【Interview】「地域の生産者と東京の消費者をつなぐ架け橋となる」をモットーに2012年11月 神田にオープンした「東京オーブン」が大ヒット!飲食六次産業化モデルの次世代イノベーター、同店代表(株式会社テンプルボーイ)渡辺 真祐氏のスペシャルインタビューを公開!
―まずは渡辺さんが飲食の仕事に就くことになったきっかけを教えてください。-
大学時代 から漠然と独立したいなというのがあったんですが、「何をするか」という具体的なものはなくて、周囲と一緒に何となく就活を始めて…、一旦外資系のコンサ ル会社の内定をもらったんですが、「やっぱり何か違う!」と思って、入社直前の2月に辞退して(笑)、それで以前から興味のあった飲食の会社…、今のオリ ジン弁当(オリジン東秀株式会社)に内定を頂き、入社しました。それが新卒入社直前の3月です。
当時のオリジン弁当は上場準備の状態で、1年で100店舗出店を目標にしていたのでとにかく忙しかったのですが、逆に「すぐに店長になれる!オペレーションの修業!」と思って、毎日仕事をしていました。3か月で店長になって、当時の最短、3年で8店舗のブロックマネージャーになりました。
―独立のタイミングはいつごろですか?-
はい、そのあと独立しようと思って、移動販売のネオ屋台村を運営する株式会社ワークストアトウキョウドゥの門戸を叩きました。最初は出店者としてやろうと思っていたのですが、同社の方より、「運営事務局の仕事をしてみないか?」ということで、移動販売をやらせてもらえる場所の開拓から事務までさまざまな仕事に従事しました。この移動販売というのが実はとても熱くて、出店しているみんなが夢を持っていて、「いつか実店舗で独立したい」「何をしたらいいか今はわからないからお金を貯めながら考えている」という人たちがたくさんいて、そういう方々をサポートすることに大きな意義を感じながら仕事をしていました。
でも、3年ぐらい働いたくらいですかね、開拓箇所も販売車数も増えて業績もよくなってきていたのですが、ふと「限界」がきてですね…(汗)、 「やっぱり独立したい」という気持ちが高まってきて…、そんなタイミングで自分が初めて営業して開拓した「ちよだプラットフォームスクエア」さんから声がかかって、1FのCAFÉが撤退するタイミングで株式会社ワークストアトウキョウドゥの一事業部として、CAFÉをオープンさせてもらうことになったんです。これが後に私の創業店となる「PLATFORM DELI+CAFÉ」です。(その後2010年3月 株式会社テンプルボーイ設立)
―今の六次産業化のビジネスモデルを志そうと思ったきっかけは何ですか?-
「PLATFORM DELI+CAFÉ」が入っていたビルの上がベンチャー企業のインキュベーションオフィスということもあって、地域活性系のイベントなんかも結構やってたんですよね。そこで今思えば転機となった出来事があって、「岩手・釜石の桜牡蠣のPRイベント」を2011年の3月18日に企画をしていたのですが、その前のタイミングで東日本震災が起きたんですよね。それで自分たちも彼らの安否を気遣ったりして、しばらく連絡取れなかったんですが、15日に釜石の方から連絡を頂いて…、その時思いもよらないことを言われたんですよね。「あの渡辺くんが前にやっていた移動販売、こっちでできると思う?」って。驚きましたよ!まだ大震災の直後だったものですから。自分たちは前職の仲間と連絡を取って炊き出しに行こうと思っていたのですが…。食材も職人さんもたくさんいるけど場所がないから、ということで。それで、移動販売車を数台かき集めて釜石に送ったんですよね。
この出来事をきっかけに、地域の人とつながること、地域活性・地域元気化の使命といったものとをおぼろげに感じ始めて、東京で生きる僕たちが懸け橋にならなければと思ったんです。それが2店舗目の「東京オーブン」立ち上げのきっかけですね。
―東京オーブン立ち上げのとき、だいぶ苦労されたとか?-
はい、いろいろあったんですよ(笑) 最初は三陸沖で取れるムール貝が大ぶりでとっても美味しいので、それを南部鉄器で白ワイン蒸しにして提供するメニューなんかを軸に考えていたんですが、いざ送ってほしいタイミングで「渡辺くん、ごめん。やっぱり(ムール貝が)取れなかったわ。」と言われたり…(汗)
食材の流通に関しての悩みは耐えませんでしたね。
あとは請求書が走り書きだったりで「そんなのダメ!」とか言いながら書き方を教えたり…(笑)、あと南部鉄器でお世話になってる及源鋳造さんも最初に訪ねて「ダッチオーブンやルクルーゼじゃなく、国産の南部鉄器でワインバルをやりたいんです!」と熱く語っても、「ぽかん」としたんですが…(笑)、ぼくたちお店からの意見やお客様の感想などを伝え続けて、PRを続けていったらあるとき、産経新聞と岩手放送の取材が入って、そこから及源さんにも自分たちの存在が知ってもらうことができて挨拶に来てくれたんです。今では南部鉄器の共同開発をしています。
こんな感じで、生産者さんや製造者さんと一緒になって共に伸びていければと思っています。
―渡辺さんの今後の展望をお聞かせください。-
冒頭に言った通り、ぼくらの社是が「地域の生産者と東京の消費者をつなぐ懸け橋となる」ということで、飲食店でなくとも東京にいるぼくらが地域の人たちのためにできることを一つずつ実現していきたいと思っています。具体的には物流の新しい仕組みの構築や、生産者とコラボして新しい商品の開発をし、B to B方向へ発信していきたいと考えています。また一般流通にのらない商材を生かす物流の形も作りたいと思っています。こういった活動を通して、地域の生産者と都市圏の人とのつながりを実現していきます。
飲食業としては、2020年まで毎年1店舗オープンを目標に、東京東エリアで存在感のある経営者になれるよう精進していきたいと思っています。
(聞き手 : 大山 正)
渡辺 真祐氏プロフィール
学生時代「アイ・ラブ・レストラン」を読み、飲食業での起業を決意する。
卒業後、中食弁当チェーン店(オリジン東秀株式会社)、イベント飲食プロデュース業(株式会社ワークストアトウキョウドゥ)を経て2010年 東京神田にてプラットフォームデリカフェを創業。代表取締役に就任。
また、NPO法人農商工連携サポートセンターの理事に就任し、地域の生産者との 出会いが増え、「地域の生産者と東京の消費者の架橋になる」という経営理念を 持つようになる。
2012年11月地域食材をテーマにしたワインバル「東京オーブン」をオープン。4月21日には東京オーブン2号店となる「東京オーブンpetit」をオープンさせる。