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スペシャル企画

スペシャル企画 第6回 目からウロコの「分煙術」 その3


あらゆる客層をターゲットにする飲食店の代表格、カフェ。そこでは、タバコを吸う人にも吸わない人にも居心地よく過ごしてもらうための様々な先駆的取組みが行なわれていた。"喫煙者と禁煙者の共存"をテーマに、飲食業界関係者の分煙に関する知識向上を目的とした同連載第5弾では、分煙導入に躊躇する経営者が抱える三つの壁、導入費、集客への懸念、デザイン性の悩みを解消し、「分煙=ハードルが高い」という先入観を払拭してくれる多彩なアイデアが詰まった都内のカフェ3軒の事例に学ぶ。

Case3/タバコの煙も匂いも逃がさない超重装備

最大手デベロッパーの共同空間もOKの分煙環境

霞が関ビルの1階ロビ?、共有部にあるカフェ「Sign kasumigaseki」。店に入ると、ど真ん中のワンステップ上がったところに堂々構える眺めのいい箱形の部屋が出現。ロウソクと小窓の形がくりぬかれた壁越しには、ゆったり座れるソファが並び、タバコをくゆらすゲストが寛ぐ。

大手デベロッパーもうなずく仕様とは?

タバコに関するマナーが問題視されている昨今、デベロッパーもテナントに対して厳しい規定を設けている。その最大手である三井不動産のビル、しかもエントランス共有部の一角にありながらゲストが気持ちよくタバコを吸えるカフェというのがこちら「Sign kasumigaseki」だ。

同店の特徴は、業界でも一二を争う厳格な設備規定をクリアするほどの徹底した分煙環境。ひと言で表現すると、ビルの中にもうひとつ小さな建物を立てたイメージである。
まず店内は大きく3つの空間、禁煙スペース、タバコを吸えるAルーム及びBルームに分けられている。"ルーム"といいながら、喫煙可能なAルームは大きなダクトが繋がったひとつの建物状態。店のど真ん中にあり、且つ床が50cm上がった見通しのいい席で圧迫感は一切感じられない。また両者の視線が交わることがない為、タバコが嫌いな人も快適に飲食が楽しめる。

機能面としては、煙が高いところに上がる性質を利用し、床を高くすることで煙を店内へ逃がさず一気に換気できる。換気回数は1時間50回と満席で喫煙したとしても十分対応が可能な数値だ。さらに室内の換気システムで扉の前を負圧状態に保ち、ドアが空いていても空気が外へ流出しない仕組みも導入。十分な設備に加え、室内には匂い対策として「アロマディフューザー」が置かれている。消臭効果に加え、気にならない程度のほのかな香りで"タバコの匂い"の軽減を図る。Aルームに対し、店内奧に位置するBルームは会議室等ミーティングに最適な6名用個室。換気、負圧と同様のシステムを導入しているほか、分断する壁にはウムガラスというON/OFFのスイッチでスモークがかかるガラスを採用。中にいる人は周囲に気兼ねなく、個室に面した席にいる非喫煙者はタバコを吸っている様子を見ることなく、互いに気持ちよく過ごせるというわけだ。大手デベロッパービルの共有スペースで店をできるというチャンスは多くないが、ここまで完全分煙すれば大丈夫というMAXの参考事例として参考にしたい。

「sign」発の分煙環境事例がズラリ

同社直営の飲食店ブランド「sign」では、霞ヶ関店のようなデベロッパー対応型のビルinビルタイプの分煙環境システム以外に、シェードランプの中に換気システムを取り付けた五反田店、風流や負圧によって分煙している立川店など、近年より様々な実験的試みを行ない始めた。「お客様に本当に満足していただく店造りを考えていくと、タバコに関する対応は避けては通れません。であるならば、お客様にはもちろん、店にとってもよりいい方法を積極的に探っていく姿勢が大事だと思います」とは、同社プロデューサーの木村氏。規定の数値などが決まっておらず、一概にこれが正しいと判断できないのが分煙の難しいところだが、その中でも試行錯誤しながら努力していくことが結果的には店の評価へと繋がっていく。「立地、規模、業種など、店によって条件は全く違うのでそれぞれが自分の店に合ったやり方を考える、もしくは実例から取り入れていけばいいと思います。そういった知識を公開、共有しあいながら精度を高めていくことで最終的には外食産業全体のマナーアップに繋がると考えています」(木村氏)

◇「Sign kasumigaseki」がすすめる分煙環境作りのポイント

「"目線を切り替える"という観点を持つことがひとつ、分煙のキーワードになると思います。見えるところでタバコを吸われるのとそうじゃないことで非喫煙者の感じ方は違いますし、視界に入るというのがクレームの対象になり得ます。一番手っ取り早いのは、喫煙ブースの位置を非喫煙者の視界に入りづらい場所に配置してあげること。例えば椅子の高さを変えて両者の目線を分けるとか、ハイバックの椅子や間仕切りを使う。これらは、極端な設備投資ができないため、まずは空間分煙からという場合にも有効な手段だと思います」(木村氏)

◇タバコの匂いに効くアイテム!

プロリテック業務用アロマディフューザー
導入コスト:なし
ランニングコスト:約1.5万円~
TEL:03-5368-1816(株式会社マイクロフレグランス)

今年12月についにアジア1号店を銀座にOpenさせる注目のアパレルブランドAbercrombie & Fitchやラスベガスのミラージュ、噴水で有名なBELLAGIO等、米国の大手チェーンや有名ホテル・カジノに業務用アロマディフューザーを導入しているプロリテック社。独自開発のディフューザーは香りの粒子を特許技術でナノレベルまで細かくして空間に拡散させる仕組みのため、広範囲に広がるうえ芳香持続時間が長いという特徴がある。消臭成分配合でタバコの臭いの消臭効果も。

◇タバコの匂いに効くアイテム!

観葉植物 エコプランツ
導入コスト:1000円前後~

見た目でのリラックス効果はもちろん有害物質を減らしてくれる作用もあることが実験により検証され、最近、話題になっているエコプランツ。なかでも空気清浄能力が高い数種は「エコプランツ」と呼ばれ、「オリヅルラン」「サンセベリア」「ガーベラ」等が代表的だ。

株式会社トランジットジェネラルオフィス(WEB

【店舗データ】
店名;Sign kasumigaseki
住所;東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング 霞ダイニング
電話;03-6206-1050
営業時間;11:00~23:00、土11:00?9:00
定休日;日・祝
客単価;昼1000円 夜3000円

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