スペシャル企画

サラリーマンアンケート続編 「“喫煙できる”が店選びの条件に!?」


不況でも変わらず“飲みにいくこと”を愛する世のサラリーマンたち。いったん気に入れば固定客となる可能性が高いサラリーマンは、店にとって貴重なお客様だ。そこで、サラリーマンのリアルな外食事情を探るべく、7月にアンケートを実施。結果、外食頻度は週2~3回、1軒当たり3000~5000円が相場で、同行者は会社関係が最も多いことなど、サラリーマンの外食事情が見えてきた。中でも、店を決める際に喫煙環境がポイントになるか?という質問には、全体の約半数、さらに喫煙者のみだと8割強が“YES”と答え、“喫煙できること”が店選びの条件になっている事実が浮き彫りに。そこで、実際、飲食店サイドは店内での喫煙環境についてどう考えているのか。サラリーマンが多く利用する、赤坂&新橋の人気店に話を聞いた。

赤坂「ごだいご赤坂」

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「お客様の約9割が喫煙者なので、全席喫煙可能が基本です」

サラリーマンであふれる飲食店激戦区の赤坂。その主要ストリートのひとつ、エスプラナード通り沿いの飲食ビル7階にある、おでんと串焼きが評判の店「ごだいご赤坂」は、食べログなどでも3.5を超える好評価の店だ。平均客単価4000円とアンケート結果での相場(3000~5000円)と同等で、リーズナブルなお酒、こだわりの料理、きめ細やかなサービスと、総合的にコストパフォーマンスの高さが評価され、40~50代のサラリーマン男性に支持されている。

そんな同店の喫煙環境は、基本、全席喫煙可能とのこと。「うちのお客様は9割以上が喫煙者なので、店内は全席喫煙にしています。実際、お酒ありきの業態だけで言えば、喫煙者はほぼ100%の人が吸える店を選ぶのではないでしょうか。食事メインなら別ですが、飲みながら…ということであれば、吸えない店を選ぶことは稀だと思います」と店長の布留川さん。とはいえ、こちらの店では、他の席と壁で仕切られている団体用の個室については、客のニーズに合わせて、喫煙か禁煙に変更できる。「個室内を禁煙にしても、吸いたい方は店内のカウンターやエレベーター前の灰皿で喫煙いただけるので、両者とも気兼ねなく過ごしていただけます。このスタイルで特に問題が起こることなく、宴会のリピートも数多く頂戴しています」(布留川さん)

一方、電話での予約時に「喫煙席はあるか?」と聞かれることはほぼないと言う。 「そもそも、このエリアにある居酒屋的な店で、喫煙不可ということを想定されている方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。逆に、タバコが苦手なお客様から『分煙されてますか?』と聞かれることはあります。その際は現状をきちんとお伝えし、それでもご利用になられたいと仰っていただけた場合は、煙の流れにくい席をご用意するなど、出来る限りの配慮をさせていただいています」(同上)

お客様の大半がタバコを吸う以上、今のスタイルを変える気はない。需要がある限り、現状維持の全席喫煙可でいきたいと話す。

匂いや煙を感じない、クリーンな店内に!

全席喫煙可能だからといって、煙や匂いに気を使わないというわけではない。 「喫煙可能ではありますが、店内の空気は、出来る限りいつもクリーンな状態にしたいと思います。それは、喫煙者、非喫煙者双方のお客様が居心地よく寛げるためのサービスとして当然のこと。現在は、店内の排気設備で十分なので空気清浄機など特別なものは置いていませんが、初期投資、ランニングコストとも、負担が低く抑えられるもので、空気清浄に役立つものがあれば、興味はあります。価格次第ですが、ぜひ検討してみたいと思いますね」(同上)

分煙博士がアドバイス  「ごだいご赤坂」」の場合・・・ ●全席喫煙可能を維持したいということであれば、まずは店頭や店内に「全席喫煙可」であることをお客様に伝える“ステッカー表示”をすることも大事!お客様に店内の喫煙環境を事前にお知らせすることで気持ちのいいサービスにつながるのでは。 ●空気清浄機や脱臭機は粉じんは取るけれど、たばこのニオイまでは完全に除去できないので、排気設備との併用が基本!家庭用であれば3~8万円、業務用であれば30~80万円程度。 ●空気清浄機や脱臭機はメンテナンスを怠ると新たなニオイの発生源になる恐れがあるので注意が必要!メンテナンス費用は自分で清掃できるものやメーカーや設置台数によって差はあるけれど、1回あたり1~3万円程度。

新橋「エッセンシャルクッキング」

外観 店内壁面 カウンタ

「店内エリア分煙で上手く棲み分けています」

赤坂同様、サラリーマンであふれかえる新橋エリア。こちらのおしゃれな飲食店がひしめく路地裏の一角に、センスのいい店作りで定評のあるデザイン集団、スタジオナガレが運営する炭火焼きビストロ「ESSENTIAL COOKING(エッセンシャルクッキング)」がある。ガラス張りのオープンな店構え、中に足を踏み入れると、奥行きのある店内に2つのカウンターが連なるおしゃれな空間が広がっている。20坪ないこじんまりした店内に、カウンターとテーブル3卓の計28席。主要な客層は、30代のサラリーマンやOLで、平均客単価は3000円と、毎日通ってもらえることを意識したリーズナブルな価格設定だ。

同店でも、男女含め、客の約8割が喫煙者だと言う。
「うちの店は、カウンターは喫煙可能。奧のテーブル席は、ゆっくり食事を楽しんでもらいたいというコンセプトから禁煙にしていて、深夜0時以降、クローズ(翌3:00)までは喫煙可能としています」と店長のヒューゴさん。手前のカウンターと奧のテーブル席との間は特に壁などで遮蔽していないが、中央のカウンター内にあるキッチンの排気のおかげで、煙が奧のテーブル席に流れにくくなっているとのこと。

「店の雰囲気やデザイン性がウリの一つなので女性客も多いのですが、タバコに関するクレームはほとんどありません。煙やニオイが苦手という方はテーブル席にお通しするようにしているので、両方のお客様に満足していただいていると思います。」(同上)

「店の雰囲気を損なわない分煙スタイルが望ましい」

「仮に、法令や条例等で何らかの規制により、東京中の店が神奈川のように分煙をせざるを得ない状況になったとしても、うちのように店のデザイン性にこだわっている店の場合、雰囲気を大きく損ねてしまう分煙スタイルは導入しにくい」とヒューゴさん。「見た目が変わらずに、お客様がより居心地がよくなるような分煙方法があれば、今後、分煙にする必要がある場合に検討したいと思います」。

分煙博士がアドバイス  「エッセンシャルクッキング」」の場合・・・こんな方法も! ●店内の手前側が喫煙席、奥側が禁煙席というエリア分けなので、たばこを吸わないお客様が喫煙エリアを通らなくてはなりません。エリア分煙をする際は奥側を喫煙席、手前側を禁煙席に設定するのも一つの方法!ちょっとしたことで居心地のいい空間になるのでは。 ●エリア分煙する際にパーティションやガラスで仕切ってしまうと店の雰囲気を損なう恐れがあるので、のれんやロールスクリーンを活用しておしゃれにエリア分けをしている店もあります! ●喫煙席と禁煙席の間に仕切りを何も設けない場合はエアカーテンや電子カーテンを活用するのも一つの方法!エアカーテンは10~15万円、電子カーテンは25万円程度。ただ、喫煙席側に排気設備(換気扇)がないと効果を発揮しないので、店内の設備状況を確認することを忘れずに。

以上、“前回のサラリーマンアンケート&座談会”を受け、実際の店舗は、たばこ対策をどのように考えているのかをお伝えしてきた。立地柄か、サラリーマン利用率No.1()のジャンル“居酒屋”的な業態では喫煙率8・9割と高い割合を占め、店でタバコが吸えるのは当たり前といった風潮がある。一方で、空気の流れを考えたり、店内に煙が充満しないよう気を配ったりと、タバコを吸わない客への配慮も窺える。サラリーマンの癒しの場である飲食店で、より居心地よく過ごしてもらいたいと、細やかなサービスでもてなす店の人々・・・。条例やルールといったことではなく、そうやって自然に作られていく分煙スタイルこそ、本当に意味があるに違いない。※サラリーマンの外食リアル事情アンケートより

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