Q.我那覇さんが飲食業界を志した経緯はなんだったのですか?
A.うちは僕のおじいさんがアグー豚1頭から飼い始めたのが始まりなんです。その後、父親が名護で小さな街の精肉店を従業員3人から始ました。僕は、食肉の勉強をしようと群馬の日本食肉学校で肉の勉強をしていたんです。
そうしたら突然13年前、僕が19歳の時に母親から連絡があって「お店の経営が危機的状況だから帰ってきて」ということで、事情はよくわからなかったんですが、戻ったんです。
そうしたら売上が右肩下がりになっていて、本当にやばい状況だったんです。
Q.それでどうしたんですか?
A.とにかくお客さんがいかにしたら喜んでくれるかをひたすら考えました。それで群馬にいたときに、全寮制だったんですけど、修行をさせてもらっていた「上州ミート」さんという肉の卸の会社さんが焼肉店をやっていてとても調子が良いのを思い出して、飲食店で働いたこともないのに、父親に保証人になってもらって国民金融公庫から自分で借金してお店を始めたのが最初です。今の焼肉乃我那覇の本店です。10年前、僕が22歳の時です。
焼肉乃我那覇 本店(2F) 1Fで精肉の販売も行う
Q.22歳ですか!それはすごいですね!それでいきなり焼肉店はヒットしたんですか?
A.文章書いて想いを伝えたら思った以上に、公庫さんがお金を貸してくださった(笑)ので、なんとか期待に応えないと、やってやる!って気持ちでした。焼肉店をやり始めたから徐々にお客さんが増え始めました。
父親(現社長)の教えで「お客様を騙すなよ、いいものを売りなさい」というのがあったので、とにかく何をしたらお客さんが喜んでくれるかを必死に考えました。
名護市内で精肉店から創業した我那覇 直社長(左)
Q.なるほど、素晴らしいですね。その後、新館を作られたということですか?
A.はい、本店を2008年2月に開店したのですが、観光客のお客様が増えていくことによって地元のお客様の客離れば起きてしまったのがあって、新館を2015年8月に作ったんです。地元のお客様は本店、観光のお客様を新館へ、という感じでご案内しています。新館はおかげさまで130坪150席で2,800万円/月くらい売るようになりました。
焼肉乃我那覇 新館 大人気店を切り盛りする店長の前里 源太さん
Q.それはすごいですね!それではそれに関連しまして、本題ですがtriplaでも新館の反響がすごいと伺ったのですが、具体的にインバウンド需要の波はお感じになりますか?
A.そうですね。恩納村にリゾートホテルがあるんですよ。それで、名護で食事をして恩納村に帰る方が多いんです。名護は高速の最後で美ら海水族館行く途中でもあるので。以前は日本人の観光客も多かったのですが、今は海外に安い値段でいけるので日本人の観光客が少なくなってきて、代わりに海外のお客様が増えたんです。7割が台湾のお客様です。あとは韓国のお客様や中国のお客様が多いですね。
Q.具体的に何かインバウンド対策はされているのですが?
A.当初は媒体に載せたりはしていました。僕の仕事はお客さんを呼ぶこと。媒体を見て来店してくださった海外のお客様が「やっぱり美味しかった」とSNSにバンバンあげてくれて、おかげさまでお客様が増えていきました。こっち(名護)に来ることがステータスになっているんだと思います。
Q.そうなのですね。外国語のメニューはあるのですか?
はい、スタッフが頑張って作ってくれて一応…あります。ですが、このあたりは弱い部分なのでパートナーの方にやっていただきたいですね。
-高)まさにそれが本業なのでお任せください。笑
Q.その他に、対策されていることはありますか?
A.細かなところでいくと、台湾のお客様がとても多いので新館では食べ放題コースにしているんです。台湾は食べ放題の文化なんですね。食べ放題が主流なんです。しゃぶしゃぶなんかも食べ放題です。ただ、お客様の中には食べ放題にプラスして、いいお肉も食べていただける方も多いです。そこは接客でしっかりとオススメしていきます。
好きなものを取って食べる「バイキング形式」
あと、お客様のニーズに合わせて掘りごたつの席や、テーブル席、個室などをご用意していたり、禁煙・喫煙でフロアをしっかりと分けたりしているんですが、それも海外のお客様は喜んで頂いています。
-大)そうなのですね、いろいろと創意工夫をされているのですね。
-我)そうですね、日々勉強です。肉屋がやっている焼肉店ということをアピールするために入り口付近には塊肉をレイアウトしたりしています。
-高)triplaからの問い合わせでも「肉屋さんの直営店だから」という点で海外のお客様も魅力に感じているのはあるようですね。
Q.さて、話題は変わりますが、採用についてはどういう思いでされているのですか?
A.気持ちです。「一緒にできるか?」「本当にやれるか?」それしかないですね。何かあった時に逃げない人間と一緒に仕事をしたいですね。僕たちは県内でナンバーワンになりたいと思っています。お客様を幸せにするのはもちろんですが、仲間を幸せにすることができないと意味がないと思っています。去年までは店舗展開なども考えたりしましたが、まずは今いる人、みんなに感謝できないと意味がないと思いまして。仲間がいなければ何もできない。仲間がやりたくなければ、僕の独断では展開しようとは思わない。みんなが成長できる場所でなければ意味がない。0からスタートしたから今のスタッフたちには感謝しかありません。見せれるものは全て見せていこうと思っています。
感謝の気持ちを込めて、月1回開催されるスタッフ全員参加の誕生日会
Q.素敵ですね。最後に今後の展開・事業の構想をお聞かせ願えますか?
まずは直近ですと、那覇の国際通りに新店舗を計画中です。お土産物屋さんです。平田牧場さんのように僕たちもしゃぶしゃぶセットや煮豚、ソーセージなど自社の商品を提案していきたいと考えています。中食の需要をしっかりと捉えていきたいなと思っています。
あとは牛を育てようと思っています。おじさんが豚を作ってるので。「この牛も我那覇さんの牛ですよね?」と聞かれるとなると言葉に詰まるところがあるので、そこに挑戦したいと思っています。働く人たちが自信持てると思うんです。ベテランスタッフ皆さんの新たな活躍できる場所を提供していきたいと思っています。
名護では海鮮業態にもチャレンジしたいと思っています。まだまだ名護は美味しいお店が多く無いので。こっち(名護)に来たら2日くらいは滞在すると思うので、肉以外の提案もしていけたらなと考えています。「うち(我那覇グループ)に来れば肉も魚も美味しく食べれるし安心」と思ってもらえたら一番いいかなと思っています。
-大)大きな夢がありますね。これからの展開を楽しみにしています。本日はお忙しいところありがとうございました。