どき社長の話なんて興味ないですよ、聞きませんよ」なんて意見があったんですよね。
でも回数を重ねていくと、いろんな苦労や成功へのキッカケが取材を通じてわかってきました。また、どの社長も取材の最後に「人材は困ってませんか?」と質問すると、どの企業様も頭を悩めており「何か採れる方法あるの?」と・・・。
きっとこの「飲食の戦士たち」は多くの社長の生きざまを紹介すれば、必ず業界に役立つ!!また、社長と直接話できることで対等な立場で仕事ができるって思い「飲食の戦士たち」はスタートしたんです。私はなぜか前職の営業マン時代から、懐に入るのが得意なので(笑)。
大山:そうですよね、今でもご自身でやられていて素晴らしいですよね。とても刺激をいただいています(笑)。
細見さん:普通は飲食企業様の取材って、現在の状況を中心に紹介し、何店舗にしたいですかとか聞くじゃないですか。私の場合は社長そのものに興味があったから、過去や生い立ちを聞いて、どうして社長になろうとしたかという切り口で取材をしていったことで、趣味の範疇かもしれないけれど、結果的にそれが他のサイトとは差別化できていったという感じですね。
社長の生い立ちから生きざまを記事にしてるので、5年10年と時間が経過しても劣化しないんですよね。事業にフォーカスしないで社長をクローズアップしているので、記事が300回、500回、800回と積み上がっていくごとに信頼度も上がってきましたね。
お話を伺った株式会社キイストン細見社長。とにかくバイタリティがものすごい(笑)。
大山:そうですよね、社長側も自己開示をしているから確かに仲良くなりそうですよね!
細見さん:そうまさに!取材していて、社長が気づいた頃には自分ここ(すぐ目の前)におるからね(笑)。みたいな感じです。
それで取材した会社が増えると、大体分かるわけですよ。「 あ、この人とこの人は合うな」とか。しかも記事は一定量だけど、自分は全部を聞いてるからもっと詳しいじゃないですか。距離は近くなっているし。
大山:今では企業の代表のトップメッセージって何より大切で、当たり前のように企業のトップがメッセージを発信する時代ですものね。
細見さん:今では企業の理念経営が重要視されています。 どんな志でどんな目的のために事業をやっているか、というのが大事ですよね。 そしてその理念の背景を知る上では(社長のストーリー)というものはあった方がいいんですよね。
大山:その細見さんの先見の明というか、企画力がすごいですね。アイデアマンですね。
細見さん:前職時代で求人広告の営業をやっていた時も、編集記事をどんどん活用して求人とセットで出すというような企画をやったりしていたんですよね。なので記事の(影響力の)強さをわかっていたんですよ。だから、突飛なことを考えたわけじゃないんです。 ただ私の中ではまず200連載することで、頭一つ出るよねって思っていて。追いつくまで時間もかかるだろうし、(追いつかれそうになっても)逃げていこうと。それで連載1,000回を超えてから、視界がちょっと変わったんですよね。
大山:今でも週に1回あげてらっしゃるんですもんね?
細見さん:そうです。一時、記事を入れるのが厳しい時あったんですよ。スタッフから「確認取り終わってないから今週はやめましょうか」みたいなことが数回あったんですよ。でも1回やめたら絶対になぁなぁになる。こだわりがなくなるんですよね。だから何が何でも掲載するぞ!って締め切りぎりぎりに確認して、掲載にこぎつけてましたね(笑)。
大山:突破力(笑)!おもしろいですね(笑)。
細見さん:それと私たちはインターンシップも含めて新人が入ったら、社長取材からやっていくんです。
大山:なるほど、OJTとしては最高ですね。
細見さん:そう。でも初めは大変ですよ。連載1,000回もやっていると、絶対に知り合いの社長が「飲食の戦士たち」に載ってるので、誰でもアポ取れるんですよ。普通の求人媒体のテレアポだったら、200〜300回に1回取れたらいい方ですよ。そして取れても求人担当者か責任者ですよね。私たちは社長さんですよ。上場企業も含めて。学生さんが電話してアポ取って、取材がきっかけから即決で求人で数百万円の受注いただくこともあったり。新人の勉強にもなるのです。
それともう1つは、いきなり社長と会うわけですから、社長に対して免疫ができるんですよね。社長って怖いイメージあるじゃないですか。でも自分でリストアップしてアポイント取って、取材をするので勉強になるんですよ。社長に会うことによって成長できるというか。
それこそコンサートで歌手の歌を、自分が目の前で1人で聴いてるみたいなもんですよね。すごいリアルな内容を聞けるから面白いんですよ。その中にいっぱいヒントがあるわけですよ。どう話せば上手く取材ができるかとか、だんだん見えてくるんですよね。そうやって「飲食の戦士たち」は広がってきたとともに、さまざまブレーンや、メディアの横のつながりがたくさん増えていったんです。
大山:そうですよね。今やオウンドメディアを越えて、立派なメディアですよね。
細見さん:17年の年月をかけ、飲食業界内でも認知度の高い素晴らしいサイトが出来上がったし、これは貴重なものだと思っています。
これも今まで取材依頼を取ってくれた歴代の社員やアルバイト、インターンの皆さんが頑張ってやってくれたおかげです。だから、このサイトを活用して周りのビジネスパートナーの皆さんたちともと一緒に組んで、もっと飲食の人たちにスポットを当てようと。
大山:素晴らしいですね。まさに同感です。
細見さん:「飲食の戦士たち」は一つの形として出来上がったけれど、そこに辿りつくのにはキイストンに関わってくれたインターンや当時の社員の人達のおかげです。また、私がやりたいのは業界にはどんどん優秀な方が生まれてきているし、すごい方がたくさんいるんだからスポットを当てたい。だから、私たち(メディア)は協力しながらコラボレーションして、飲食の社長がメディアに露出できるように変えていこうじゃないか、そんなスタンスでいるんです。
大山:共創の時代ですものね。ぜひ連携させてください。あとお聞きしたかったのが、1,000回以上の飲食店経営者さんの取材をしてると思いますが、伸びる飲食店経営者の共通点みたいのはなんですか?
細見さん:私はやっぱり取材をしていて思ったのは、どの会社も順風満帆はないじゃないですか。 例えばですね、階段でいうと 5段目、10段目に上がって、もうしんどいと思った、その先の15段目の先にものすごいチャンスがあるってすごく思うんです。なので私は、やっぱり諦めないっていうことが大事かなと。
それと自分もですが、お客さんを見てても、自分が考えたものは諦めが早くないんですよ。 人のモノマネをするとすぐ諦めますよね。自分が作ったものであれば「なんでだろう、おかしいな」と試行錯誤しながらやっていく上で、気がついたらちょっと形が変わったものができる。 諦めない先って何かが開けてくるんですよね。 だから私はやっぱり諦めないっていうのは、1つありますね。
大山:人が辞めても諦めずに、また採用して教育していいチームを作っていく…というところで繋がっていきますね。具体的に今後考えられている施策や企画など、言える範囲で教えてください!
細見さん:連載1,000回を超えたので、次は私はいろんな企画を考えてるんですね。 例えば、一つのテーマに対して10人ぐらいの飲食の経営者を入れたような座談会を企画できないかとか。あとは同じ企業さんの記事を、他社のメディアさんと組んで合同企画ができないかとか。
「飲食の戦士たち」の再現ショートドラマをやってますけど、飲食の経営者さんたちの生きざまをドラマとして見せていこうというのもやっています。
いろんな分野で「飲食の戦士たち」シリーズをやっていきたいですね。
大山:最後に飲食業界のこれからについて、一言お願いします。
細見さん:飲食業界には、すごい可能性があるなと思っているんです。例えば、エリアを限定して10~100店舗規模で店舗をPRの場所として活用する。それってものすごい宣伝になると思うですよ。あとはお店のオフの時間に、軽い軽食なんかを出してもらって会議の場所であるとか、セミナーや記者会見、あとは若手芸人さんやダンサーが人に見せるために店舗を利用するとかね。
そういうネタを私たちが仕掛けていって、(マス)メディアの人が取り上げてくれる目線に持っていけたら、もっと広がっていくと思っているんですよね。それを自分たちだけじゃなくて、一緒に取り組んでいけたらもっと大きなことができる、私はそんなことを仕掛ける立ち位置かなと思っています。これも飲食業界への恩返しと考えています。
大山:ありがとうございます!ついていきます(笑)。本日は、ありがとうございました!
編集後記
私が細見さんと初めてお会いしたのは、実は1年ほど前のことです。もちろん存在は存じ上げていたのですが、意外なもので。とにかくパワフル。そしてアイデアが湯水の方に飛び出すバイタリティ溢れる方です(笑)。この取材の前から「これからはメディアは連携してやっていきましょう」という細見さんの呼びかけから、さまざまなご紹介を通じて新しい企画を共に仕掛けています。飲食の経営者、そして飲食業界で働く人たちにもっともっとフォーカスが当たるよう我々も共創し、飲食業界のこれからをより良いものにしていきたいと思っています。(聞き手:大山 正)
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