――現在、展開されている店舗で分煙対策を行っていますか。
【井石氏】
現在、ダンダダン酒場は、都内から多摩地区まで36店舗を展開していますが、全店で喫煙可能にしています。客単価が2,000円で、ビールと餃子が楽しめる大衆酒場なので、お客様も喫煙ができて当たり前という認識で来店されるケースが少なくありません。そのため、たばこを吸う人も吸わない人も楽しめる環境作りができるように、創業当初から「周りへのご配慮をお願いします」という張り紙を店内に貼るなど対策を講じてきました。
【横川氏】
うちは「和酒厨房ばさら」と「仙川和酒ばさら」、「牡蠣BASARA」を府中・調布エリアで4店舗展開していて、「牡蠣BASARA」は禁煙ですが、その他の店舗は喫煙可能です。
株式会社NATTY SWANKYの井石裕二氏(左)と株式会社ばさら厨房の横川尚行氏
【井石氏】
全席禁煙にしているんですか?
【横川氏】
全席禁煙です。都心から少し離れた調布や府中は、喫煙に対するニーズが大きいエリアのため、はじめは怖さもありましたね。だけど、10坪という小さなスペースでやっている店で、全席禁煙に対する理解が得やすかったので、導入に踏み切りました。ただ実を言うと、アイコスだけは使用できるようにしているんです。
【井石氏】
うちでも、最近、ランチのみ全席禁煙にして、アイコスだけは使用できる席を一部設けたりしていますよ。
――アイコスの話題が出ましたが、飲食経営者として、アイコスについてどのように感じていますか。
【井石氏】
喫煙所でアイコスを使用している方を頻繁に見かけるようになったので、ユーザーは増えているのではないでしょうか。当社でも店舗を利用してアイコスの販売会をやりましたが、大変好評でした。
【横川氏】
「牡蠣BASARA」では、1台だけ店でも貸し出しをしていますが、当店ではじめて使って、喜ぶ人も少なくありません。アイコスが成人喫煙者と非喫煙者の新しい共存のツールになりつつありますね。
36店舗を展開中の「ダンダダン酒場」
――2020年の東京オリンピックの開催に向けて、全面禁煙化の流れも出てきています。飲食店を禁煙にするのは難しいことでしょうか。
【井石氏】
正直、法整備などがなければ、全席禁煙は難しいかもしれません。都心になればなるほど、禁煙のニーズが大きくなっていますが、同時に禁煙の店が増えてきている分、喫煙ができるということで喜ばれるケースもあります。そのため、積極的に禁煙化を導入した結果、他店にお客様を奪われるということも考えられるのではないでしょうか。
【横川氏】
確かに、エリアや業態によっては、禁煙だからその店に行こうという人は少なくなるかもしれませんね。
【井石氏】
現在、駅周辺の喫煙所も縮小化が進んでいて、屋外でなかなかたばこを吸う場所が見つからないことも多くなりましたし。そうした方の居場所を作るのも、居酒屋の役割の一つではないでしょうか。ただ、郊外型と都心型の店舗で、お客様の層が違うので、状況に応じた分煙について検討をしています。特にファミリー層が多いエリアについては、禁煙席のニーズが高くなっていますから。
【横川氏】
禁煙化の波は、徐々に府中や調布エリアにも押し寄せています。お客様から「禁煙席ありますか?」と聞かれることも多くなりました。そこで、店の構造上なかなか難しいのですが、カウンター席のみ喫煙にするなど、うちでも新しい方法を模索し始めています。
【井石氏】
2020年に向けた流れがどうなるか。それが飲食店の分煙の取り組みを大きく左右しますね。
「牡蠣BASARA」の店内の様子とキラーコンテンツの牡蠣
――禁煙化の流れに対して、やはりアイコスの果たす役割は大きいものでしょうか。
【井石氏】
大きい影響をもたらすとは思います。ただ課題もあるのも事実です。喫煙者からすれば、アイコスはたばこ葉を燃焼しないのでいわゆる副流煙が無く、においの軽減などで、周りへの配慮ができるため、通常のたばことは違います。しかし、非喫煙者からすれば、同じたばこでしかありません。そうした認識の違いが大きいので、たばこを吸わない人に対する啓蒙が必要なのではないでしょうか。
【横川氏】
そうすれば、飲食店でも導入がしやすい環境が整いますよね。たばこだと、まれに酔っぱらったお客様がお皿を灰皿と勘違いして使ってしまうケースがありますが、アイコスではそれがありません。そうした細かい点でも、飲食店がアイコスを導入するメリットがあるので、非喫煙者に対する啓蒙活動という意見には、私も賛成です。
――そうすれば、もっと導入がしやすくなると。
【井石氏】
確実にそうなります。
【横川氏】
そうした状況が実現すれば、もっと多様な分煙化の取り組みも行っていけますよね。
【井石氏】
飲食店として、幅広い楽しみ方が提案できるのは間違いないです。
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