CDデビューの先に見えた、“自分の店を持つ”という新たな夢
「実は、CDデビューもしたんですよ」と語る齊藤竹史氏は、東京・町田出身。高校卒業後、音楽の専門学校に進学し、シンガーの道を目指していた。その傍ら、アルバイトとして飛び込んだのが、地元・町田にあった大手居酒屋チェーン「庄や」。ここが、齊藤氏の“居酒屋人生”の始まりだった。「当時の店長が鬼のように厳しくて、よく怒鳴られていました(笑)。でも、あのとき必死に食らいついたから、今も飲食を続けていられるんだと思います」と振り返る。
当時、職場によく飲みに来ていたのが、楽コーポレーションが運営する「まんま屋 汁べゑ」のスタッフたち。その中に、のちに独立して「笑男酒場」を立ち上げる山英靖氏がいた。「彼の仕事の話は熱くて。かっこよかったですね。ずっと“うちで一緒に働かないか”って誘ってくれていたんです」。
とはいえ、「庄や」での経験を中途半端に終わらせたくなかった齊藤氏は、恩を感じていた店長が異動するまでの3年間をやり切り、その後「まんま屋 汁べゑ」へ。ここで5年間、26歳まで勤め上げた。その後、山英氏が神奈川・茅ヶ崎で「笑男酒場」を開業するタイミングで、齊藤氏も立ち上げメンバーとして参画。さらに5年間、現場で腕を磨いた。
飲食の現場を楽しみ、やりがいを感じつつも、齊藤氏は音楽への情熱を持ち続けていた。「飲食はあくまでアルバイトで、本業はシンガーだったんです」。31歳でCDデビューを果たし、音楽活動に専念するため「笑男酒場」を退職した。「2年間は本気で音楽と向き合おうと決めていました。飯を食えるくらいになれなければ、潔く諦めようって」と振り返る。
結果的に音楽の夢に区切りをつけることになったが、そこから齊藤氏の中で飲食が本業になった。33歳で、楽卒業生の森健二氏が運営する神奈川・淵野辺の「モリモリ商店」に入社し、独立に向けて経験を重ねていく。
「かっこいい先輩たちの背中を追い続けてきて、“いつかは自分の店を持ちたい”という気持ちがずっとありました。楽では30代前半で独立する人も多いですが、僕は音楽に向き合っていた分、スタートが遅れていた。それでも“40歳までに独立する”と決め、目の前の仕事に全力で取り組んできました」。

たまプラーザ駅東口から徒歩3分。再開発された駅前の整然としたにぎわいを抜け、住宅街へと向かう道沿いに立地する。木を基調にした温かみのある外観に、大きな窓からは落ち着いた照明とカウンターの活気がのぞく。一段高く設けられた入口が、背筋をすっと伸ばさせ、日常の延長にある特別感を添える
店舗データ
| 店名 | 酒肴日和 笑竹杯(しょうちくばい) |
|---|---|
| 住所 | 神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-14-7 たまプラーザT&Tビル |
| アクセス | 東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩3分 |
| 電話 | 045-905-3469 |
| 営業時間 | 月~金:17:00~24:00、土日祝:16:00~24:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 坪数客数 | 12.6坪30席 |
| 客単価 | 6000円 |
| オープン日 | 2024年8月8日 |
| 関連リンク | 酒肴日和 笑竹杯(Instagram) |

















