スペシャル企画

トップ経営者が考える分煙の取り組みとは? Vol.2 たばこが根付いた街で分煙店舗にチャレンジ!


中野で「ぢどり屋」、「中野B級酒場」の居酒屋を2店舗、洋食店「ハヤシ屋中野荘」、そして熟成肉とワインをメインに据えた「Tsui-teru!(ツイテル)」の計4店舗を運営するガオス株式会社 代表取締役の鈴木潤一氏。今回は、数々のメディアで紹介される大ヒット店「ツイテル」を例に挙げ、実際に行なっている分煙方法を聞いた。

分煙に取り組む中野の人気“肉バル”!

2011年10月23日、中野にオープンした「Tsui-teru!(ツイテル)」。「これまでつくってきた居酒屋ではなく、今度はワイン酒場をやりたかったので、当時まだそれほどメジャーではなかった熟成肉とワインを売りにした酒場にしました」と、鈴木氏。オープン直後から熟成肉というヒット商品で話題を呼び、現在もその人気は衰えていない。平日は仕事帰りのサラリーマンが、週末は近隣に住む家族連れが訪れ、予約で満席になることも多いという。また中野は休日になると、他エリアからの流入もあるため、買い物がてらに訪れる人も多く、20~50代と幅広い年齢層から支持されている。

鈴木氏

「喫煙客・禁煙客の両者が満足のいく食空間を作るのがベスト」と語る鈴木氏

同店は57坪・115席の大箱で営業。元ステーキ店を居抜きで借り受けた物件で、もともとあった可動式の間仕切りで店舗は二分されたレイアウトとなっている。
「これまで経営していた居酒屋は、全席喫煙可能な店でした。でも、今回は熟成肉とワインを売りにしたお店だったので、喫煙環境をどうするかは正直悩みました。今の物件がちょうど空間を分けられる造りでもあったので、全席禁煙ではなく、分煙にしようと考えました」(鈴木氏)

鈴木氏が知る限り、「中野にある酒場には、禁煙の店はほとんどない」ほど、たばこが吸える店が多いという。「お酒とたばこがセットの街」と鈴木氏。中野に限らず、昔ながらの個店が多いエリアの酒場は、たばこが吸える店がほとんどだろう。そのためたばこを完全に切り離してしまうと、客を取りこぼしてしまうとの考えがあったようだ。

 

喫煙席+屋外喫煙スペースを設置

Tsui-teru!の入り口に設けられた喫煙スペース

喫煙客に喜ばれている店頭の屋外喫煙スペース

店内はキッチンに面した約70席の空間と、間仕切りを隔てた約40席の空間に分けられる。以前は、予約の状況に応じて、喫煙席・禁煙席を分けていたという。「ご予約のお客さまには、喫煙席希望かを聞きます。喫煙客が多ければ70席の方を喫煙席にし、少なければ40席の方を喫煙席にと、その日その日で分けていました」。現在は、貸し切りがない限り40席の方を喫煙席として固定しているという。

「居抜きのため、換気は元々の設備でまかなっています。70席の方の天井には機械換気設備が4箇所、40席の方には2箇所ついています。煙で充満することはないので、給排気はできていると思いますね。ただ、どうしても煙と匂いが禁煙席の方に流れてしまうこともあります。煙の問題は、禁煙席のお客様に声がけするなどで対応できますが、ニオイに関してはもう少し改善できると良いなと感じています。」と鈴木氏。

喫煙・禁煙席の割合やニオイの問題と分煙店舗へのチャレンジに向けた検討を続けているようだが、喫煙席が満席の場合は、喫煙客をやむなく禁煙席に誘導するしかない。そこで店頭に灰皿を用意し、喫煙客の取りこぼしを防いでいる。同店は2階に位置するため、店頭喫煙による近隣トラブルもなく、階段及び間口が広いため、来店客の邪魔にならない。さらには、店内入口の横に幅3メートルの大きな熟成庫があるため、入口すぐに客席はない。レイアウト上でも、たばこの煙が客席まで流れることがないのだ。こうした物件の利を活かした屋外喫煙スペースも、喫煙客に喜ばれている要因の一つだろう。

現在の喫煙客の割合は3~4割。中野エリアの酒場としては、喫煙客が少なめだという。「僕自身、お酒とたばこは切っても切れない関係にあると考えています。お酒を飲みながら、1本のたばこを吸うことが、喫煙者にとっては大切な瞬間だと。それでもたばこが苦手な方はいらっしゃるので、そうした方々にも食事を楽しんで欲しい。両者が満足のいく食空間を店側が作るのが、ベストだと考えています」と鈴木氏は話す。

喫煙客の多い立地であることや、嗜好品である酒を扱う酒場業態を考慮した“分煙スタイル”。居抜き物件を上手く活用できた点でも、喫煙者と非喫煙者の両者をバランスよく取り込めた成功例といえるだろう。

 

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