雲海酒造(宮崎県宮崎市、代表取締役 中島美幸氏)の仕掛けている「そばソーダ」が好調だ。吉田羊氏を起用したTVCMの放映や積極的なサンプリング・プロモーションで、新規需要の拡大に成功。そば焼酎を炭酸水で割る新しいスタイルはもちろん、フルーティーで親しみやすい味わいが、これまで焼酎を飲んでこなかった層に幅広く受け入れられている。TwitterやInstagram(インスタグラム)、FACEBOOKなどで、若者や女性が話題に上げることも多い。
これから本格的な夏を迎えるにあたって、スッキリと飲めるアルコールに対する重要が増すため、「そばソーダ」のニーズは、さらに拡大していくだろう。現在、新しい顧客を取り込めるアルコールとして、多くの業界関係者も熱い視線を注ぐ。こうした流れを受けて、「そばソーダ」をグランドメニューに取り入れる飲食店が現れた。テンプルボーイ(東京都千代田区、代表取締役 渡邉真祐氏)が運営する「東京オーブン」も、そうした店の一つである。
代表の渡辺氏は、飲食六次産業化モデルの次世代イノベーターとして注目されている人物だ。「地域の生産者と東京の消費者をつなぐ懸け橋となること」をビジョンに掲げ、地方食材アンテナショップ型飲食店を展開している。「そばソーダ」の印象について、同氏は「以前から、『そばソーダ』のCMなどを観ていたので、商品については好意的に捉えていました。実際に私も試飲をしましたが、とても飲みやすくて、提案のスタイルに新しさを感じています」と話す。
代表取締役の渡辺真祐氏
「そばソーダ」の導入の決め手は、同店のビジョンとの親和性からだという。そば焼酎『雲海』は九州・宮崎の職人により作られており、仕込みに使う割り水や発酵させる環境なども、九州という土地ならではの魅力を生かしている。こうした製造方法やこだわりが、地域の生産者と東京の消費者をつなぐコンセプトと合致したため、スムーズに導入することができたそうだ。
実際に提供を開始してみて、早くも手応えを感じている点がある。それが、新たなニーズの掘り起こしだ。渡辺氏は「当店には、丸の内周辺で働くビジネスマンが、日常的に来店されています。主に、ビールやハイボール、ワインなどを飲まれる方が多くいますが、焼酎に対する潜在的なニーズは高いと感じていました。『そばソーダ』を導入することによって、新しい需要を掘り起こせるのではないかと考えています」と語る。
同店にも置かれている専用グラスやポップなど
合わせる料理についても、ジャンルを選ばない。強いて相性の良いメニューを挙げれば、醤油漬けしたチーズにわさびを少し乗せて食べる「クリームチーズの津軽りんご醤油漬け」(480円)や、そば焼酎『雲海』と同じ宮崎まるみ豚を使ったメニューなどという。
サンプリング・プロモーションで配布した「そばソーダ」のお試しチケットでも、焼鳥店や和風居酒屋、バル、ダイニングバー、カフェ、洋風居酒屋など、参加した飲食店は幅広い。渡辺氏の感想から、改めてどんな料理にも合うという「そばソーダ」の魅力が証明された。
今後の展開について、「そばソーダ」に対して、いくつか期待していることがある。「現在は、アルコールのメニューの中の一つとして『そばソーダ』を提供しています。しかし認知度の高まりとともに、『そばソーダ』を目的に来店される方が増えていくかもしれません。ミントそばソーダやそばモヒートなど、店で独自のアレンジを加えて提供しても面白いでしょう。これからも新しい提案のツールとして、最大限活用していくつもりです」と渡辺氏。
実際に人気店のグランドメニューに導入されて、ますます存在感を高めていく「そばソーダ」。4月に有楽町駅と新橋駅で始まった消費者サンプリングも、池袋駅や渋谷駅とエリアを拡大するごとに、盛り上がり方が大きくなっている。多くの消費者に受け入れられて、人気店での提供も開始されたことで、「そばソーダ」が定番商品となる日も近いだろう。